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2章 文化祭までのいろいろ

鉄仮面は鉄仮面だよなー!あはは!

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 それから少しして、18時過ぎに伊織となっちが一緒に来た。伊織は普通に出掛けてましたって言うお洒落な格好をしてるのに対して、なっちはジャージ姿だった。


「おっすー!美味い飯食いに来たぜ~♪」

「なっちー!何でジャージなんだ?何かしてたのか?」

「ジム行ってたんだよ♪休みの日は大抵ジム行ってっから」

「すげぇ!かっけー!」

「貴哉~♡見てみて!お土産~♡」

「うわっ」


 なっちの隣にいた伊織にポフっと頭に何かを乗せられた。あ、キャップだ!
 俺は被せられたキャップを手に取って見てみると、グレーのちょっと深めの俺が持って無い色、形だった。サイズを調整する所もいつものと違って金具になっていて少しお洒落なキャップだった。


「やっぱり貴哉に似合うな♪」

「これお洒落だな♪気に入った♪ありがとうな伊織~!」

「貴哉キャップ好きだもんな♪また買ってやるからな」

「いーくんては甘ーい♪ねぇ俺にお土産は~?」


 紘夢が入って来て、伊織に聞くと、持っていた紙袋から長方形の薄い箱を取り出して渡していた。


「そう言うと思ってはいお土産♪駅前にあるケーキ屋のマドレーヌ。後でみんなで食おうぜ~」

「嘘っ!冗談で言ったのに、いーくんてばどこまでも出来る男だなぁ!しかもあそこのケーキ屋選ぶとかセンスあるじゃーん♪」

「だろー?なぁ、早川は?いるんだろ?」


 ここで伊織がキョロキョロして空を探し始めた。
 伊織が空に用事って気になるな……
 ちなみに空は今的場とみんなで飯食う予定の一番デカいリビングに上映会が出来るようにセッティングしているところだ。


「空くんなら的場のお手伝いしてるよ~♪大広間にいるから入って~」


 紘夢に言われて俺達はリビングに行くと、二人で一生懸命デカいテーブルを動かしていた。


「重!ちょ、やっぱ二人じゃ無理です!俺離します!」

「いやいや今離したらヤバいですって!早川くんどんなけ力ないの!ああ!傾く!」


 どうやら大変らしいな。
 すかさず伊織となっちが助けに入っていた。
 空の隣でテーブルを支える伊織は、軽々持ち上げていた。ケケケ。空がひ弱過ぎるんだな。


「危ねぇ~!何?これどこに運ぶのよ?」

「モニターを見やすくなる場所です……真ん中辺がいいかと……」

「了解~。んじゃ動かすぞー」

「オーケー!せーのっ!」


 伊織、なっち、的場の三人でテーブルを持ち上げて一気に移動させていた。俺はゼェハァ言ってる空に近付いて励ましてあげる事にした。


「空ってば力ねぇのに良く頑張ったなぁ♪」

「ちょー汗かいた~。もー、早くシャワー浴びたいんだけどっ」

「なら先に風呂入って来いよ」

「そうするー」

「あ、早川待って」

「?」


 風呂場に向かおうとする空を呼び止める伊織。そういや用があるみたいだったな。
 伊織は紙袋からこれまたお洒落な黒色の帽子を取り出してポンッと空に被せてニッと笑った。


「これ早川にお土産♪お前はキャップよりこっちのが似合うと思ったんだ」

「え?え?えーーー!?」


 伊織からの突然のプレゼントに、空は一瞬固まってからめちゃくちゃ驚いていた。こりゃ俺も驚いたぜ。あの伊織が空にまでお土産買って来てたなんてな。
 空は貰った帽子を手に取り、パァッと嬉しそうに笑った。


「バケットハットだぁ~!しかもちょーお洒落~!俺が貰っちゃっていいんですか!?」

「是非貰ってくれ♪お前いつも副部長として頑張ってくれてるからな♪これからもボラ部を支えてってくれや♪」

「あ、ありがとうございますっ」


 これには空も感動したみたいで、伊織相手に目を輝かせていた。そんな光景を見てたら俺まで嬉しくなっちまった。


「空良かったなぁ♪帽子似合ってんじゃん♪」

「えへへ♪貴哉もそれ貰ったのか?似合うじゃん♪」

「もー二人共可愛いんだから~♡いーくんもお兄さんしてるね~♪」

「買い物してたらたまたま二人に似合いそうなのが目に入っただけだよ」

「いーくん!俺も欲しいスニーカーがあるんだ!」

「それは俺との賭けで勝ったらだろー?で、お泊まり会のメンバーってこれで全部か?思ったより少ないんだな」

「あと直登と数馬は返事待ち。怜ちんは?」

「怜ちんは用があって来れないって。二之宮と桃山は?あいつらならいると思ったのに」

「誘ったんだけど、二人で過ごしたいって~。桃ってば一週間茜ちゃんに冷たくされてたらしいじゃん?茜ちゃんも今日ぐらいはって思ってたみたい」

「あー、そう言う事ね~。ま、これでも十分楽しいメンバーだけどな」

「この後春樹も来るよ~。いーくんは初めましてかな?」

「春樹?知らねぇな」


 あ!やべ!戸塚も来るんだった!伊織には戸塚との黒歴史話したから、何か気まずいな!でも戸塚に今更来るなとか言えねぇもんなぁ……


「戸塚春樹って言って、俺の従兄弟♪貴ちゃん達と同じクラスで、次の生徒会書記だよ~」

「戸塚……春樹……ああ戸塚ね。俺知ってるわ」


 伊織は思い出したようにチラッと俺を見てニヤッと笑った。やっぱり覚えてらっしゃった!ちなみにあの事は空はもちろん、他の奴は誰も知らないからバレたくねぇ!伊織がバラさなきゃいいけど。


「あれ、知ってたの?」

「前にみんなで貴哉んちに泊まった事があって、そん時に戸塚もいたんだ。真面目で良い子だったな」

「ちょー真面目だよ~。頭も良いし~。かっこいいんだけど、無愛想なのが残念なの~」

「それが戸塚の個性だろ。な?貴哉?」

「へっ!?そ、そうだな!鉄仮面は鉄仮面だよなー!あはは!」

「鉄仮面って、春樹の事か~?ちょーしっくり来るじゃん♪あはは~」


 うう、これは絶対にバレないようにしなきゃだな。伊織もバラすつもりはないみたいだけど、戸塚を前にしたらどう出るか分からないから油断はしないようにしないとな!

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