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One more time.【野崎楓編】
3.妬
しおりを挟む次の日の朝、学校へ着くなり荻野拓を探していた。一年のクラスを一組から順に回った。そしたらすぐに見つかった。
貴哉が探していた荻野拓は、一見普通そうな、いや、少し大人しそうな男だった。直接声を掛けたら怪しまれるかと思ったから荻野と同じクラスの俺の友達に聞いてみた。
「荻野は誰とも話さねぇよ?いつも一人で何かの動画見てるし。何、楓ってばあいつと仲良くしてぇの?」
「いや、同じクラスの女子に聞かれてさー。偵察偵察~」
「はぁ!?荻野の事好きな女いんの!?誰!?ちょ、荻野じゃなくて俺に紹介しろ!」
「ばーか。そう言うんじゃねぇよ。んじゃ俺行くわー」
クラスの女子に聞かれたなんて嘘だけどな。
これで荻野拓がうちの学校にいるってのは分かったけど、一応貴哉に連絡入れとくか。
俺はクラスに戻ろうとして廊下を歩いていると、友達の女子の美春に声を掛けられた。ライトブラウンのロングヘアーの毛先を綺麗に巻いてる女の子。結構男子から人気のある子で、俺と美春は仲が良いから良く羨ましがられる。
あ、最悪さっきの嘘がバレたら美春に協力してもらおうかな。
「楓オハヨー♪こっちの方にいるの珍しいね~」
「おはよ。ちょっと友達に会いに来たんだよ」
「朝から楓に会えるなんて嬉し~♪髪色変えたんだねぇ?青も似合ってるよ~」
「そ?ありがと♪」
自分で言うのもなんだけど、昔から俺はモテる。
告白なんかもたまにされるけど、貴哉の事が好きだったから断っていた。今は恋と付き合ってるからもちろん断っている。
「おい!楓!そこで何してるんだ!」
「え?」
不機嫌そうな声で名前を呼ばれて見ると、恋が腕を組んで俺達を睨んでいた。
あ、美春との事を勘違いしてるなー。恋は俺が誰かと仲良くしてるのが嫌らしい。それは男でも女でも一緒で、相手が可愛かったりしたらそれはもう嫉妬も激しくなる。
「あ、恋おはよう」
「教室にいねぇから探したじゃねぇか!ほら戻るぞ!」
「あはは、またね楓~」
恋は乱暴に俺を引っ張った。そんなやり取りを見てた美春はニコニコ笑っていた。
恋と俺が付き合ってるのは公表していない。けど、恋とはいつも一緒にいるし、仲が良いと思われているぐらいだと思ってる。
「俺を探してたって、何かあったのか?」
「お前がまた他の奴とイチャついてるんじゃないかと思ってな。案の定イチャついてやがった」
「え、あれってイチャついてる事になんの?」
「なる!二人共楽しそうにしてたじゃねぇか!」
「美春は友達だぞ。楽しそうに話すのは普通だろ」
「あの女の事、好きなのか?」
「何でそうなるんだよ」
恋のやきもちを少し重く感じる事はある。
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嬉しいと思うのか、恋と同じで重く感じるのか……
恋の事は普通に好きだ。でもその好きはまだ貴哉を超える物じゃない。恋にも付き合う前には言ってあるけど、だから余計に嫉妬が激しいのかも知れない。
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