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 ミハエルが席を立った後、残された候補者達は全員が不安な面持ちになった。

「...取り敢えず、昼食を摂ることにしましょうか...」

 そんな暗い雰囲気を振り払うように、ミシェルは全員を見渡して微笑みを浮かべた。

「...そうですね...」

「...あ、今日のメニューはなにかしら?...」

「...お腹空きましたね...」

 全員それぞれに応じたが、やはりどこかぎこちなさが残るような感じになってしまったのは致し方ないと言ったところだろう。

 そして全員が昼食を早々に済ませて自室へと引き上げた。


◇◇◇


「ファリスさん」

 ライラはファリスが自室のドアを開けようとした直前に呼び止めた。

「はい? なんでしょうか?」

「ミハエル殿下との個人面談に同席する件ですが、申し訳ありませんがお断りさせて頂きますね」

「えぇっ!? ど、どうしてですか!? や、約束してくれたじゃありませんか!?」

 ライラを連れていかないとミハエルとの約束が果たせなくなってしまう。不安に駆られたファリスは慌てて問い質した。

「さっきのミハエル殿下の様子だと、個人面談どころじゃないような感じだったじゃないですか? だから恐らく、ファリスさんとの個人面談は行われないまま、合宿は終了になると思いますよ?」

「あ、あぁ、そういう意味ですか...」

 ファリスはちょっとだけホッとした。

「でも、もしも予定通り個人面談が行われるとなった場合には、ちゃんと同席して頂けるんですよね?」

「いえ、それでもやっぱりお断りさせて頂きます」

「な、なんでですかぁ~!?」

 ファリスは再び不安に駆られた。

「なんとなくイヤな予感がするからです」

「い、イヤな予感って!?」

「私がずっと避けてるから、ファリスさんを使って二人っきりになろうとするとか」

「そ、そんなことは...」

 思わず「鋭い!」って言ってしまいそうになったファリスは慌てて口を噤んだ。

「ファリスさんがなにかと理由を付けて席を外そうとするとかならともかく、ヘタしたら最初っから面談の場に来ないなんてことも有り得るのかなって」

「ま、まさか...そんなことしません...よ...」

 物の見事に内心を見抜かれたファリスは堪らず目を逸らした。

「本当ですかぁ?」

 そんなファリスの様子を訝し気に睨み付けたライラは、

「ま、本当かウソかはどうでもいいです。とにかく同席はしませんから。それじゃあ」

 それだけ言ってその場を後にした。

「ちょっ!? ちょっと待って下さいライラさん!」

 ファリスは慌てて後を追い掛けた。
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