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2章 球技大会

俺、顔戻った!?

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 朝、起きると隣には驚く程のイケメンが眠ってた。伊織だ。
 そしてお互い真っ裸。

 いつ寝たんだ俺ら……
 
 話をした後、自然とそういう流れになってしたんだけど、寝たのは覚えてない。
 てか、ちょっと罪悪感あんだよなぁ。
 伊織としてる時でもちょくちょく空の事思い出しちまっててさ。だってあんなあいつ気になるじゃんよ!

 時間が経てばこの気持ちも薄れるかな……

 俺は伊織の部屋にあった時計を見て驚いた。
 なんと、朝だと思っていたのに既に12時近かったんだ!やべぇ!テニス!!


「おい伊織!起きろ!もう昼だ!」

「んー」

「クソ!シャワー借りるぞ!」


 伊織とした後そのまま寝ちまったのか体中がベトベトしてたから流そうとベッドから出る。そうだ、顔も確認しねぇと!
 その前に藤野だ!あいつには紘夢んちのテニスコート借りる話はしてあるけど、俺以外の連絡先知らねーだろうから、俺がすっぽかしたと思ってるぞきっと!
 慌ててスマホを見ると藤野、紘夢、茜からそれぞれ着信が来てた。音消してたから全然気付かなかった……
 とりあえず藤野に掛けてみる。


「あ、藤野か!?悪い!寝過ごした!」

『だろうなとは思ったよ。今起きたの?』


 電話の声は普通?てか笑ってる?


「そうなんだよ~。今から準備して向かうからさ、お前今どこ?」

『もう一条さんの家でみんなとテニスやってるよ。今お昼ご飯食べるところなんだ』

「えっ!藤野どうやって紘夢んち行ったんだ?」

『秋山から返事無かったから待ってたら、二之宮さんも秋山と連絡が付かないって言うんで俺に連絡が来たんだ。それで教えてもらったの。二之宮さんとは中学の時のテニス部で連絡先は交換してたんだ』

「茜か。なら良かった……あー、俺も今から準備して行くからみんなに言っといてくんね?」

「俺が責任持って連れてくって言っとけー♡」


 ここでさっきまで寝てた伊織が後ろから抱き付いて電話の向こうに聞こえるように言った。


「おわっ!伊織!お前起きたのか!」

『え、誰かといるのか?』

「い、伊織といるんだ。こいつも行く事になったから」

『伊織って、桐原さん?あー、そう言う事ね。分かった。伝えておくよ。気を付けて来てね』


 藤野に今の状況を伝えると、クスクス笑っていた。藤野が理解ある奴で助かったぜ。


「貴哉おはよー♡起きて貴哉がいるとか幸せ~♡」

「それは良かったな。てかシャワー借りるぞ!もう昼だ!」

「マジ?んじゃあ一緒にシャワーしようぜ♪」


 朝からベタベタと元々スキンシップの激しい伊織はどんな時でもこんな感じなんだな。

 まぁ時間もないし二人でシャワーを浴びた。

 風呂場で改めて伊織の全身を見て思う。
 昨日親の事聞いたのもあったけど、こいつは本当に男として羨ましい容姿をしてるな。
 程よく付いた筋肉にスラッと長い手足。おまけに高身長、顔面に至っては男らしいしっかりとした顔。正に満点だ。


「何?ジロジロ見て」

「お前っていい体してるよな。それも遺伝?」

「あー、そうかもな。父さんも母さんもスタイルいいし。貴哉は細ぇよな♪強く抱き締めたら折れちゃいそうだ♡」

「人が気にしてる事をっ!」

「気にしてんの?いいじゃんデブよりは。てか貴哉さ、背伸びた?もう少し低かった気がするけど」

「嘘!?俺背高くなったか!?」


 これは嬉しい情報だ!
 自分では気付かなかったけど、俺伸びてるのかぁ♪
 上機嫌のまま浴室に入り、ふと鏡を見る。
 あ、顔普通じゃね!?


「伊織!俺、顔戻った!?」

「ああそう言えば戻ったな。うん。可愛い可愛い♪」

「かっこいいだろー?顔じゃ負けるけど、身長は伊織に勝てるかもな~♪」

「あはは!そんないきなり伸びないだろ。てか貴哉何センチよ?」

「高校入ってすぐの身体測定では172だった。でも今はもっと伸びてる!」

「ぷぷ♪可愛いなぁほんと♪俺185あるけど、10センチ以上も伸びるかねー?」

「高っ!お前はそれ以上伸びるなよ!」

「はいはい。待っててやるから頑張れよ」


 ずっと笑ってる伊織は、何だか俺をからかって楽しんでるみてぇだった。
 悔しいが、羨ましいぜ……

 風呂から上がって着替える時に、伊織が「ちょっと待て」と俺を裸のまま放置してクローゼットの中に消えた。どんなプレイだよ。
 そして戻って来た伊織は紙袋を持っていた。


「実は貴哉に似合いそうな服買ったんだよね~♪いつでも泊まれるようにパンツも♡着て見てよ♪」

「いつ買ったんだよ!?」

「夏休みの最後の方だよ。俺買い物好きだから良く行くんだ。貴哉全然会ってくんなかったから一人で楽しんでたんだ」


 そんな事を話しながら買ってくれたと言う服を出して俺に当ててニヤッと笑う。
 伊織が買ってくれた服は白の大きめのTシャツに胸元にちょっと柄の悪そうなニコちゃんマークのプリントが入っていた。
 

「可愛い!お前センスあるな!」

「だろー?ちなみに俺は黒~♪お揃いで着ていこうぜ」

「お、お揃いとか恥ずかしいだろ!」

「そうか?仲良い感じがしていいじゃん。下はどうすっかー?テニスやるならジャージとかのがいいか?」


 再びクローゼットの中に入って行き、ゴソゴソしてる伊織。俺は気になったから覗いてみた。
 すると、中は大量の服がハンガーに掛けられていて、奥にある棚っぽい所にはアクセサリーとかサングラスなどがいっぱい置いてあった。そして、入って右側に引き出しがあったけど、きっとその中も服がびっしり入ってるんだと思う。
 てかこん中すげぇ良い匂いすんな!服屋かよここは!


「あ、貴哉~。スウェットあった。一応ブランド物だし、これ履いてこうぜ~」


 伊織は膝下丈のグレーのスウェットを引っ張り出して、一着俺に渡した。そして自分の手には同じデザインのスウェットが……
 全身お揃いかよ!


「これ履き心地良いからオススメ♪あー、服欲しいな~。なぁ明日どっか行かね?」

「こんなにあるのにまだ買うのかよ!」

「そろそろ冬物出てるし、楽しいじゃん買い物って♪」

「はぁ、仕方ねぇから付き合ってやるよ!買い物行くって約束してたしな」

「やったー♡デートだデート~♡」


 はしゃぐ伊織はTシャツだけを着た俺をぎゅーっと抱き締めて喜んでた。
 伊織が年上ってのを忘れる瞬間だった。

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