親指エレジー  

コブシ

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<米倉涼子?似のIさん>  <1>

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「コブシさん、今度、俺の知り合いが来るから、よろしく頼むわ!」

私の指名客Kさん(40代)が言った。

「結構、口うるさい人やけど、コブシさんやったら紹介しても大丈夫やと思うわ!」

そのKさん自身、私が初めて施術した時。

威圧感たっぷりの男性だった。

施術が終わると、最初の威圧感は消え、柔和な顔になり言った。

「ワシ、これからアンタを指名するわ!」

それから、ずっと私を指名してくれるようになった。

にしても、こんなイカツイKさんが口うるさいという人。

(おいおい、Kさんが口うるさいっていうからには、よっぽどの人なんやろな~。大丈夫だろうか・・・)

私は、少し不安になった。

けど、ジタバタしてもしゃーない。

自分の持てる技術を出して一生懸命やるだけだ。

Let it be !

いつもの思考に戻る。

そして、そのお客様が数日後、私指名で予約してくれた。

私は、どんなヤカラ的な男性が来るんだろうかとばかりに、予約時間が迫ってくると、施術しながら気になって仕方なかった。

そして、予約時間の少し前に、店の扉が開いた。

入ってきた人・・・驚いた事に、モデルのようなスタイルの良い女性が入ってきた。

顔は・・・キツそうな顔付き。

私は施術中だったので、他のスタッフが応対した。

見るからにプライドが高そうな女性だった。

そして、いよいよ初対面。

「お待たせしました、Iさん。本日担当致しますコブシです。Kさんからお話は聞いております。宜しくお願い致します。」

「宜しくお願いします。」

もう、そのピンヒールで踏んで下さい!的な女王様感満載だった。

選んだコースは、90分の足つぼとマッサージ半々のセットコース。

通常、様子見で、とりあえず60分、もしくは、慎重な方だと、30分にしといての延長というのが一般的だった。

最初から90分・・・こりゃ~ファーストコンタクトで嫌悪感を抱かれたら、超気まずいな・・・。

施術が始まって、すぐに力加減をお客様にお聞きする。

実は、この時の声のトーンや言葉で、だいたいわかる。

「Iさん、力加減はいかがでしょうか?」

私は、ドキドキしながら聞いた。
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