15 / 219
1章 二学期中間テスト
※ 早川はノンケなんだろ?何であそこにいたんだ?
しおりを挟む※心side
クラスメイトの秋山貴哉と教室の外の廊下で話していたら、突然話の種の人物である早川空が現れて俺だけ呼ばれた。
うわー、今の話聞かれたかな?
告げ口みたいな内容だしなぁ。
早川はみんなに接するような笑顔だったけど、内心は何を考えているのか分からなかった。
なんて言うか、詳しくは知らないけど、ずっと付き合っていた秋山と別れたとか。それで秋山は他の人と付き合う事になって、早川は一人……?
正直早川の事は良く分からない。クラスでもグループが違うし、話しても世間話程度だ。
早川の見た目は相変わらずチャラいと思う。元々肩より下まで伸びていた髪を一度は短く切ったものの、今では肩につくぐらいまで伸びていて、そんな髪を毎日いろんな髪型にアレンジしたりしていた。髪の色はライトブラウン。制服も、ネクタイこそ締めているけど、緩い。薄茶色の大きめのカーディガンを羽織っていて、男の俺でもお洒落が好きなんだろうなと分かるような見た目をしている。
予鈴が鳴ったけど、俺と早川は教室からそんな離れていない廊下で二人きり話す事に。
早川はくるっと振り返り、笑顔で聞いて来た。
「さっきさ、貴哉に俺の話したぁ?」
「……早川の話って?」
「とぼけなくてもいいよ。サウナで俺を見ただろ?」
「あのさ、早川はノンケなんだろ?何であそこにいたんだ?」
「そんなの金目的に決まってんじゃん。ココもじゃねぇの?まさかあんなとこで学校の奴に会うとは思わなかったけどな」
早川は変わらず笑っているけど、本心は分からない。
でもこれであの時、ハッテン場にいたのは早川だったって事が確定したな。
どうやら早川は秋山にこの事を話したのか知りたいらしい。
そして、俺とは違う目的であの場所にいたのも分かった。俺はゲイだ。だから本気の出会いを求めてたまにハッテン場を利用している。
その場限りとか、早川のようにお小遣い欲しさで利用する人も少なくない。てか半分はそんな人達ばかりだ。
もちろんこの事が学校にバレれば俺も早川も危ないだろう。
そして俺自身がゲイだと言う事も周りには知られたくない。だから俺は早川とは違う目的であの場にいたとは言わなかった。
「で、貴哉には話したのか?」
「ごめん。二人は仲がいいと思ったから。それに、早川が会っていた人って俺とは違って、何か危なそうだったから……」
「ま、もう貴哉と俺は何もないからいいけどさ~。あまり人の話を周りにしないでもらえる?いろいろやりづれーから」
「分かった。もうしない。なぁ、俺があそこにいた事は誰にも言わないで欲しい」
「俺は言う気ねぇよ。今後ああいうとこで会ってもお互い見て見ぬ振り。それでいいんじゃね?」
「うん。分かったよ」
「それと、貴哉何か言ってた?」
「心配してた。秋山もそのサウナに行こうとして、実際本当に早川なのかを確認しようとしたから止めたよ」
「あは、貴哉らしい~。絶対止めろよ?」
最後に早川は困ったように笑って先に教室へ戻って行った。
俺は早川に酷い事をしちゃったな。
自分もそういう場所を使ってる事をバレたくない癖に、早川の事は話しちゃうなんて。
これからは気を付けよう。
でも本人も言ってたけど、早川が会っていた人は大分年上の大人だった。下手したら俺達の父親と同世代じゃないのってぐらい。バイト感覚でやってるんだろうけど、良い人ばかりじゃないだろうからそこは心配だけどな。
それもあって一番早川と仲の良い秋山に話したんだけど、本人にも注意されたし、これ以上首を突っ込むのは辞めよう。
やたら嗅ぎ回って下手しても、俺自身が危なくなるからな。
秋山にこの話題を出されたらちゃんと謝ろう。
俺は少し反省をして、早川の後に教室へ入った。
10
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる