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プロローグ(一章まるごと読み飛ばしOK非エロエピソード)

パートナーは?

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「随行者ですか・・・」

 イェッタハンは言いよどんだ。

「決まっていたのではないのか?」

 言い難そうなイェッタハンの態度を訝しみながらアンタレスが迫る。

「はい、決まっていました」

「ならば言ってもらおう。
 婦女子にこのような身体を与えて戦場へ送り込もうというのだ。
 その者とて並大抵ではあるまい?
 しかし、当の御婦人が人違いと判明した今、その随行者の人選もやり直さねばならんのではないのか?」

「いえ、人選のやり直しはおそらく無いでしょう」

「どういうことだ?
 彼女は相手を選ぶ権利もないのか?」

「はい、もともとから随行者ありきの計画でしたので・・・
 そもそも、彼女がケイ・ユーキであったとしても直接の縁者は既に歴史の彼方です」

「そこまで堅く決められたことであればここで隠しても致し方あるまい。
 さあ、誰か言ってもらおう」

「しかし・・・」

「何故言えん?
 何故、彼女が人違いだと分かった上でなおも人選のやり直しは無いのだ?
 だいたい、こちらで準備した随行者と彼女の相性が悪かったらどうにもならなくなるではないか!?」

 詰め寄るアンタレスにファウストが横から口を挟んだ。

「その心配はない。
 彼女は体臭、汗、唾液、精液などが国王の遺伝子情報に最も近い者に好意を抱くように調されているからな。
 相性は最初から間違いなく良いのだ」

「「「国王!?」」」

 イェッタハンは観念したように言った。

「随行者は・・・おそれ多くも、国王陛下御自身であらせられます」

「なんと!?」

 一同に動揺が広がる。

「どういうことだ?
 陛下自らが勇者計画に参加するだと!?」

「その通りです。
 国王陛下は王位をトゥリ王太子殿下に禅譲ぜんじょうし、自ら勇者計画に身を投じる御意向でいらっしゃいました」

「何故だ!?
 どうして王位を捨ててまで?」

「畏れながら、陛下には自らズォル殿下をお探しに参られる御所存と・・・」

「おお・・・」
「なんという・・・」
「陛下、まさかそこまで・・・」

 国王の息子に対する父性愛に感動する重鎮たちをゼーダとシャーロックは白けた目で見ている。

(馬鹿か、本気でそんなの信じてるのか?)
(あいかわらずおめでたい奴らだ)

 イェッタハンは壇上のトゥリ王太子殿下へ向き直った。

「トゥリ王太子殿下、かような次第でございます。
 今からでも国王陛下に御出席願えませんでしょうか?」

 そう言ってイェッタハンが深々とお辞儀するとトゥリ王太子はたじろいだ。
 そして溜め息を一つ付くと顔をあげて打ち明けた。

「国王陛下は出席できぬ」

「?
 何故でございますか?」

「国王陛下は、今朝身罷みまかられた」

「「「「「!?」」」」」」

「真にございますか!?」

 イェッタハンが血相を変えて問いかける。

「このようなことでウソは付かぬ。
 今朝、寝所しんじょで冷たくなっておられた。
 ゆえに、今日の御前会議に私が出席し、その方らに陛下の死と今後について相談するつもりだったのだ。
 しかし、出席者の中に見知らぬ顔があったので見合わせていたのだが・・・
 まさかこのような状況とは思わなかったのだ」

 トゥリは沈痛な表情を浮かべ、申し訳なさそうに言う。

「いえ!
 知らぬとは申せ、殿下には申し訳ない事を・・・
 しんの至らなさを痛感するばかりでございます。

 ・・・わかりました。
 では会議を中断しすぐにでも・・・」

 イェッタハンは御前会議を中断して国王崩御の事実確認と事後処理を優先しようとしたが、トゥリ王太子はこれを否定した。

「いや、死者は急がぬ。
 今はこの勇者計画の議題を進めるべきである。
 国王陛下が身罷られた以上、計画は破綻したのではないか?」

 この指摘にファウストが回答する。

「大丈夫でしょう。
 国王でなければならないということはありません。
 彼女の身体は注がれた精液の主に惚れるように出来てます」

 これには一同唖然とした。

「だ、誰でもいいのか?」

「途中で随行者がたおれることもありましょう。
 その場合は代わりの者が精液を供給できねばなりませんからな。
 なに、10発も連続で注ぎ込んでやればその男に惚れるでしょう」

「それは、彼女にとっては屈辱以外の何者でもあるまい!?
 どれだけ彼女に苦痛を強いるのだ!!」

「この身体にとって精を注がれるのは食事と同じです。
 ゆえに、食事に苦痛を伴っては生きていけませんからな、性的な刺激は多少の痛覚への刺激であっても快楽として感じるようになっています。
 しかも快楽の強さも通常の人間の数倍に高めてありますから、相手が誰であれすぐに喜んで身をゆだねるようになるでしょう」

「し、しかしそのような・・・
 それでは万が一敵の手に落ちれば・・・」

「敵に精を注がれ続ければ敵方に惚れてしまうでしょうな、はっはっは。
 ですがご安心を!
 そのために国王陛下と近い遺伝子を持つ方の精液を注がれれば、他の者への情愛はリセットされます。
 ですので、王家から完全に離れてしまうという事はありません」

 ファウストはこともなげに言った。

「そんな・・・これは人の精神に対する冒涜ではないのか!?」

「『精神など肉体の玩具に過ぎん』そうですよ。
 だいたい私は依頼を遂行しただけですから、倫理的な事を問うのであれば依頼主である国王陛下に問うべきでしょうな」


「っくしょん!!」

 少女がクシャミした。
 全員の視線が一斉にファウストから少女へ移る。

「おお、忘れておった。
 身体が冷えたのだろう。
 さあ、フードを着なさい」
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