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4章 文化祭

打ち上げ、演劇部と合同でやるってよ♪

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 双葉がいなくなった後、俺は伊織の言い付けを守ってそのままボラ部の基地で大人しく待っていた。
 既にテーブルと椅子しか残っていない陣地で、人も俺一人だけ。はぁ~、文化祭が終わるな~。


「貴哉ー?こんなとこで何してんの?」

「あ、空じゃん!」

「今さ、一条さんに呼ばれたんだよ。って一条さんはー?」


 俺しかいないのを見て空に聞かれた。


「紘夢なら顧問のとこに行ったぞ」

「えー、人の事呼んでおいて~。テーブルとか運ぶらしいんだけどさ~。で、貴哉は何してるの?神凪さんの用事は終わったのか?」


 文句を言いながらも俺の隣の椅子に座って機嫌良く笑う空。
 伊織待ってるんだけど、ここで鉢合わせしたら気まずいよな。どうしよ?


「神凪のは終わった。で、今人助けしてる伊織待ってるんだ」

「えっまだ桐原さんに会えてないの?さっき電話して来たじゃんあの人」

「会えた事は会えたんだけど、その後にちょっと野暮用で出てんだ。もうすぐ戻って来るんじゃね?」

「ふーん。今戻って来たら勘違いされそうだな」

「間違いなくするな」

「それじゃ俺は椅子でも運んでようかな?」

「手伝えなくて悪いな」

「気にするなよ。貴哉は演劇部の方頑張ったんだし。じゃあまた打ち上げでな~」

「おう」


 椅子を二つ持って校舎の方へ歩いて行く空。
 それと入れ替わる形で紘夢が走って戻って来た。
 タイミングな!


「貴ちゃーん!空くん来なかったぁ?」

「今さっき椅子持って校舎の中行ったぞ」

「あちゃー、先に行っちゃったか~。椅子やテーブルは役員が片付けてくれるんだけど、葵くんに借りた椅子を戻したかったんだよ~。今貴ちゃんが座ってるやつね♪」


 俺のケツら辺を指さして言う紘夢。
 そう言う事だったのか。なら空が持ってったのは違う椅子か。
 空に電話を掛けている紘夢。

 こうして見てると、ボラ部もちゃんとやってたんだなぁって思うわ。
 部長の伊織不在で、副部長の空とボラ部の頭脳的な役割の紘夢を中心に、直登や数馬、なっちと怜ちんも、みんな力合わせてやり遂げたんだよな。

 他の部活に比べて少人数だけど、良くやったよなほんと。

 俺は感心しながら紘夢を見てたら、校舎の方から空じゃなくて庭いじり男の渡辺がやって来た。


「ようお前ら。野菜をちゃんと提供出来たようでご苦労」

「渡辺さんのおかげで大繁盛でしたよー♪来年もよろしくお願いしまーす♡」

「いいぜ。来年のは俺が育てたやつ持って来てやる。まぁそれまでにボラ部が残っていればだけどな」


 メガネを光らせてニヤリと笑い意地の悪い事を言う元部長。
 そして俺を見て言った。
 

「秋山もお疲れな~。詩音が褒めてたぞ。演劇部の打ち上げ行くんだろ?」

「えー!貴ちゃん演劇部の方の行っちゃうの!?」

「いや、先に演劇部のやつ顔出してからボラ部の行くつもりだよ」

「それなんだがよ、詩音の提案で合同でやらないかってさ。ボラ部って人数少ねぇから演劇部に混ざっても変わらねぇだろって。どうする?嫌なら断るぜ」

「それ名案ですね♪茜ちゃん達とも打ち上げ出来るんでしょー?ねぇ、貴ちゃん、いいと思わない?」

「ああ、別に嫌がる奴もいねぇだろ。数馬が緊張するぐらいじゃん?」

「よーし!みんなには俺からメッセージしとくー!渡辺さん、場所と時間教えて下さい♪」


 そこへ、電話で呼び戻された空が椅子を持って戻って来た。
 
 合同打ち上げか。それなら移動する手間が省けていいや♪


「あ、渡辺さんだー。お疲れさまでーす」

「よう早川、お疲れ」

「空!打ち上げ、演劇部と合同でやるってよ♪」

「そうなの?凄い賑やかになるな」

「さぁ空くん!さっさと片付けて打ち上げの準備だー♪」

「ちょっと!どの椅子なのかちゃんと教えて下さいって!一条さんは本当自由なんだからっ」


 何だかんだ紘夢と上手くやってる空に俺は安心した。
 実は紘夢には空の事を頼むって言ってあったりもする。今の俺じゃずっと見てる訳にはいかねぇから、空に何かあったらすぐに対応出来ねぇからな。
 紘夢なら安心して任せられると思ったんだ。

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