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2章
遊園地
しおりを挟む誕生日当日。今日は朝から澪と弘樹からお祝いメッセージが届いた。子供の頃とかはお互いの家で誕生日パーティーなんかしたけど、大きくなってからは澪とご飯行くくらいで盛大にやってりしなかった。
そして今日は恋人と初めて誕生日を過ごす日だ。なんだかんだ楽しみだ。
「夏樹~」
「……え、律……か?」
待ち合わせ場所の駅前にいると、電車を降りて来た律が手を振りながら近付いて来た。
が、いつものきちっとした服装の律とは違って今日は緩めのTシャツに、ジーパンとカジュアルだった。
「服、どうしたんだ?」
「似合うかな?今日は夏樹と似たような服を選んでみたんだけど」
「似合う!てか律なら何でも着こなしそうだよな」
「今日は夏樹と思い切り楽しみたいから楽な服装の方がいいんだよね」
「そう言えば、どこにいくんだ?電車使うんだろ?」
「遊園地♪夏樹と遊園地デートしてみたかったんだぁ」
「いいね!遊園地とか久しぶりだな」
律がデートに選ぶにしては意外だったけど、遊園地は子供の頃以来だから楽しみだ。
それから俺達は電車に揺られて目的地まで向かう。
「何乗る?」
「ジェットコースター!」
「夏樹乗れるのー?」
「遊園地と言えば絶叫系だろ」
「俺はショーとか観るの好きだよ」
「じゃあそれもしよ!」
「楽しみだね」
話してるだけでも楽しみだった。
そして目的地に着く。が、さすが国民的人気スポットなだけあって、チケット売り場が長蛇の列だ。中に入れるまで時間かかりそうだな。
「はい、これ夏樹の分のチケットね」
「え、まじ?いつの間に買ったんだ?」
「今日の為に用意しておいたんだ♪これフリーパスになってるから失くしちゃダメだよ」
「律……あ、いくらした?」
「何言ってるの、今日は夏樹の誕生日でしょ。今日は夏樹はお金使わなくていいよ」
「そう言う訳にいくかよ!」
「年に一度だけなんだからそれぐらいさせて?お願い」
「まったく、仕方ないから言う事聞いてやる。なんてな!ホント、ありがとうな!」
どこまでも良い男な律に甘えて今日は奢られる事にした。律は言い出したら聞かないし、ここでゴネても空気悪くなるだけだしな。
律のおかげでスムーズに中に入る事が出来たので、早速一番人気のジェットコースターに並ぶ事にした。
「うわぁ、悲鳴聞くだけで怖そう」
「律は苦手なのか?」
「あまり得意じゃないかな」
「まじ?大丈夫か?」
「うん。夏樹と一緒がいいから大丈夫」
「そんな理由でかよ。ここのジェットコースターまじでヤバいらしいぜ?」
「もし俺が倒れたら夏樹が介抱してくれるんでしょ?なら全然平気♪」
うん。言ったら聞かないもんな律は。
しばらく並んで俺達の順番が来た。乗り込んだ後、律がギュッと手を握って来たのが可愛いくて俺も握り返す。
「あー、緊張してきた。夏樹、手離さないでね」
「任せろ!ずっと握っててやる」
「もー夏樹大好きー♡」
「ちょ、ここでキスはやめろ!」
小さい子供がいる前でなんつー事しようとしてんだこいつは。でも今はこんなやり取りさえ楽しく感じてしまう。
それぐらいワクワクしていた。
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