王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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 その日の夕食の席で、ミハエルはソニアを除いた候補者達全員に向かってこう告げた。ちなみにソニアはまだ処置室に居る。

「みんな、まだ犯人が捕まっていないこの状況にショックを受けていることだと思う。捜査は続けているが、今の所なにも手掛かりが掴めていない状況だ。我々が不甲斐なくてみんなを不安にさせてしまった。本当に申し訳ない」

 ミハエルは頭を下げた。

「これは完全に我々の不手際だ。だから希望する者は今回の候補者合宿を辞退しても構わない。そのことに関して特にペナルティーを課すようなことはしないと約束するから安心して申し出て欲しい」

 そう言ってミハエルは全員を見渡したが、手を挙げる者は誰も居なかった。

「では全員居残るということでいいんだな?」

 全員が頷いた。

「よろしい。では引き続きよろしく頼む。ちなみに今日から、みんなの安全を守る上で毒見役を付けることにした。だから日々の食事を安心して味わって欲しい。それと既に気付いている者も居るかも知れないが、侍女を総入れ替えしている。これもみんなの安全を守るためだ」

 そう、既にミハエルはライラの提案通りに、人材派遣会社からメイドさんを多数派遣して貰っていたのだ。これは仕事が早いというべきだろう。ライラは素直に感心した。

「あぁ、道理で見慣れない...」

 ドロシーがメイド服を着て動き回っているメイドさんに目を留め、一言ボソッと呟いた。

「あの...侍女が共犯だったというのは本当なんですの?」

 続いてレイチェルが恐る恐るといった感じで問い掛けた。

「あぁ、間違いない。なにせ事件後、一人行方不明になっているんだからな」

「そうですか...怖いですね...」

「あの...今回の方々はその...」

 大丈夫なのか? と続けたかったのだろうが、ミシェルはそこで言葉を詰まらせてしまった。

「今回の連中は、とある信頼できる筋から派遣して貰って来ている。だから大丈夫だ。信用して欲しい」

「分かりました...」

「あの...ソニアさんは大丈夫なんでしょうか...」

 いつもの間延びした口調ではなく、本当に心配しているような口振りでファリスが尋ねた。

「あぁ、大丈夫だ。心配要らない。順調に回復しているから安心してくれ」

「良かった...あの...お見舞いに伺っても?」

 そう聞かれたミハエルはチラッとライラの方に目配せした。ライラは黙って首を横に振った。

「今はまだショックを受けている状態だから勘弁してやってくれ。本人が良いと言ったら伝えるから少し待っていて欲しい」

「分かりました...」

 
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