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2章 球技大会
正義の味方只今参上!!
しおりを挟む次の日、今日から体育の時間は球技大会で出る球技毎に分かれて過ごすらしく、俺と藤野は二人でテニスコートに来た。
どうやら藤野は本当にテニス部だったらしく、自分のラケットを持って来ていた。昨日の部活ではそれどころじゃ無くなって、茜に藤野の事聞けなかったんだ。
「藤野、問題発生。俺ラケットねぇや」
「だと思った。秋山って中学とか帰宅部っぽいもんね。家にまだラケットあるから明日からは俺の使いなよ~」
「いいのか!?てかそんなに持ってるのか!?」
「うん。結構ガチでやってたからね。てか秋山ってテニス経験どれぐらいなの?」
「初めてだ!」
「うわぁそれで良くテニスに手を挙げたね……何でテニスやりたかったの?思ってるよりテニスってハードよ?」
「茜が出るからだよ♪」
「茜……二之宮さんか。あの人ってそんなに社交的じゃなかったと思うけど、演劇部で仲良くなったの?秋山って凄いね」
「茜はあれでいいんだよ。それぐらいじゃないとあいつの彼氏がうるせぇからな」
「あー、いつもマスクしてる人ね」
「なぁ、藤野~。テニスやって見せてよ」
「え、一人でどうやれっての?」
「あ、そっか。んじゃあ暇人呼ぶか!」
「暇人?」
とりあえず俺は生でテニスってのを見てみたかった。ルールも分からねぇからな。
他にテニス経験者はうちのクラスにはいねぇから、他のクラスから呼ぶしかねぇ。
当たり前だけど、今は授業中だ。それでもいつでもサボれて呼べばいつでも来れる、一番大事なテニス経験者と言えば……
俺はポケットからスマホを出して普通に電話をかける。テニスは俺と藤野しかいないからかセンコーもいねぇし、誰もいねぇからもしもの時に持って来たんだ。
早速役に立つとはな!
「あ、桃山か?やっぱお前なら電話出ると思ったぜ!」
『授業中に貴哉から電話とか珍しいから。どーした?俺今忙しいんだわ』
「忙しい奴が授業中に電話出るかよ。なぁちょっとテニスコート来れねぇ?出来ればラケット持って」
あいつも茜がテニス出るならやるって言ってたからもしかしたら持ってるかもしれねぇ。
無かったらセンコーに言って借りりゃいいと思ってた。
『なに、テニスやってんの?ラケット今持ってねぇからテニス部からパクってくわ』
「待ってるぜー♪」
よし、これでメンツはOK。後は桃山がいる事が万が一センコーにバレた時の言い訳を考えるだけだな。
ここで俺の横でずっと黙っていた藤野が気まずそうに言い出した。
「あのさ、俺あんまり目立つ事はしたくないんだけど」
「桃山の事か?大丈夫だ。あいつが何かしたら俺に任せとけ」
「桃山さんもだけど、先生に呼び出されるような事はしたくない」
「わーってるって!ここ俺達以外誰もいねぇし平気だろ」
「もしそうなるなら俺他の球技に変えるから……」
「チッ」
まぁ俺も停学解けたばっかだからあんま派手な事はしたくねぇけどよ!別に桃山呼ぶぐれぇ平気だろ!
藤野ってのほほんとしてそうで神経質なのか?めんどくせー奴だなぁ。
あ、そうだ。桃山来たらこう言ってやろ!
いい事を思い付いて、ニヤニヤしてると、出入り口付近のフェンスがガシャンと音を立てて揺れた。
そして何かが上から落ちて来て、それが桃山だと分かった。
出入り口が開いてんのにわざわざフェンスを越えて来るとか馬鹿だろ?呆れて見てると、桃山は持ってたラケットをビシッと俺達に向けてこう言った。
「正義の味方只今参上!!」
「あー、ハイハイ。お疲れ様。とりあえずこっち来い」
「えへへ~♪今の俺かっこよかったー?」
俺と藤野の冷ややかな目も気にせず機嫌良さそうに近寄って来る桃山。それにしても思ったより早く来たな。
「なぁ、先に言っとくけど、お前は自分で勝手にここに来た。そしてもしもセンコーにバレても俺達を無理矢理脅して巻き込んでテニスしてた。そう言えるな?」
「!」
「んー、別にいいけど?てかそれっていつもの俺じゃん」
「よし!これでいいだろ?藤野!」
「……はは、やっぱり秋山は凄いな~」
よし!神経質な藤野にも理解してもらえたし、早速テニスとやらを見せてもらうか~。
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