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 それから二日後の朝食の時間。

「明日の午後、お茶会を開くことにします。皆さん、ご承知おき下さいね?」

 ソニアは全員に向かってそう告げた。

「畏まりましたわ」

 全員を代表する形でドロシーがそう返答する。

「僕の方も問題ない」

 ミハエルも頷いた。

「ハァ...」

 他のみんなもそれぞれ軽く頷いた。そんな中、ライラだけは一人ため息を吐きながら頭を振っていた。
 
 実はあれから何度かソニアに、自分からお茶会を開くことの真意を尋ねてみたのだが、その度に煙に巻かれてしまって真意を確かめることが出来ないでいた。

 ミハエルにも尋ねてみたのだが、こちらも真意を測りかねているようだった。

 とはいえ、腹黒いミハエルのことだから本心を隠しているのかも知れないが、それ以上はライラとしても突っ込んで聞いてみるという訳にもいかなかった。

 なので心の中がなんかスッキリしない。モヤモヤとした状態のまま日々を過ごしている。

「ライラさん! 集中できていませんよ!」

「あ痛っ!」

 するとこのように、貴族マナーの講義の時間にボーッとしてしまい、講師から注意され扇子で叩かれるということを繰り返してしまっていた。

「ライラさん、大丈夫ですか?」

 見兼ねたミシェルが心配そうに尋ねる。ちなみに今は絵画の時間で、お互いの似顔絵を描き合っているところだ。

「えぇまぁ...」

「お茶会のことが気掛かりなんですか?」

「それもありますし、ソニアさんがなにか勘違いしているというか、どこかズレているというか...どうもそんなイヤな感じがしているんですよね...」

「ハァ...そうなんですか...」

 思い当たる節のないミシェルは首を傾げるしかなかった。

「ミシェルさん、ソニアさんからお茶会のことでなにか聞いたりはしていませんか?」

「いえ、特には。というより私、ソニアさんとはあんまり親しくありませんので...そもそも会話自体、ほとんど挨拶程度ぐらいしか交わしていませんから...」
 
「あぁ、そうでしたね...」

「お役に立てず申し訳ありません...」

「あぁいえいえ、お気になさらず」

 ミシェルが畏まってしまったので、ライラは慌ててフォローした。


◇◇◇


 そしてお茶会当日を迎えた。

 場所は貴賓室である。部屋に入った一同はまず困惑した。長方形の長いテーブルが一つあるだけで他にテーブルは無い。

 椅子は人数分6脚あるが、誰がどこに座っていいものやら判断が付かない。全員が戸惑っているとソニアが現れてこう言った。

「遅れて申し訳ありません。テーブルの上にそれぞれ紙が置いてあると思います。各自の名前が書かれていますので、自分の名前が書いてある席にお座り下さいね」
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