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4章 文化祭
でも俺のヒントって猛犬注意ってだけだぜ?
しおりを挟む食い物で腹いっぱいになった後、俺と空は二年B組のクラスに来ていた。
二年B組と言えば伊織のクラスだ。だけど今日は伊織はいない。代わりになっちが出迎えてくれた。
「秋山に早川!良く来たな!宝探しやってくか!?」
「やるやるー♪特賞狙ってくぜ♪」
「何これー?面白そう~♪」
教室の中に何個かの机が置いてあり、それぞれA~Dまでのアルファベットが書かれてあって、一番奥には「特」と書かれていた。
そして教室の半分はカーテンで遮られていて、そこに賞品が置いてあるのかと思った。
「貴哉は特だな!早川はどうする?Aが一番難易度低いけど、賞品もそれなりだ!参加費はどのレベルでも均一500円!」
「えー、特賞気になるけど、俺はAでいいかな?」
「何だよ空、弱気だな~!Aとかどうせうまい棒とかだろ」
「そうなの!?てか参加費500円って、うまい棒だったら損じゃん!」
「それが商売ってもんだろ~」
「そう言う事~♪さぁ好きなレベルの紙一枚引いて宝探し行って来な♪時間制限文化祭終了までだ!それまでにお宝持って帰って来ればクリアだ♪」
結局空はAを選んだ。
俺と空は廊下に出てそれぞれ紙を開いて中を見てみる。
俺の紙には赤い丸い玉がいっぱい付いたブレスレットの写真と「猛犬注意」とだけ書かれていた。
このブレスレットが宝って事か?そんでこの文字がヒント?
難しくね!?
「貴哉何て書いてあったー?」
「訳分からねぇ。空は?」
俺と空はお互いの紙を交換して見せ合う。
空が選んだAの紙には、探す宝である青い丸い玉の写真と「生徒はみんなはここから入ります。大ヒント!雨が降ったら使ってね!」とヒントが書かれていた。
「うわっ貴哉の何これ?猛犬注意って、危ない場所にあるのか?」
「空のも訳分からなくね?」
「そう?俺は玄関かなと思ったけど、あと入学式を連想させる体育館とか?でも雨が降ったら使うって傘かなぁって思うから傘立てがある玄関っぽいよな」
「あ!そっか!お前頭良いな~!」
「普通分かるだろ」
「じゃあ猛犬注意はどこなんだ?」
「これはさすがにピンと来ないよな~!犬なんて飼ってねぇし、危険な場所の事だとは思うけど」
「んー、じゃあまず空の見付けに行くか~」
俺と空は玄関まで来てみた。ここまで来る間の道中に、同じように紙を持ってウロウロしてる人がちらほらいた。
「あ、見て貴哉!傘立て!」
「ん?傘立てがどうした?」
空が言うからそれぞれの学年の外側に置いてある傘立てを見るけど、普通に傘立てに傘が置いてあったりするだけだ。
「ほら、一年のとこだけ大量に傘がある。今日は晴れてるのにおかしいだろ?」
「確かに!この傘はなっち達が用意したのか!」
すげぇ!これが宝探しか~!
俺と空は一年用の傘立ての傘を一本一本見て行くと、一つの閉じてある傘の中から青い丸い玉を見付ける事が出来た。
「あったー♪」
「あはは!これ楽しいな!」
「俺はクリアだな。次貴哉の見付けよう!」
「でも俺のヒントって猛犬注意ってだけだぜ?どうやって探すんだ?」
空のはAだったから一番簡単なやつだ。だからすぐに見付ける事が出来たけど、俺のヒントは訳が分からないし少なすぎる。見付けさせる気ねぇだろとか思った。
「赤い数珠のブレスレットはもしかしたら誰かが身に付けてるかもしれないな。そんで、猛犬ってのはその誰かの事かも……」
「まじかよ!誰だ!?」
「いや、分からないよ?ブレスレットだけど、俺の時みたいにどっかに隠してあるのかもしれないし、もし誰かが身に付けてるんだとしたら難しいよな。その人は常に移動してるかもしれないんだから」
「とりあえず危ない場所は屋上とかぐらいしかなくね?俺的には職員室、会議室辺りも危ねぇ場所だけどな」
「ぷっ、さすがにそこには一般人は入れないでしょ。今日は屋上も閉鎖されてるし、貴哉らしい~」
「じゃあ人で探してみようぜ~!猛犬っぽい奴だろ?」
「あのさ、猛犬って思い付くの一人しかいなくね?」
「……ああ。俺も思った」
俺と空はニヤリと笑い合って、そいつがいる場所を探し始めた。
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