124 / 171
124
しおりを挟む
「新作って言うほど大したもんじゃないんですが、今回の合宿中に起こったあれやこれやをドキュメント風に纏めてみたんです。もちろん、口外できない部分や実名なんかはボカして書いてますが、それなりに楽しめる作品には仕上がったと自負してます。暇潰しにはなると思いますので、よろしかったら読んで頂き感想をお聞かせ願いたいです」
ちなみに原稿用紙はメイドさんに言ったら用意して貰えたので、取材ノートから転写している。
「喜んで!」
真っ先にミシェルが食い気味に反応した。
「ライラさん、私も読んでみたいんだけど。もう一部ないのかしら?」
ソニアも食い付いた。
「すいません。なにせこの場には複写機も無ければ清書人も居ないので...それ一部っきりなんですよ...」
申し訳無さそうにライラがそう言うと、
「ソニアさん、よろしかったら私の部屋にいらっしゃいませんか? 私が読み終わったページをソニアさんに渡せば、一緒に読み進めることが出来ますからね」
すかさずミシェルが助け船を出した。
「いいですねそれ! 是非ともお願いします!」
「えぇ、一緒に楽しみましょう。ファリスさんは如何ですか?」
振られたファリスはちょっと考えた後、
「私も読んでみたいです。お願いします」
少し目を輝かせてそう言った。
「じゃあ決まりですね。お二方、早速読書会を開始しましょうか。ライラさん、ありがとうございます。楽しみに読ませて頂きますね」
「いえいえ、お粗末様です」
ライラはミシェル達がそそくさと席を立つ姿を満足げに見送った。
◇◇◇
その日の昼、ライラが食堂に行くと、
「ありゃ!? 誰も来てない!?」
ミシェル達の姿はなかった。
「お昼ご飯も忘れるくらい夢中になってんのかな...」
それはそれで嬉しい限りではあるのだが、ちょっと心配になって来たライラは、昼食を手早く済ませてミシェルの部屋に向かった。
コンコンっとノックをするが中から応答が無い。
「ミシェルさ~ん、失礼しますよ~」
ますます心配になったライラはそっとドアを開けて中に入った。するとそこには一心不乱に原稿用紙を読み更けっている三人の姿があった。
ライラが入って来たことにも気付いていない様子だ。
「あ、あの~...み、皆さん...」
やや遠慮がちにライラが話し掛けると、
「あぁっ! ライラさん! これ素晴らしいです! 夢中になって読んでました!」
顔を上げたミシェルは満面の笑みを浮かべていた。
「あ、ありがとうございます。喜んで頂いて嬉しい限りですが...昼食の時間とっくに過ぎてますよ?」
ライラは苦笑しながらそう言った。
ちなみに原稿用紙はメイドさんに言ったら用意して貰えたので、取材ノートから転写している。
「喜んで!」
真っ先にミシェルが食い気味に反応した。
「ライラさん、私も読んでみたいんだけど。もう一部ないのかしら?」
ソニアも食い付いた。
「すいません。なにせこの場には複写機も無ければ清書人も居ないので...それ一部っきりなんですよ...」
申し訳無さそうにライラがそう言うと、
「ソニアさん、よろしかったら私の部屋にいらっしゃいませんか? 私が読み終わったページをソニアさんに渡せば、一緒に読み進めることが出来ますからね」
すかさずミシェルが助け船を出した。
「いいですねそれ! 是非ともお願いします!」
「えぇ、一緒に楽しみましょう。ファリスさんは如何ですか?」
振られたファリスはちょっと考えた後、
「私も読んでみたいです。お願いします」
少し目を輝かせてそう言った。
「じゃあ決まりですね。お二方、早速読書会を開始しましょうか。ライラさん、ありがとうございます。楽しみに読ませて頂きますね」
「いえいえ、お粗末様です」
ライラはミシェル達がそそくさと席を立つ姿を満足げに見送った。
◇◇◇
その日の昼、ライラが食堂に行くと、
「ありゃ!? 誰も来てない!?」
ミシェル達の姿はなかった。
「お昼ご飯も忘れるくらい夢中になってんのかな...」
それはそれで嬉しい限りではあるのだが、ちょっと心配になって来たライラは、昼食を手早く済ませてミシェルの部屋に向かった。
コンコンっとノックをするが中から応答が無い。
「ミシェルさ~ん、失礼しますよ~」
ますます心配になったライラはそっとドアを開けて中に入った。するとそこには一心不乱に原稿用紙を読み更けっている三人の姿があった。
ライラが入って来たことにも気付いていない様子だ。
「あ、あの~...み、皆さん...」
やや遠慮がちにライラが話し掛けると、
「あぁっ! ライラさん! これ素晴らしいです! 夢中になって読んでました!」
顔を上げたミシェルは満面の笑みを浮かべていた。
「あ、ありがとうございます。喜んで頂いて嬉しい限りですが...昼食の時間とっくに過ぎてますよ?」
ライラは苦笑しながらそう言った。
2
お気に入りに追加
3,713
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
死の予言のかわし方
海野宵人
恋愛
シーニュ王国第二王子を婚約者に持つアンヌマリーは、ある日、隣国の留学生からとんでもないことを耳打ちされた。
「きみ、このままだと一年後に婚約者から断罪されて婚約破棄された上に、一家そろって死ぬことになるよ」
ニナという名の義妹をメイドのように働かせて虐げた、と糾弾されることになると言う。
でも、彼女に義妹などいない。
ニナというメイドなら確かにいるが、「メイドのように働かせる」も何も実際メイドだ。糾弾されるいわれがない。
笑えない冗談かと、聞かなかったことにしようとしたが、少しずつ、少しずつ、彼から聞かされる予言の内容が現実になっていく。
アンヌマリーとその家族が、留学生たちの助けを借りながら、何とか予言から逃れるために選んだ方法は──。
※「とある茶番劇の華麗ならざる舞台裏」のスピンオフ
共通した登場人物は多々いますが、物語としては独立しているので、あちらを読まなくてもお楽しみいただけるはずです。
というか、あちらを先に読むと割とがっつりネタバレしてます……。
暗闇に輝く星は自分で幸せをつかむ
Rj
恋愛
許婚のせいで見知らぬ女の子からいきなり頬をたたかれたステラ・デュボワは、誰にでもやさしい許婚と高等学校卒業後にこのまま結婚してよいのかと考えはじめる。特待生として通うスペンサー学園で最終学年となり最後の学園生活を送る中、許婚との関係がこじれたり、思わぬ申し出をうけたりとこれまで考えていた将来とはまったく違う方向へとすすんでいく。幸せは自分でつかみます!
ステラの恋と成長の物語です。
*女性蔑視の台詞や場面があります。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
もう愛は冷めているのですが?
希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」
伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。
3年後。
父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。
ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。
「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」
「え……?」
国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。
忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。
しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。
「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」
「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」
やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……
◇ ◇ ◇
完結いたしました!ありがとうございました!
誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる