ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達

真理亜

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「最初に言ったじゃろ? ここには水も食料も無いと。水は儂の魔法でなんとかなるが、食料はどうにもならん。だから儂が身を削ったんじゃよ。感謝せい」

 ヘイロンにそう言われ、腹ペコだったフウカは何も言えなくなった。ミレイはまだ微妙な表情を浮かべていたが。

「それにな、安心せい。尻尾はすぐにまた生えて来るでな」

 心配してるのはそこじゃないし。でもやっばりトカゲみたいに何度も生えて来るんだなと4人は思った。

「というか、この3つの試練って一体なんだったの? 本当に必要だったの? なにか意味があったの?」

 シイナが首を捻りながら問い掛ける。

「意味ならあるぞ? お主らの絆が深まったじゃろ?」

 ヘイロンにそう言われて4人は顔を見合せる。

「まぁ...確かに...」

「最初はいけ好かないヤツだと思ってたけど...」

「そうだね。最後は一致団結したね」

「わたくしもそれで助けて頂きましたわ」

「そうじゃろう? 儂のお陰じゃな。まぁもう一つ意味があったんじゃがそれは今はいいじゃろ」

 ヘイロンが得意気にそう言った。

「えぇと...ありがとう?」

「なんで疑問形なんじゃ?」

「なんとなく...」

「フム、まぁええわい。それで? 行き先は決まったかえ?」

「どうする?」

 シイナが4人を見渡す。

「シイナが決めてよ? ボクらのリーダーなんだからさ」

 フウカが何の気なしにそう言った。シイナは慌てて、

「えっ!? ちょっと待って! いつの間に私がリーダーになったの!?」

「リーダーはシイナしか居ないだろ?」

「そうですわね。シイナさんが相応しいと思いますわ」

 カレンとミレイも追随する。

「そう言ってくれるのはありがたいけど、私リーダーなんて柄じゃないわよ...それに行き先なんて簡単には決められないでしょ?...まず先にあなた達の意見を聞かせて頂戴よ」

「ボクはどこでもいいよ? たらふく飯が食える所だったらね」

「まずはシイナの母国がいいんじゃね?」

「そうですわね。私もイースト王国が良いと思いますわ」

「私の母国ねぇ...正直あんまり気は進まないけど...ていうか私、面が割れてるし。いきなり戻っても顔バレしたらすぐ捕まって終わりよ?」

「安心せい、これを被って顔を隠して行けばいい」

 そう言ってヘイロンが渡して来たのは赤い頭巾だった。

「そりゃどうも...ってかなんで赤頭巾!? こういう時って大概黒い頭巾じゃない!?」

「気にするな。儂の趣味じゃ。行き先が決まったなら乗れ」

 4人は恐る恐るヘイロンの背中に跨がった。
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