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<再び、本気モード!> <2>
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入ってくるなり、Sさんは私と女性スタッフを値踏みするように見つめていた。
(あー、やっぱイヤやな・・・)
普通、カップルのお客様が来られたら、極力、同性のスタッフをつけるようにしていた。
でも、Sさんカップルの場合、うるさそうなのは女性の方だった。
「私がいきましょうか?」
「お、お願いします・・・。」
先程の電話のやり取りで、女性客の方が、口うるさそうというのがわかっていたので、女性スタッフもすがるような顔で、私に訴えかけていた。
Sさんは、いかにも金持ちというオーラを体から発し、口うるさそうだった。
と、ここで私のスイッチがオン!
昔からそうなんだけど、強い相手になるほど、「上等だよ!やってやるよ!」と、ハングリー精神に火が着く性格だった。
普通だったら、誰かの指名客だから、当たり障りなくマッサージしていた。
何故なら、自信があるわけじゃないけど、本気でやって、指名を変えられたら気まずいからだ。
けど、Sさんは「アンタ、どんだけやれんの?」みたいな視線で私を見ていた。
そんな態度が、私のスイッチをオンにした。
Kさんに入る時は、いつも90分だった。
けど、様子見なのか今日は60分コースだった。
そんな事も、私の気持ちに拍車をかけたのかもしれない。
ベッドに横になってもらい、戦闘開始!
だいたい、始まって数分したら力加減を聞く。
この最初のやり取りが肝心だった。
ファーストインプレッション。
触られた感覚。
最初に、なんかイヤ!みたいに思われると、その印象をひっくり返すのは並大抵な事ではない。
「S様、力加減は如何でしょうか?」
「うん、今のところはいいわ。」
「今のところ」が少し気にはなったけど、まぁ、よしとしよう。
不安がないと言えばウソになる。
うつ伏せが終わり、横向きになってもらう。
私は、骨盤矯正と首の矯正が一番得意。
だけど、マッサージに関して言えば、私がもっとも得意とする技。
それが、横向きでの肩甲骨剥がし。
名付けて!
「どんだけ硬い肩甲骨も、ぐるんぐるん回す!」
ちと長すぎか。(笑)
矯正と「どんだけ硬い肩甲・・・(以下同文)」で、私の指名客が飛躍的に増えた。
Sさんを横向きにする。
そして、「どんだけ・・・(以下同文)」を実行!
「コブシさんでしたっけ?このあと予約入ってます?もし、入ってなかったら延長できないかしら?」
残り後30分。
お連れさんは、頼りなさそうな女性スタッフを見て、Sさんが「アンタは45分にしなさい!」と言われていた。
私が女性スタッフの立場だったら相当イヤだったろう。
その日は平日で、全体的にお客様は少なく、私も指名客の予約はなかった。
普通のお客様なら喜んで、延長を受け入れていた。
「お連れさんもいらっしゃいますし、肩甲骨相当硬いですけど、時間内で大丈夫です。」
施術者の矜持というか、私が偏屈なだけかもしれない。
結局、60分で押し通した。
「コブシさんって何曜日出勤してるんですか?名刺いただけないかしら?」
Sさんは、終わって会計処理が終わった私にそう言った。
「スミマセン、僕、不定期に週に2日出勤しています。また、機会があれば宜しくお願いします。」
結局、名刺は渡さなかった。
「ゴメン、なんかNo.1に挑みたくて!本気出しちゃった!」
「もう!コブシさんキライ!」
仕事終わり、私とSさんの一連のやり取りを聞いていたKさんが、私に笑いながら言った。
ここだけの話、Sさんがタイプやったら名刺渡してたかな。
施術者の矜持!(笑)
(あー、やっぱイヤやな・・・)
普通、カップルのお客様が来られたら、極力、同性のスタッフをつけるようにしていた。
でも、Sさんカップルの場合、うるさそうなのは女性の方だった。
「私がいきましょうか?」
「お、お願いします・・・。」
先程の電話のやり取りで、女性客の方が、口うるさそうというのがわかっていたので、女性スタッフもすがるような顔で、私に訴えかけていた。
Sさんは、いかにも金持ちというオーラを体から発し、口うるさそうだった。
と、ここで私のスイッチがオン!
昔からそうなんだけど、強い相手になるほど、「上等だよ!やってやるよ!」と、ハングリー精神に火が着く性格だった。
普通だったら、誰かの指名客だから、当たり障りなくマッサージしていた。
何故なら、自信があるわけじゃないけど、本気でやって、指名を変えられたら気まずいからだ。
けど、Sさんは「アンタ、どんだけやれんの?」みたいな視線で私を見ていた。
そんな態度が、私のスイッチをオンにした。
Kさんに入る時は、いつも90分だった。
けど、様子見なのか今日は60分コースだった。
そんな事も、私の気持ちに拍車をかけたのかもしれない。
ベッドに横になってもらい、戦闘開始!
だいたい、始まって数分したら力加減を聞く。
この最初のやり取りが肝心だった。
ファーストインプレッション。
触られた感覚。
最初に、なんかイヤ!みたいに思われると、その印象をひっくり返すのは並大抵な事ではない。
「S様、力加減は如何でしょうか?」
「うん、今のところはいいわ。」
「今のところ」が少し気にはなったけど、まぁ、よしとしよう。
不安がないと言えばウソになる。
うつ伏せが終わり、横向きになってもらう。
私は、骨盤矯正と首の矯正が一番得意。
だけど、マッサージに関して言えば、私がもっとも得意とする技。
それが、横向きでの肩甲骨剥がし。
名付けて!
「どんだけ硬い肩甲骨も、ぐるんぐるん回す!」
ちと長すぎか。(笑)
矯正と「どんだけ硬い肩甲・・・(以下同文)」で、私の指名客が飛躍的に増えた。
Sさんを横向きにする。
そして、「どんだけ・・・(以下同文)」を実行!
「コブシさんでしたっけ?このあと予約入ってます?もし、入ってなかったら延長できないかしら?」
残り後30分。
お連れさんは、頼りなさそうな女性スタッフを見て、Sさんが「アンタは45分にしなさい!」と言われていた。
私が女性スタッフの立場だったら相当イヤだったろう。
その日は平日で、全体的にお客様は少なく、私も指名客の予約はなかった。
普通のお客様なら喜んで、延長を受け入れていた。
「お連れさんもいらっしゃいますし、肩甲骨相当硬いですけど、時間内で大丈夫です。」
施術者の矜持というか、私が偏屈なだけかもしれない。
結局、60分で押し通した。
「コブシさんって何曜日出勤してるんですか?名刺いただけないかしら?」
Sさんは、終わって会計処理が終わった私にそう言った。
「スミマセン、僕、不定期に週に2日出勤しています。また、機会があれば宜しくお願いします。」
結局、名刺は渡さなかった。
「ゴメン、なんかNo.1に挑みたくて!本気出しちゃった!」
「もう!コブシさんキライ!」
仕事終わり、私とSさんの一連のやり取りを聞いていたKさんが、私に笑いながら言った。
ここだけの話、Sさんがタイプやったら名刺渡してたかな。
施術者の矜持!(笑)
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