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1章 写真ばら撒き事件

あ、お前伊織のファンか!

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「あはは~♪やっぱり飲める人がいると楽しいね~♪ほら瑛二!もっと食べな!貴哉より背が低いじゃないか!」


 家に母ちゃんの陽気な声が響いていた。
 あの後すぐに出前の寿司が届いて俺と、空で準備を整えて今五人で夕飯の寿司を食べていた。


「うるせぇ!もっと小せぇのいるんだからな!俺は高い方だ!」

「貴哉はそれぐらいでいいよ。俺より高くならないで♡」

「私はもっと伸びると思うね!死んだ父ちゃんは背が高かったし」

「あら、ご主人亡くされているんですか」

「今は新しい父ちゃんがいるけどな」

「そうなのね、秋山くんの家も大変だったのね……」

「お、お母さん、話しなくちゃ」


 ここで倉持が自分の母ちゃんの腕を引いて言った。
 そうだった、この人達謝りに来たんだっけ。
 倉持の母ちゃんも俺の母ちゃんに酒出されて気分が良くなったのか普通にしてたからうっかり忘れてたぜ。


「そうだったわね。秋山さん、話聞いてくれるかしら?」

「私の事は凛子でいいよ。貴哉も秋山だし紛らわしいからね」

「じゃ、じゃあ凛子さん」

「はーい♡瑛二、話しな!」

「は、はいっ!あの……何から話せばいいのかなぁ」

「何だそりゃ。まとめて来いっつーの」

「貴哉そういう事言わない。倉持、まずは何であんな事したのか話してよ」


 俺が思った事を言うと空が苦笑いして助け船だしてた。ウジウジしやがって。謝りに来たんじゃねぇのかよ。


「うん、本当はあんな事やりたくなかったんだ。でもやらないと桐原さんを盗撮した事をバラしてこの学校にいれなくしてやるって言われて……」

「伊織を盗撮ぅ?あ、お前伊織のファンか!」

「憧れてはいるよ!それで、仕方なくやったけど、凄い騒ぎになっちゃって、俺、怖くなっちゃって……結局学校にも行けなくなっちゃったんだ」

「瑛二……」

「誰に脅されたんだよ?」

「それは……」

「そこも脅されてるんだって。俺の事を周りに言えばお前だけじゃなく母親も働けなくしてやるって」

「最低だなそいつ」

「瑛二、秋山くんに教えなさい」

「でもっ言ったらお母さんがっ」

「お母さんの事は気にしなくていいの。どんな子か知らないけど、瑛二にそんな事言うなんて許せないわ!」

「お母さん……」


 へー、倉持の母ちゃんかっこいいじゃん。
 もちろん俺もそいつの事許さねぇけどな!


「なぁ瑛二、そいつの事こえーの?」

「そりゃ……」

「俺は怖くねぇよ」

「?」

「陰でコソコソそんな事する奴なんかろくな奴じゃねぇだろ。そんな奴俺がぶん殴ってやる!だから教えろ。な?」

「殴るな。瑛二良く聞きな?うちの貴哉は馬鹿だけど、友達が困ってたら手を貸す良い男なんだ。一人で抱え込んでないで貴哉に投げちゃえよ」

「貴哉だけじゃないぞ!俺も力を貸す。それと多分生徒会長も手伝ってくれると思うんだ。だから話して欲しい」

「生徒会長!?本当に!?」


 空の言葉に瑛二は驚いていた。
 生徒会長ってそんなにすげぇのか。


「本当だ。てか倉持が犯人だった場合、俺の所連れて来いって言われてるんだ。明日一緒に行こう」

「そ、それって、俺を怒る気なんじゃ……」

「怒られるとは思う。実際学校を汚したってんで美化委員は犯人の事を怒ってるらしいし。でもそれは悪い事をしたからだ。キチンと謝って訳を話そうぜ」

「…………」

「瑛二、生徒会長の所へ行きなさい」

「お母さんっ」

「今回の事が許されるのなら何でもしなさい。ただし、していいのは良い事だけよ。良い事なのか悪い事なのか分からなくなったなら私に聞きなさい。ううん。秋山くんでもいいわ」

「おう!俺も分かんねーと思うけど、一緒に悩んでやるよ♪」

「貴哉に聞いたら余計に面倒な事になりそうだよなー」

「空分かってんね~♪ビール持って来て~♪」

「はいはい。あ、早苗さんも飲みますか?」

「いえ、私はもう……」

「早苗ちゃん飲もうぜ~♡そうだ!貴哉の小さい頃の写真見せてやるよ!空!アルバム持って来て~」

「母ちゃん今大事な話してんだから黙ってろよ!」

「辛気くさいのは嫌いなんだよ。二人共謝ったんだしもういいじゃん。食べよ食べよ~」

「ふふ、凛子さんて楽しい方ね」

「…………」


 俺の母ちゃんの空気の読まない言動に笑う瑛二の母ちゃん。瑛二は笑ってる自分の母ちゃんを見て、少し驚いた顔をしていた。
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