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1章 写真ばら撒き事件

※ もしもし紘夢だけど、3Pって何?

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 ※紘夢side

 四人で的羽が作ってくれたナポリタンを昼食に取りながら午後の予定について話し合っていた。

 ここまでで掃除が終わったのはみんなで飲んで騒いだ部屋である応接間と、ダイニングだけ。
 このままのペースでは終わらないので助っ人を呼ぼうかどうか悩んでいた。

 人を呼ぶのは構わないけど、誰でもって訳にはいかない。
 だって俺達って嫌われ者の三人だから。


「なぁボラ部に頼むのは?」


 ここで桃が珍しくまともな発言をした。
 確かに、こう言うのは葵くんが作ったボランティア部にお願いするのが正しい。
 「困ってる人がいたら無償で手を貸す」がモットーのボラ部だもんね。

 
「確かにいいかもな。土曜で急だから予定が合えばいいけど」

「それと大事な事を忘れてるけど、現部長のいーくんは停学中だよ。副部長は貴ちゃんとラブラブしてるし、誰に頼むの?」

「うーん。あとボラ部って誰がいたっけ?」

「二年だと平塚と香山になるな。一年は秋山と広瀬がいるぐらいしか分からないな」

「那智くん!那智くん呼ぼうぜ♪」

「香山なら体力あるし、頼りになるかもな。よし、声を掛けてみよう」

「誰が連絡するの?俺、今言った人全員連絡先知らないよ」

「俺もだ。湊は香山の知ってるか?」

「知らない」


 ここで嫌われ者の弱点が出た。
 人脈があるようで無い俺達。
 

「貴哉なら知ってんじゃね?那智くんと仲良いみてぇだし」

「ああ、二人で良く遊んでるみたいだね」

「そうなのか?それなら秋山に連絡してみよう」


 貴ちゃんと香山那智が仲良いのは俺が雇った貴ちゃんのスパイから聞いていた。
 香山とは本当に友達のようにただ遊んでるだけ。
 香山のファン達もホワイトな奴らがほとんどで、貴ちゃんに何も危害がないので放っておいたんだ。
 
 貴ちゃんをボラ部に入部させるように誘導して、人気者の三人の内誰かとぶつかって揉めればいいなと思っていたら、まさかの大本命の桐原伊織に気に入られたんだ。

 それから俺の計画は進み、今こうしている訳だ。

 香山なら俺を見ても何とも思わないでいてくれそうだよな。

 俺がそんな事を考えていると、桃がスマホを出して電話をかけ出した。
 それを食事中に行儀が悪いと怒る茜ちゃん。

 
「あ、もしもーし?貴哉ぁ?今暇かぁ?」


 どうやら貴ちゃんが電話に出たみたいだ。
 貴ちゃんに電話を掛けて出てくれるのはとても珍しい事だと思う。
 大抵出ないか、酷い時はその後に返事すらなく、電話を掛けたのが無かった事にされる。

 貴ちゃんらしくて気にならないけどね。


「……おー、そっか。ところでよ、那智くんの連絡先教えてくんね?……何でかは秘密~♡」

「おいっちゃんと秋山に理由話せよ!」

「あーハイハイ。実はよ、紘夢んちの掃除してんだわ今。さすがに三人じゃ終わらねぇから助っ人頼みてぇんだけど那智くんがいいなぁって♡俺からの指名で♡」


 桃の声しか聞こえないけど、何となく貴ちゃんの反応が予想出来る。
 きっと「俺も行くー!」とか「俺もなっちに会いたい!」とかじゃないかな?


「おう。貴哉も来いよ。みんなで一気にやって終わらせようぜ!じゃないとサボると茜がうるせぇんだわ」


 ほらやっぱり。
 空くんと居ても香山と遊ぶのが好きな貴ちゃんなら食い付くよね。


「……は?勉強?何それ?……てかいーくんもいんのかよ?また3Pでもしてんの?あはは」


 3P?それは俺、知らないな……
 てかいーくんが貴ちゃんちにいるの?
 昨日は空くんがいたからうちに来れなくて、今日はいーくん?


「ちょっと桃、電話貸して?」

「お?何か紘夢が話してーらしいから代わるわ」


 桃のスマホを受け取って今度は俺が貴ちゃんと話す。


「もしもし紘夢だけど、3Pって何?」

「ぶっ!そこかよ紘夢!ウケる~」

「湊お前黙れ!口軽すぎんだ!」

『全部聞こえてるっつーの!クソ変態野郎が!』

「貴ちゃん、もしかして空くんといーくんと三人でしたの?」

『今はその話はいいだろ!お前んちで掃除してんだろ?俺も行きてぇんだけど、母ちゃんに伊織に勉強教われって言われてるから無理なんだ。なっちの連絡先は送っておくからよ』

「貴ちゃんも来て!貴ちゃんママには俺から言っておくから!」

『はぁ?そんな事言ったって、母ちゃん今友達と会ってっし……』

「また掛け直すよ。ちょっと待ってて♪」


 俺は電話を切って今度は自分のスマホを取り出して貴ちゃんママに電話を掛ける。

 茜ちゃんと桃は黙って見ていた。


「あ、もしもーし♪俺です。わかりますー?」

『分かるよ~。どうした?貴哉なら家にいると思うけど』

「実は、貴ちゃんが勉強してるって聞いて、俺が教えられたらなぁって。いーくんでも良いとは思うんですけど、俺の方が上手く教えられると思うんですよ。これでも高校で習う事は勿論、大学で教わる事まで頭に入ってますから♪」

『そっか。紘夢って天才児だったね~。うんいいよ。それなら貴哉の事頼むよ』

「任せて下さい♪あ、忙しい所すいませんでした~。ではまた」


 これでよし。
 その後すぐにまた貴ちゃんに電話をする。


「貴ちゃん♪貴ちゃんママには許可取ったから安心して来てよ♡あ、的羽!今すぐ貴ちゃん迎え行って!」

『はぁ!?おい、どういう事だよ?それに俺今腰が……』

「ハイ。行って来ますよ。住所教えて下さいな」

「貴哉来るのか!?やったー♡茜!みんなで何して遊ぶー?」

「掃除すんだよ!」

『何かそっち賑やかだな……訳が分からねぇけど、母ちゃんがいいって言ったのは本当だな?嘘だったら許さねぇからな!』

「本当だから大丈夫だよ~♪待ってるよ~♪」


 貴ちゃんとの電話を切って、俺は的羽に貴ちゃんちの住所を送った。
 そして喜びはしゃぐ桃にやれやれと言った顔の茜ちゃん。
 でも茜ちゃんも貴ちゃんに会えるってなってどこか嬉しそうだ。

 そして貴ちゃんからメッセージが送られて来た。
 どうやら香山にはいーくんから連絡してくれるみたい。

 貴ちゃんが来るならいーくんと空くんも来るよね。
 まだ二人にはちゃんと謝れてないから不安だけど、貴ちゃんもいるし大丈夫だよね?
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