【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

１章 写真ばら撒き事件

べ、ベッドから落ちたんだよ

　ギシギシと音が鳴る階段を上がって行くと、すぐ近くの部屋のドアが開いていて、そこから数人の声が聞こえて来た。

　俺は真っ直ぐそこの部屋に入る。


「なっちー！遊ぼうぜー！」


　俺がそう言って入ると、中の奴らは一斉にこちらを見て来た。

　なっちと怜ちん、そして数馬と直登もいた。

　懐かしい顔達に俺は感動しつつあった。


「秋山～！久しぶりだなぁ♪おう！遊ぼうぜ！」

「コラー！那智くんに貴ちゃんてばすぐに遊ぼうとしないのー！掃除終わってからにしてよね」

「あ……貴哉……」

「うわぁ、久しぶりの貴哉だぁ」

「みんな久しぶりだな！いろいろやってくれたみたいだけど、ありがとよ♪この通り俺はピンピンしてるぜ！」


　ここで数馬が俺に近付いて来て、俺の服の裾をギュッて握った。
　こいつも俺がいなくなってから頑張ってたみてぇだな。直登がいたからかな？
　俺はいい子いい子してやった。


「貴哉に会いたかったっ俺、凄く寂しかったよっ」

「相変わらずだなぁ数馬は～。てか顔にピアスしてねぇの？耳には相変わらずびっしりだけどよ」

「うん。顔のはしてない」

「俺がアドバイスしたのー♪数馬くんはシンプルな方が絶対似合うからってね」

「てかお前らまで何でいんの？」


　ここで疑問に思った事を聞いてみた。
　なっちが来るって事は怜ちんもいるだろうなとは思ってたけど、二人がいたのには驚いた。


「だってボラ部から緊急召集掛かったんだもん。数馬くんとデートしてたから断ろうとしたけど、数馬くんが行くって言うから」

「来たら貴哉に会えるかなって……」


　不貞腐れながら言う直登に申し訳なさそうに言う数馬。
　ん？結局付き合ってんのかこいつらは。


「俺も秋山に会いたかったぞ！いーくんもだけど、気付いたら二人が学校来てねぇから驚いたぞ」

「気付くの遅いんだよ那智くんは。それよりも紘夢には驚いたね～。黒髪似合ってたし」

「イメチェンってやつか？男はやっぱり黒髪が一番だぜ♪」


　そう言えばみんなは紘夢に対してどう思ってんだろ。なっちは気にしてなさそうだけど……


「なぁ、紘夢の事、許してやってくれないか？」

「…………」

「…………」


　俺がそう言うと四人は黙って顔を見合わせていた。
　俺からこんな風に言うのは変だけど、みんなも紘夢と普通に出来たらなって思うんだ。

　するとなっちが手を挙げて喋り出した。


「なぁ紘夢って何かやったのか？学校でも謝ってたし、さっきもみんなに謝ってたよな。俺何の事か分からねーんだけど」

「那智くんに説明してると日が暮れちゃうから省くけど、紘夢が写真ばら撒き事件の大元なの！」

「それは知ってっけどさぁ、それなら俺関係ないから許すも何もねぇじゃん？何でみんなに謝るんだよ」

「そりゃ、学校全体に迷惑掛けたからでしょ」

「あと、今回の件だけじゃなくて今までいろんな人に迷惑掛けて来たからじゃないですか？一年の俺達ですら一条さんの噂は知ってましたから」

「ふーん。それは紘夢が良くねぇな！」

「なっち……」

「でもよ、ちゃんと謝ったんだしいいよな！仲直りして一緒に楽しい事いっぱいしようや♪」


　一瞬なっちでも許せないのかと不安に思ったけど、やっぱりなっちだった。
　みんななっちみたいに考えてくれたらいいのにな。


「なっち好きー♡そうだよなー！楽しい事いっぱいしよーぜ♪」

「あ、貴哉……」


　俺は思わずなっちに抱き付くとヒョイっと抱き上げられてそのままなっちごとくるくる回された。
　子供にするみたいに軽々やってるけど、これだからなっちの事は好きだ♪

　数馬が何か言いたそうにしてたけど、俺は今なっちゴーランドを楽しんでっ……いっ！？


「ギャア！なっちストップ！！」

「ん？どした貴哉」


　なっちゴーランドに夢中になってて腰を痛めてるの忘れてたぜ……

　朝よりは良くなったけど、反ると今でも痛い。
　
　なっちに降ろしてもらって地べたに膝をついてると、数馬が寄って来た。


「貴哉、大丈夫？」

「ああ……実は今腰痛めてんだ……」

「えー、何で腰なんか？ずっと家にいたんでしょ？」


　数馬の後ろからひょこっと顔を出して直登が不思議そうに聞いて来た。
　これは誤魔化した方がいいよな……


「そうだけどよ、べ、ベッドから落ちたんだよ」

「湿布とか貼ってるの？俺、紘夢に持ってるか聞いてくるよ」

「怜ちん、ついでにおやつあるか聞いて来てくれ」

「はいはい」


　なっちはマイペースだったけど、怜ちんはパタパタと走って部屋から出て行った。
　これじゃ何も出来ねぇなぁ。
　マジで俺役立たずじゃん。