上 下
124 / 178
2章 球技大会

正義の味方只今参上!!

しおりを挟む

 次の日、今日から体育の時間は球技大会で出る球技毎に分かれて過ごすらしく、俺と藤野は二人でテニスコートに来た。
 どうやら藤野は本当にテニス部だったらしく、自分のラケットを持って来ていた。昨日の部活ではそれどころじゃ無くなって、茜に藤野の事聞けなかったんだ。


「藤野、問題発生。俺ラケットねぇや」

「だと思った。秋山って中学とか帰宅部っぽいもんね。家にまだラケットあるから明日からは俺の使いなよ~」

「いいのか!?てかそんなに持ってるのか!?」

「うん。結構ガチでやってたからね。てか秋山ってテニス経験どれぐらいなの?」

「初めてだ!」

「うわぁそれで良くテニスに手を挙げたね……何でテニスやりたかったの?思ってるよりテニスってハードよ?」

「茜が出るからだよ♪」

「茜……二之宮さんか。あの人ってそんなに社交的じゃなかったと思うけど、演劇部で仲良くなったの?秋山って凄いね」

「茜はあれでいいんだよ。それぐらいじゃないとあいつの彼氏がうるせぇからな」

「あー、いつもマスクしてる人ね」

「なぁ、藤野~。テニスやって見せてよ」

「え、一人でどうやれっての?」

「あ、そっか。んじゃあ暇人呼ぶか!」

「暇人?」


 とりあえず俺は生でテニスってのを見てみたかった。ルールも分からねぇからな。
 他にテニス経験者はうちのクラスにはいねぇから、他のクラスから呼ぶしかねぇ。
 当たり前だけど、今は授業中だ。それでもいつでもサボれて呼べばいつでも来れる、一番大事なテニス経験者と言えば……

 俺はポケットからスマホを出して普通に電話をかける。テニスは俺と藤野しかいないからかセンコーもいねぇし、誰もいねぇからもしもの時に持って来たんだ。
 早速役に立つとはな!


「あ、桃山か?やっぱお前なら電話出ると思ったぜ!」

『授業中に貴哉から電話とか珍しいから。どーした?俺今忙しいんだわ』

「忙しい奴が授業中に電話出るかよ。なぁちょっとテニスコート来れねぇ?出来ればラケット持って」


 あいつも茜がテニス出るならやるって言ってたからもしかしたら持ってるかもしれねぇ。
 無かったらセンコーに言って借りりゃいいと思ってた。


『なに、テニスやってんの?ラケット今持ってねぇからテニス部からパクってくわ』

「待ってるぜー♪」


 よし、これでメンツはOK。後は桃山がいる事が万が一センコーにバレた時の言い訳を考えるだけだな。
 ここで俺の横でずっと黙っていた藤野が気まずそうに言い出した。


「あのさ、俺あんまり目立つ事はしたくないんだけど」

「桃山の事か?大丈夫だ。あいつが何かしたら俺に任せとけ」

「桃山さんもだけど、先生に呼び出されるような事はしたくない」

「わーってるって!ここ俺達以外誰もいねぇし平気だろ」

「もしそうなるなら俺他の球技に変えるから……」

「チッ」


 まぁ俺も停学解けたばっかだからあんま派手な事はしたくねぇけどよ!別に桃山呼ぶぐれぇ平気だろ!
 藤野ってのほほんとしてそうで神経質なのか?めんどくせー奴だなぁ。
 あ、そうだ。桃山来たらこう言ってやろ!

 いい事を思い付いて、ニヤニヤしてると、出入り口付近のフェンスがガシャンと音を立てて揺れた。
 そして何かが上から落ちて来て、それが桃山だと分かった。
 出入り口が開いてんのにわざわざフェンスを越えて来るとか馬鹿だろ?呆れて見てると、桃山は持ってたラケットをビシッと俺達に向けてこう言った。

 
「正義の味方只今参上!!」

「あー、ハイハイ。お疲れ様。とりあえずこっち来い」

「えへへ~♪今の俺かっこよかったー?」


 俺と藤野の冷ややかな目も気にせず機嫌良さそうに近寄って来る桃山。それにしても思ったより早く来たな。


「なぁ、先に言っとくけど、お前は自分で勝手にここに来た。そしてもしもセンコーにバレても俺達を無理矢理脅して巻き込んでテニスしてた。そう言えるな?」

「!」

「んー、別にいいけど?てかそれっていつもの俺じゃん」

「よし!これでいいだろ?藤野!」

「……はは、やっぱり秋山は凄いな~」


 よし!神経質な藤野にも理解してもらえたし、早速テニスとやらを見せてもらうか~。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

モブ男子ですが、生徒会長の一軍イケメンに捕まったもんで

天災
BL
 モブ男子なのに…

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

【R18】息子とすることになりました♡

みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。 近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。 章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。 最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。 攻め:優人(ゆうと) 19歳 父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。 だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。 受け:和志(かずし) 43歳 学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。 元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。 pixivにも投稿しています。

目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件

水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。 そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。 この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…? ※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

彼女ができたら義理の兄にめちゃくちゃにされた

おみなしづき
BL
小学生の時に母が再婚して義理の兄ができた。 それが嬉しくて、幼い頃はよく兄の側にいようとした。 俺の自慢の兄だった。 高二の夏、初めて彼女ができた俺に兄は言った。 「ねぇ、ハル。なんで彼女なんて作ったの?」 俺は兄にめちゃくちゃにされた。 ※最初からエロです。R18シーンは*表示しておきます。 ※R18シーンの境界がわからず*が無くともR18があるかもしれません。ほぼR18だと思って頂ければ幸いです。 ※いきなり拘束、無理矢理あります。苦手な方はご注意を。 ※こんなタイトルですが、愛はあります。 ※追記……涼の兄の話をスピンオフとして投稿しました。二人のその後も出てきます。よろしければ、そちらも見てみて下さい。 ※作者の無駄話……無くていいかなと思い削除しました。お礼等はあとがきでさせて頂きます。

処理中です...