王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「へっ!?」

 ファリスはライラが言わんとしていることの意味が理解できず、困惑してそんな間の抜けた声を無意識に漏らしていた。

 そんなファリスの様子をまたも曲解したライラは、

「分かります分かります...同じ女として良く分かります...さぞやお辛かったことでしょうね...お可哀想に...」

 と慰めるような顔になって更に言葉を重ねた。

「ち、違います! そ、そんなんじゃないんです!」

『事実は全く逆で、寧ろ私の方がミハエル殿下を誘惑しようとしたんです! しかも即効性の媚薬を盛ってまで!』

 そんな風に言葉を続けそうになったファリスは既の所でなんとか堪えて、危うく発しそうになった言葉をどうにか呑み込んだ。

 危ない危ない...せっかくミハエルが内緒にしてくれてると言うのに、こんな所で自分から暴露してしまったら、なんの意味もなくなってしまうではないか。

 ファリスはライラに気付かれないように、そっと胸を撫で下ろした。

「へっ!? 違うんですか!? それじゃあ一体あれはなんだったんです!?」

 今度はライラが困惑する番だった。

「あ、あれはそのぉ...」

 一難去ってまた一難とでも言うべきか。ファリスはどうやって誤魔化そうかと必死に頭を回転させた。

「そう領地! ミハエル殿下には私の家の領地の件で相談に乗って頂いていたんですよ!」

 ファリスはなんとか捻り出すことに成功した。しかも強ち全くの出鱈目を並べたと言うことでもない。

 実際にファリスの領地に関することを話し合ったりもしていたのだから。

「ファリスさんのご実家の領地の件!?」

 ライラは首を捻った。

「えぇ、実は...」

 ファリスは掻い摘んでライラに説明した。

「そうだったんですか...大変でしたね...」

「えぇ、まぁ...でもミハエル殿下が援助して下さるとお約束して下さいましたので、我が領地もこれから徐々に復興して行けるかと期待しております」

「なるほど...その援助と引き換えに体を要求されたんですね...」

 するとライラはまたしても曲解し始めた。したり顔してそんなことを言って来た。

「いやだから違いますって...」

「へっ!? これも違うんですか!?」

「...ライラさんの中でミハエル殿下は一体どんな存在なんですか...」

 またもや勘違いしていることを指摘されてキョトンとしているライラに対し、些かイライラして来たファリスは、取り敢えずライラの胸の内を聞いてみることにした。すると、

「腹黒陰険淫乱色ボケくそったれ王子」

 ミハエルの株価はこれ以上ないくらいに駄々下がりしていたとさ。
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