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「さて、こんな時になんだが、次のお茶会を開こうと思う」

 ミハエルがそう言った途端、場の空気が一気に張り詰めた雰囲気に変わった。

「あの...またやるんですの?...もうよろしいんじゃないでしょうか...犯人もまだ見付かっていないというのに...」

 一同を代表する形でドロシーがそう進言した。

「確かに言わんとしていることは分かる。みんなも不安で堪らないだろう。だがこれは昔から決まったルーティンだから、そう簡単には変更できないんだ。どうか分かって欲しい。その代わり、毒見役や侍女の総入れ替えなどの安全対策を出来るだけ施したんだ。だから安心してくれ。もう二度と起こることはないと思う」

「ハァ...そうなんですか...それじゃ仕方ないですね...ちなみに次は誰が主催するんです?」

「私です」

 今まで一言も発していなかったライラがここで手を挙げた。

「ライラさんが!? 大丈夫なんですの!?」

 するとレイチェルが思わずといった感じで突っ込んで来た。

「えぇ、まぁ。ここに来てから貴族の常識ってヤツを色々と学びましたからね。皆さんをガッカリさせるようなことは無いと思いますよ?」

「それならいいんですが...」

「あ、あの...すいません...」

 ここでミシェルがおずおずといった感じで手を挙げた。

「なんだ?」

「その...お茶会を欠席することは出来ないのでしょうか...私、怖くて...」

 それは恐らく、ライラを除いた全員の気持ちを代弁するような形であったといえるだろう。

「残念だがそれは許可できない。全員参加が基本だからな」

「そ、そんな...」

「ミシェルさん、怖がる気持ちも良く分かりますが、ソニアさんもちゃんと出席するんですよ? だからここは一つ、勇気を出して出席して下さいな?」

 そう言ってライラはミシェルを奮い立たせた。

「えっ!? ソニアさんも出席するんですか!?」

 そのライラの発言に、今度はファリスがビックリしたような表情を浮かべた。しかもまたもや間延び口調ではない。もうそのキャラ付けは放棄したのかも知れない。

「えぇ、快く承諾してくれましたよ。ソニアさんの度胸は大したものです。皆さん、これは負けていられませんよね?」

 ライラはわざと挑発するような物言いでそう言い切った。

「...そうですわね...ライラさん、楽しみにしてますわ...」

 ドロシーが仕方無しといった感じでそう呟くと、ライラを除いた全員が諦めたかのように力無く頷いたのだった。

「えぇ、期待してて下さい。決して退屈させませんから」

 ライラは含み笑いを浮かべながらそう言った。
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