147 / 219
3章 文化祭まで一週間
よーし!俺らも食うぞー!
しおりを挟む何だかんだ時間は20時近くなっていた。
遅くなったけど、みんなで協力して何とか夕飯が食卓に並んだ。
ホカホカご飯と空特製の肉じゃが~♪
と、それだけだと寂しいって言うんで、桃山が即興である物で他にもおかずを作っていた。
でもメインは肉じゃがだ!なんてったってあの空が作ったんだからな!
予定より大人数になっちまったけど、みんな席に着いていただきますだ!
「凄く良い匂い~♪空くん、食べていいー?」
「どうぞ!お口に合えばいいんですけど」
まずは主人の紘夢から。それはみんな分かっていたみたいで、紘夢が食べるまでは大人しく待っている。俺もだけど、さっさと食ってくんねぇかな!?腹減り過ぎてやべーんだわ!
「それじゃいただきまーす♡」
紘夢が自分の分の皿から箸で美味しそうな茶色に染まったジャガイモを取って口に入れる。見てるだけで涎が出るぜ!
そして左手で頬を触ってニッコリ笑った。
「凄く美味しい~♡とっても柔らかくて味が染み込んでて、俺好み~♡空くんこんなに美味しいご飯作ってくれてありがとう♡」
「本当ですかぁ?良かったぁ……でも途中から桃さんに味付けとか手伝って貰ったんですよ。次は一人で出来るように頑張りますっ」
紘夢の高評価に安心したのか、隣に座ってた空は肩の力を抜いてホッとしていた。
「よーし!俺らも食うぞー!」
「よっしゃー!いっぱい食うぞー!」
俺とトモの掛け声と共にみんなそれぞれいただきますをして食べ始めた。
俺はまずは肉じゃがの肉を食ってみた。
おっ!思ったよりイケるじゃん!てか紘夢が言うように味が染み込んでてめちゃくちゃ美味いぞ!
「空!美味いぞ♪母ちゃんが作る肉じゃがより美味い!」
「貴哉ぁ♡」
「まぁ初めてにしては良くやったんじゃん?」
「桐原、素直に認めたらどうだ?とても美味しく出来ているぞ早川」
「桐原さん、茜さん、ありがとうございます!」
「料理ってのは心が大事なんだ。心がこもってれば大抵の物は旨くなる♪」
手伝ったと言う桃山がクールに言うと、少し離れた所に座ってる七海と犬飼が引いた目で見ていた。
「桃山が珍しくかっこいい事言ってる~」
「てか桃山って何気に何でもこなすよな。マジなんなん?」
「俺超人♡」
そして盛り盛り食ってたトモが立ち上がって茶碗を持ってキッチンへ行こうとしていたから、俺は呼び止めた。
「あ、トモおかわりすんの?なら俺のも持って来て~」
「おういいぜ~」
「あ、俺も~」
「俺の分も~」
俺が頼むと次々とおかわりが増えて行った。
これにはトモはどうしたらいいか分からないと言ったようにキョロキョロして焦っていた。
それを見た雉岡も立ち上がり、みんなの茶碗を回収して行った。
「あー、はいはい。トモ手伝うからパニクらなーい」
「吉乃気が効く~♡」
「ご馳走食べさせてもらってるし、雑用ぐらいならね。トモ、トレイ使えば一気に運べるから」
「あ!そっか!さすが吉乃だな!」
「普通使うだろ?」
トモと雉岡のやり取りにみんなが笑った。
そして夕飯を食う前に二人で二階から降りて来た茜と卯月。
どうやらちゃんと話し合えたみてぇだな。隣同士で座って笑い合いながら食ってた。
多分みんな気になったと思うけど、誰も触れようとせずにみんなで空が作った肉じゃがを食べながら楽しく過ごしていた。
そうだ。こういう時は楽しまなきゃな!
美味い飯に、楽しい奴ら。みんないろいろあるけど、最後にはこうして笑い合って過ごせてるんだから凄えわ。
10
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる