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「あ、あの...ま、誠に申し訳ございません...そ、その節は大変ご迷惑をお掛けしまして...」

 ライラはヘタり込んだ姿勢のまま平謝りした。

「あぁいやいや、別に咎めている訳ではないんだ。あの時の君がとっても可愛かったということを言いたかっただけの話で」

「へっ!? か、可愛いって...だ、誰がですか!?」

 ライラは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっている。

「だから君がだよ。メガネを外した君の瞳はキラキラ輝いていてとても素敵だった。メガネを探してワタワタしている君はとても愛らしかった」

 ミハエルはその当時のことを思い出すかのような遠い目をした。

「ご、ご冗談でしょう!? か、揶揄っているだけなんですよね!?」

 ライラは引き攣ったような笑みを浮かべた。

「冗談なもんか。僕が...」

『メガネなら額にズレてるだけだよ』

「...って指摘したら、顔を真っ赤にして慌ててメガネを直し、モゴモゴと...」

『あ、ありがとうございます...も、申し訳ございませんでした』

「...って、お礼とお詫びを言いながら逃げるように去って行く後ろ姿まで可愛かったよ」

「お、お願いだからもう止めて~!」

 ライラのライフはもう0よ! と言わんばかりに、ライラほ真っ赤になって踞ってしまった。

「うぅ...こんな羞恥プレイを晒すなんて...恥ずかしい...穴があったら入りたい...穴がなかったら掘って埋まりたい...」

「それは困るなぁ。やっと理想の相手に巡り会えたんだからさ」

 ミハエルはシレッと言い放った。

「はいぃっ!? り、理想って!?」

「君の顔は僕の好みどストライクだから。所謂一目惚れってヤツ?」

「ほへっ!?」

 ビックリしたライラは思わず奇声を発した。

「それが君をここに呼んだ理由だ。どうしても君にもう一度会いたくてね」 

「そそそそ...」

 ライラの言語機能が一時的に麻痺した。

「もちろん、君を候補者の一人として選ぶに当たっては、他のみんなと同じように綿密な身辺調査を行った。その上で、君は将来の王妃に相応しいと判断されたんだ。決して僕の好みっていうだけで選ばれたっていう訳じゃないよ?」

「えぇ~...私なんかのどこが相応しいって言うんですか!? 貴族のマナーもロクに知らない田舎もんなんですよ!?」

 少し回復したライラは冷静に指摘した。

「君の知性だよ」

「知性!?」

「そうだ。若くして小説家として名を売るような才能は知性の塊に違いないと思った。実際、君は今回の事件でその知性を遺憾なく発揮してくれたじゃないか? 見事に事件を解決してくれた。僕の見立ては間違ってなかったんだなと確信できてとっても嬉しかったよ」

 ミハエルはとても良い笑顔を浮かべながらそう言った。
  
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