20 / 171
20
しおりを挟む
「さて、こんな時になんだが、次のお茶会を開こうと思う」
ミハエルがそう言った途端、場の空気が一気に張り詰めた雰囲気に変わった。
「あの...またやるんですの?...もうよろしいんじゃないでしょうか...犯人もまだ見付かっていないというのに...」
一同を代表する形でドロシーがそう進言した。
「確かに言わんとしていることは分かる。みんなも不安で堪らないだろう。だがこれは昔から決まったルーティンだから、そう簡単には変更できないんだ。どうか分かって欲しい。その代わり、毒見役や侍女の総入れ替えなどの安全対策を出来るだけ施したんだ。だから安心してくれ。もう二度と起こることはないと思う」
「ハァ...そうなんですか...それじゃ仕方ないですね...ちなみに次は誰が主催するんです?」
「私です」
今まで一言も発していなかったライラがここで手を挙げた。
「ライラさんが!? 大丈夫なんですの!?」
するとレイチェルが思わずといった感じで突っ込んで来た。
「えぇ、まぁ。ここに来てから貴族の常識ってヤツを色々と学びましたからね。皆さんをガッカリさせるようなことは無いと思いますよ?」
「それならいいんですが...」
「あ、あの...すいません...」
ここでミシェルがおずおずといった感じで手を挙げた。
「なんだ?」
「その...お茶会を欠席することは出来ないのでしょうか...私、怖くて...」
それは恐らく、ライラを除いた全員の気持ちを代弁するような形であったといえるだろう。
「残念だがそれは許可できない。全員参加が基本だからな」
「そ、そんな...」
「ミシェルさん、怖がる気持ちも良く分かりますが、ソニアさんもちゃんと出席するんですよ? だからここは一つ、勇気を出して出席して下さいな?」
そう言ってライラはミシェルを奮い立たせた。
「えっ!? ソニアさんも出席するんですか!?」
そのライラの発言に、今度はファリスがビックリしたような表情を浮かべた。しかもまたもや間延び口調ではない。もうそのキャラ付けは放棄したのかも知れない。
「えぇ、快く承諾してくれましたよ。ソニアさんの度胸は大したものです。皆さん、これは負けていられませんよね?」
ライラはわざと挑発するような物言いでそう言い切った。
「...そうですわね...ライラさん、楽しみにしてますわ...」
ドロシーが仕方無しといった感じでそう呟くと、ライラを除いた全員が諦めたかのように力無く頷いたのだった。
「えぇ、期待してて下さい。決して退屈させませんから」
ライラは含み笑いを浮かべながらそう言った。
ミハエルがそう言った途端、場の空気が一気に張り詰めた雰囲気に変わった。
「あの...またやるんですの?...もうよろしいんじゃないでしょうか...犯人もまだ見付かっていないというのに...」
一同を代表する形でドロシーがそう進言した。
「確かに言わんとしていることは分かる。みんなも不安で堪らないだろう。だがこれは昔から決まったルーティンだから、そう簡単には変更できないんだ。どうか分かって欲しい。その代わり、毒見役や侍女の総入れ替えなどの安全対策を出来るだけ施したんだ。だから安心してくれ。もう二度と起こることはないと思う」
「ハァ...そうなんですか...それじゃ仕方ないですね...ちなみに次は誰が主催するんです?」
「私です」
今まで一言も発していなかったライラがここで手を挙げた。
「ライラさんが!? 大丈夫なんですの!?」
するとレイチェルが思わずといった感じで突っ込んで来た。
「えぇ、まぁ。ここに来てから貴族の常識ってヤツを色々と学びましたからね。皆さんをガッカリさせるようなことは無いと思いますよ?」
「それならいいんですが...」
「あ、あの...すいません...」
ここでミシェルがおずおずといった感じで手を挙げた。
「なんだ?」
「その...お茶会を欠席することは出来ないのでしょうか...私、怖くて...」
それは恐らく、ライラを除いた全員の気持ちを代弁するような形であったといえるだろう。
「残念だがそれは許可できない。全員参加が基本だからな」
「そ、そんな...」
「ミシェルさん、怖がる気持ちも良く分かりますが、ソニアさんもちゃんと出席するんですよ? だからここは一つ、勇気を出して出席して下さいな?」
そう言ってライラはミシェルを奮い立たせた。
「えっ!? ソニアさんも出席するんですか!?」
そのライラの発言に、今度はファリスがビックリしたような表情を浮かべた。しかもまたもや間延び口調ではない。もうそのキャラ付けは放棄したのかも知れない。
「えぇ、快く承諾してくれましたよ。ソニアさんの度胸は大したものです。皆さん、これは負けていられませんよね?」
ライラはわざと挑発するような物言いでそう言い切った。
「...そうですわね...ライラさん、楽しみにしてますわ...」
ドロシーが仕方無しといった感じでそう呟くと、ライラを除いた全員が諦めたかのように力無く頷いたのだった。
「えぇ、期待してて下さい。決して退屈させませんから」
ライラは含み笑いを浮かべながらそう言った。
58
お気に入りに追加
3,713
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
もう愛は冷めているのですが?
希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」
伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。
3年後。
父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。
ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。
「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」
「え……?」
国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。
忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。
しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。
「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」
「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」
やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……
◇ ◇ ◇
完結いたしました!ありがとうございました!
誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。
婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
突然、婚約解消を告げられたリューディア・コンラット。
彼女はこのリンゼイ国三大魔法公爵家のご令嬢。
彼女の婚約者はリンゼイ国第一王子のモーゼフ・デル・リンゼイ。
彼は眼鏡をかけているリューディアは不細工、という理由で彼女との婚約解消を口にした。
リューディアはそれを受け入れることしかできない。
それに眼鏡をかけているのだって、幼い頃に言われた言葉が原因だ。
余計に素顔を晒すことに恐怖を覚えたリューディアは、絶対に人前で眼鏡を外さないようにと心に決める。
モーゼフとの婚約解消をしたリューディアは、兄たちに背中を押され、今、新しい世界へと飛び出す。
だけど、眼鏡はけして外さない――。
【完結】断罪後の悪役令嬢は、精霊たちと生きていきます!
らんか
恋愛
あれ?
何で私が悪役令嬢に転生してるの?
えっ!
しかも、断罪後に思い出したって、私の人生、すでに終わってるじゃん!
国外追放かぁ。
娼館送りや、公開処刑とかじゃなくて良かったけど、これからどうしよう……。
そう思ってた私の前に精霊達が現れて……。
愛し子って、私が!?
普通はヒロインの役目じゃないの!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる