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秋山くんと早川くん【早川空編】
1.面白いものみーっけ♪
しおりを挟む俺は今日から城山高校って言う進学校に通う早川空。良く可愛い名前とか言われるけど、自分では気に入っている。理由は母さんが付けてくれたから。
それにしても入学式とかかったるいなぁ~。元々高校には行く気はなかったんだ。中卒の兄貴が「お前は絶対に行け」って言って受験する学校も全部兄貴が決めたんだ。
今俺は訳があって実家を出て兄貴が住むマンションに居候していて、おまけに学費まで全部世話になってるから俺は兄貴には逆らえないんだ。逆らう気はねぇけどな。
にしてもよりによって城山高校に行けだなんてキツいって~。一応進学校ではある城山高校はそれなりに勉強が出来ないと入れない。自分で言うのも何だけど、勉強面なら自信があったからそこは問題ないんだ。問題があるのは男子校だと言う事。
中学時代の俺はほとんどの時間を女の子と過ごして来た。周りからはチャラいだの女好きだの言われて来た。見た目もどちらかっつーと派手らしい。
だから男しかいないこの学校でやって行けるのかめちゃくちゃ不安だった。てか周りを見るとクソ真面目そうな奴らしかいねぇからモロつまんなそうだし。気の合いそうな奴いなそうだし、俺の高校生活終わったなと思ったね。
でも幸いなのが、進学校の癖に身だしなみの校則が緩い事だ。唯一規則にあるのは城山高校の指定の赤いネクタイを着用する事。指定のブレザーとかあるけど、別に自分で持ってるパーカーとかでもいいって訳。あ、勿論今日みたいな入学式とか特別な日にはガチガチに指定の物を着用しなきゃならないけどな。
でもそれ面白くね?お洒落が好きな俺にはありがたいな~ってね♪受験の時だけ黒に戻したこの髪も合格した瞬間にライトブラウンに染め直したからね♡アクセサリーも付け放題~♪
「でもマジで男しかいねぇな」
式が終わって各々教室へ向かってる途中で思わず声にして言ってしまうぐらいにむさかった。
俺みたいにお洒落してる人なんていねぇし、もうため息しか出なかった。
教室に行っても俺は一人で机に座ってスマホをいじっていた。周りは知らない奴ら同士挨拶とか世間話とかして盛り上がってたけど、俺はその中な入る気なんてなかった。だって絶対話合わねーだろこいつらと。
早く帰りたいなぁと思いつつ担任になる先生が来たからスマホを置いて頬杖をつきながら話をボーっと聞いていた。
すると、廊下の方でバタバタと誰かが走ってるような音が聞こえて来た。その音はどんどん大きくなって、俺達A組の前の扉が勢いよく開いて、一人の生徒が入って来た。
「ここかー!」
え?何?黒髪の、目付きの悪い、ヤ、ヤンキー?ワイシャツのボタンを数個外して、指定の筈のネクタイも付けていなかった。でもあのブレザーはこの学校のだよな?
男はそのまま担任がいる教卓まで歩いて行って、普通に話し始めた。
「いやー、参った!体育館行ったら入学式もう終わったとか言われてさー!んでクラス聞いたんだけど、道が分からなくてよー!あんた俺の担任だろ?よろしくな!」
何だよそれぇ?入学式初日に遅刻って、あいつマジ?話してる感じも頭良さそうに見えないけど、高校行けなかった馬鹿が城山のコスプレして侵入して来たとかじゃないよな?
俺はその後も担任とそのヤンキーのやり取りをボーっと見ていた。
話を聞いてると、どうやら本当にここの生徒で、このクラスの人らしい。
名前は秋山。担任に対してタメ口で、とにかく口が悪い。そして目付きも悪い。でも顔は綺麗だった。あれで女だったらタイプかも?女だったらな?
ふーん。この高校にもああいうのいるんだぁ♪
俺はその秋山って男とは話してみたいって思った。同時に、俺の高校生活も終わってねぇかも?とか少し期待しちゃったりもした。
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