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「あそこに注連縄を張った部屋が3つあるじゃろう? それぞれ右側から『力の試練の間』『知の試練の間』『絆の試練の間』となっておってな。全てクリアした者にのみ、飛竜の封印を解く鍵が手渡されることになっておるんじゃよ」
「なるほど...ちなみに失敗したらどうなるの?」
「そこらに転がっておる骸と同じ運命を辿ることになるのぅ。ヒッヒッヒ」
そう言って不気味に笑った老女は、枯れ木のようになった腕で広間の一画を指差した。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
そこにあった物を確認したミレイが悲鳴を上げる。
「こ、これは...人骨か!?」
「良く見るとそこら中に骸骨が散らばっているよ...」
カレンとフウカも顔を顰めた。
「どうする? 止めてもいいんじゃぞ? ヒッヒッヒ」
「...ここが追放村って呼ばれているにも関わらず、他に誰も人が居なくて建物も何も無いっていう理由は、もしかしてみんなここで死んだからなの?」
少し沈黙していたシイナが、意を決したように老女に尋ねた。
「ヒッヒッヒ、その通りじゃ。試練を受けても受けなくても、どっち道ここには水も食料も無い。遠からず餓死するだけなんじゃよ」
「...つまり最初っから選択肢は無いって訳ね...みんな、じっとしていても死を待つだけって言うんなら、私は試練とやらを受けてみたいと思う。どうかしら?」
「わ、わたくしも試練をお受けしますわ...ちょっと怖いですけど、このまま何もしないで死を待つのはゴメンです」
「そうだな...何もしなきゃ生き残れる確率はゼロみたいだし、それなら最後まで足掻いてみるのも悪くないかも知れないな。少なくとも確率はゼロじゃないみたいだし」
「ボクも試練を受けるよ。餓死するのは嫌だもん...あぁ、お腹空いた...」
シイナは全員の意見を聞いて大きく頷いた。
「決まりね。門番さんとやら、私達は試練とやらに挑戦するわ」
「ヒッヒッヒ、そうかいそうかい。それじゃあ好きな部屋を選びな?」
そう言って老女は3つの部屋を指差した。
「どうする? どれから行く?」
「自分で言うのもなんだが、アタシは脳筋だから『知』より『力』が良い」
「あ、それはボクも」
脳筋コンビが『力』を推した。
「ミレイは?」
「そうですね...この中で『絆』だけが試練の内容を想像できませんし、会ったばかりの私達の間に絆も何も無いと思いますから、出来れば最後に回した方が良いんじゃないでしょうか。残るは『知』と『力』ですが、体力のある内に『力』を試してみるのは良いと思います」
「冷静な分析ありがとう。じゃあ最初は『力』の試練に行きましょうか」
全員が頷いた。
「なるほど...ちなみに失敗したらどうなるの?」
「そこらに転がっておる骸と同じ運命を辿ることになるのぅ。ヒッヒッヒ」
そう言って不気味に笑った老女は、枯れ木のようになった腕で広間の一画を指差した。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
そこにあった物を確認したミレイが悲鳴を上げる。
「こ、これは...人骨か!?」
「良く見るとそこら中に骸骨が散らばっているよ...」
カレンとフウカも顔を顰めた。
「どうする? 止めてもいいんじゃぞ? ヒッヒッヒ」
「...ここが追放村って呼ばれているにも関わらず、他に誰も人が居なくて建物も何も無いっていう理由は、もしかしてみんなここで死んだからなの?」
少し沈黙していたシイナが、意を決したように老女に尋ねた。
「ヒッヒッヒ、その通りじゃ。試練を受けても受けなくても、どっち道ここには水も食料も無い。遠からず餓死するだけなんじゃよ」
「...つまり最初っから選択肢は無いって訳ね...みんな、じっとしていても死を待つだけって言うんなら、私は試練とやらを受けてみたいと思う。どうかしら?」
「わ、わたくしも試練をお受けしますわ...ちょっと怖いですけど、このまま何もしないで死を待つのはゴメンです」
「そうだな...何もしなきゃ生き残れる確率はゼロみたいだし、それなら最後まで足掻いてみるのも悪くないかも知れないな。少なくとも確率はゼロじゃないみたいだし」
「ボクも試練を受けるよ。餓死するのは嫌だもん...あぁ、お腹空いた...」
シイナは全員の意見を聞いて大きく頷いた。
「決まりね。門番さんとやら、私達は試練とやらに挑戦するわ」
「ヒッヒッヒ、そうかいそうかい。それじゃあ好きな部屋を選びな?」
そう言って老女は3つの部屋を指差した。
「どうする? どれから行く?」
「自分で言うのもなんだが、アタシは脳筋だから『知』より『力』が良い」
「あ、それはボクも」
脳筋コンビが『力』を推した。
「ミレイは?」
「そうですね...この中で『絆』だけが試練の内容を想像できませんし、会ったばかりの私達の間に絆も何も無いと思いますから、出来れば最後に回した方が良いんじゃないでしょうか。残るは『知』と『力』ですが、体力のある内に『力』を試してみるのは良いと思います」
「冷静な分析ありがとう。じゃあ最初は『力』の試練に行きましょうか」
全員が頷いた。
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