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3章 文化祭まで一週間
ま、俺は俺の為に頑張るけどな~
しおりを挟む俺と茜と桃山は一条ん家までのバスの中、そこで茜の話を聞く事になった。
まず俺が卯月から聞いた話をして、茜に本当か確かめた。
「何があったのかは秋山が言う通りだ。卯月の言い分で大体合ってるよ。俺は卯月の態度がいつもと違うのが気になってどうしたのか知りたかったんだ……まさか卯月がそんな風に思っていたなんて、それは分からなかった」
卯月が思う自分と茜への気持ちを知って、茜は複雑そうな顔をしていた。桃山は俺と茜が座る後ろの席に大人しく座っていた。
「卯月も卯月で悩んでたみてぇよ?そりゃそうだわな。詩音の後釜なんて絶対比べられるし、おまけにちょっとうるせぇ有能な副部長がいたら俺いらないんじゃね?ってなっちまうよ」
「そうかもな。卯月はそう考えてしまったんだろうな」
「茜はー?どう思ってんの?」
「俺か?俺は卯月がそんな事を考えているなんて知らなかったから、逆に卯月が薗田さんに部長に選ばれた理由を文化祭が近付くに連れて実感していたよ。俺は文化祭の為にと前以上に張り切ってしまっていたみたいだ。周りの気持ちなんか考えずに怒鳴ったりなんかもした。でも卯月は怒鳴る事なんてしないで、いつものように笑顔で悩んでる人の対応をしていてな。卯月と話した者は笑顔で戻って来るんだ。きっと俺のやり方じゃまた退部者が出るだろうな。本当にみんなを引っ張って行くには俺みたいな人じゃなくて卯月のような前向きな考えを持っている人じゃないとダメなんだ」
「でもニコニコ笑って話を聞くだけじゃダメな事もある。みんなが甘えて成長しねぇもんな。そんな時はお前みてぇなうるせぇのが必要だな」
「そうか。俺と卯月はお互いが分からない内に足りない部分を補い合っていたんだな。それなのに俺は自分の都合で勝手な事をして卯月を傷付けていたんだな」
「詩音がそこまで見越してたのかは分からねぇけど、お前と卯月だから文化祭目前までやって来れたのかもな~。俺は初めから茜が部長だったらここまで付いて来れなかったな」
「俺と秋山の初めましては最悪だったからな」
茜は苦笑いをして言った。
今では茜の事は大好きだけど、あの頃はお互い嫌い合ってたもんな。茜が副部長で良かったって思うよ。
「俺は秋山が来る前、演者チームの一つのリーダーをやっていたんだ。こんな性格だから上手くまとめられずに退部者が続出した事があった。薗田さんにリーダーから外された時に、何で俺が?なんて身勝手な事を考えていたよ。そして部長じゃなくて副部長に任命された時も同じだ。文句は言わなかったけど、心のどこかではモヤモヤしていたんだ。だけど、秋山と出会って全てがどうでも良くなった。全員が俺に付いて来てくれなくても、俺を信じてくれてる人が一人でもいれば十分だって知った。それなのにまた一人で突っ走っていたみたいだ。反省しなくちゃな」
「それが茜だろ~♪茜なら話せば分かってくれるって思ってたぜ」
「秋山、いつもありがとうな。お前が演劇部に来てくれて本当に良かった。きっと他のみんなも同じ気持ちだ。最後まで一緒に頑張ろう」
「ま、俺は俺の為に頑張るけどな~」
何とかいつもの茜に戻ってくれて良かった。
ここでずっと大人しくしていた桃山が身を乗り出して後ろから茜にちょっかいを出し始めた。
「話終わったー?結局俺は誰を処刑すればいいの?」
「誰も処刑する必要はない。俺にも非があるんだ。でも、お前がいてくれて良かった。ありがとう。湊、明日からはいつも通り一緒に過ごそう。帰りも待っていてくれないか?」
「え♡いいの!?わーい♪何か知らねーけど、ラッキー♡」
「良かったな桃山~」
やっぱり茜には桃山だな!
そして桃山には茜!
桃山がいたのは予想外だったけど、きっと茜を慰めてたんだろ。
「もー茜がいねぇと俺暇過ぎてさぁ~!てかこれ俺と茜は何でバス乗ってんの?」
「俺も良く分からないけど、秋山が肉じゃがを食べようって言うから」
「実は空が紘夢んちで肉じゃが作るんだよ~♪俺も食いたいから行くんだけど、どうせならみんなで食おうぜって話♪」
勝手に人増やしちまったけど、空が作るし平気だろ♪
あー、バス早く着かねぇかなぁ♪
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