29 / 52
1章
二人でずっと
しおりを挟むベッドの中で律と抱き合ってお互いを感じ合っていた。暖かい温もり。誰かとこうしている事がこんなに安心するなんて思いもしなかった。
「律は俺を必要としてくれてるけど、俺にとっても律は必要なんだ」
「?」
「律と会う前までの俺ってめんどくさがりで何かに一生懸命になる事ってなかったんだ」
「そうなの?」
「でもさ、律の事になると何かしてやりたいって思っちゃうんだよな。ほっとけないって言うか、澪や弘樹とは違う気持ちになるんだ」
「特別って事?」
「うん。知らない間に律にすげー影響受けてたみたい」
「それなら嬉しいな。もっと夏樹が俺色に染まったらいいのに」
「もう染まってるっての」
「もっとだよもっと。例えば心だけじゃなくて体もとか」
「体も?」
「キスの先、してみない?」
「はぁ!?」
「えー、だめぇ?」
「それって、いや、この場合どうやるんだ?」
正直、キスの先が何なのかは分かる。だけど、男同士で出来るものなのか?いや、無理だろ。
「俺も良く知らないけど、夏樹としたいなぁって♡」
「知らないのに出来るのか?」
「自然に出来るんじゃない?」
「いや、何か怖い」
「夏樹は俺としたいって思わないの?」
「う……キスはしたい」
「セックスは?」
「ハッキリ言うな!」
「うーん、分かったよ~。夏樹がしたいって思ってくれるまで待つよ」
「本当か?何か、ごめん」
「ううん、謝らないでよ。代わりにチューはいっぱいするんだから♡」
そう言って早速濃いキスをされた。
大分慣れたけど、律はいつも自然にしてくるんだよな。手慣れてるっていうの?て事はその先も経験済み?だからしたがってるのか。あれっなんだこの心のモヤモヤは!
「んんっ……はぁ!なぁ律!」
「なにー?」
「律はキスの先を誰かとした事があるのか?」
「あるけど、なんで?」
「いや、なんでもないっ」
やっぱりあるんだ!俺は律の顔が見れなくなって、背中を向けると、すぐに後ろから抱きしめられた。
「夏樹?怒ってるの?」
「怒ってないっ!離れろ」
「どうして?離れたくないよ」
モヤモヤがバレたくなくて突き放す言い方になってしまった。それに律は更に強く抱き締めて来て、震えた声を出していた。
「……離れろなんて言って悪かったよ。なんかさ、律が他の人とそういうのしたんだって思ったら、なんか……嫌だなって」
「それって、ヤキモチ?」
「そうみたいだ」
「嬉しい♡夏樹がヤキモチやいてくれたー♡」
「何で喜ぶんだ?」
「だって嬉しいんだもん♪ちなみに最後まではしてないよ。出来なかったが正解かな」
「そうなのか?」
「うん。だって上辺だけの好きだったから、直前になって気持ち悪くなっちゃったの。だから俺も夏樹と一緒で初めてなんだよ♡」
「そ、そっか!なら早く言えよな!俺のモヤモヤ返せ」
「返しませーん。ねぇ夏樹、これから一緒にいっぱい初めての事しよう!」
「いいぜ。例えば?」
「セックス」
「ほ、他には?」
「旅行とか行きたいな」
「いいね♪海とか行きたい」
「あと、遊園地にも行きたいし、映画も観に行きたい」
「やる事たくさんあり過ぎて忙しくなりそうだな」
律とこれからの話をして盛り上がってつい夜更かしをしてしまった。とても楽しい時間だった。
きっと律とはこの先もずっと一緒にいるだろう。それなら今日話した事だって全部出来るはずだ。時間掛かってもいい。律が俺としたい事は極力叶えてあげよう。
なるべく律が笑顔でいられるように。
✳︎1章 完✳︎
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる