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1章 写真ばら撒き事件
秋山くんて変わってるね
しおりを挟む会議室での一件の後、俺は職員室で今後について担任から話を聞いていた。
どうやら自宅謹慎ってのは、家で反省をしていろと言う事らしい。だから俺は処分が決まるまでは教室には行けないんだと。みんな心配してるだろーなぁ。まぁメッセージしときゃいっか。
それよりも伊織だ。あいつあんな事言って、一人で罪を被ろうとしてる気だ。一回話したいけど、避けられてるしなぁ。
「なぁ担任、ちょっと伊織と話てーんだけど、ダメ?」
「お前ら電話があるだろ。帰ったらしろ」
「俺あいつに避けられてんだよ。てか担任も分かってんだろ?伊織が一方的になんて嘘だって」
「ほう、それはお前と桐原の仲を認めると言う事かぁ?俺はてっきり早川だと思ってたけどな」
担任はニヤニヤしながら茶化して来やがった。
ムカつくから睨むと、悪い悪いと言って何かを考え始めた。てか担任がそんな事言っていいのかよ。不純なんとかってのになるんじゃねぇのかよ。
「うーん、柴田先生に頼んでみるか」
「柴田?」
「先生を付けろ!桐原の担任だ。まだ若いんだが、生徒達から人気があってな。歳が近いから話しやすいのかもな」
「ああ、あの人か」
さっき教師達の中にいた一番若い奴だな。
黒髪で真面目そうな感じの男だったな。
担任は、謹慎中に俺にやらせようとしてるプリントを用意しながら話していた。
あーあ、しばらく学校来なくていいとか嬉しい筈なのに、なんか違うんだよなぁ。朝も早く起きなくていいのに、全然ワクワクしねぇんだ。
「そう言えば、教頭先生がおっしゃってたお前から学んだ事って何だ?」
「あれか、学年主任だよ!あいつ怒鳴ってばっかで全然話入って来ねえって教えたら教頭が喜んでたんだ。おかしい人だな教頭って」
「馬鹿者が!失礼な事を言うんじゃない!どちらの先生も素晴らしいお方なんだぞ!」
「教頭は何となく分かるけど、バーコードは大した事ねぇだろ」
「バーコード!お前、それ絶対鈴木先生の前で言うなよ!?」
「あのー、お話中すいませーん」
「「ぎゃ!?」」
俺と担任で話してたらいきなり後ろから声を掛けられて二人揃って驚いちまった!バーコードかと思ったら、さっき話に出て来た伊織の担任の柴田って言う先生だった。
「ビックリしたぁ!焦ったぜ!」
「お、俺もだ……鈴木先生かと……」
「驚かせてすいません。少し秋山くんとお話ししたいのですが、お借りしてもよろしいでしょうか?」
「え、俺?」
「ああどうぞどうぞ。私は書類まとめてますので」
「なにー?話って」
「コラ!敬語を使えと何度言えば分かるんだ!」
「あはは、いいんですよぉ、俺なんかにかしこまらなくても」
「柴先!話って何?てか俺伊織と話してぇんだけど、伊織どこにいんの?」
「あ、き、や、まぁ!!プリントの量倍にしておくからな!!」
「秋山くん!廊下に行こうか!?桐原なら生徒指導室にいるから時間作ってあげるよ」
「本当か!?柴先って他のおっさんらと違って話分かる~♪んじゃ行ってくるな玉ちゃーん」
桃山が言ってたみたいに呼ぶとやれやれとした顔でしっしっと手でやられた。
俺は伊織用のか、何かのプリントを持ってる柴先と一緒に廊下を歩く。
「秋山くんて変わってるね」
「そうか?みんなそんな風に言うけど、普通だろ普通。で?話って何だ?」
「実は、桐原に話を聞いたんだけど、自分が無理矢理やったの一点張りで……俺は違うと思うんだけど、秋山くん、本当の事教えてくれないか?あ、別に俺は偏見の目で見たりしないよ?むしろ好き同士ならいいんじゃないかと思うし……問題は合意の上での行為なのか、桐原が一方的になのかでそれぞれの処分が変わって来ちゃうって所なんだ」
「あいつまだそんな事言ってんのかよ」
「そうなんだよぉ。一応担任としては守ってあげたいし、本当の事を話して欲しいんだけどね?お互いの意見が食い違っていると処分が出るのも遅くなると思うんだよ」
「ふーん……」
ある教室の前まで来て柴先が立ち止まって思い詰めた顔で俺を見て来た。チラッと生徒指導室の文字が見えて、ここに伊織がいるんだと分かった。
「正直に言うと、俺と伊織は付き合ってねぇよ」
「え!そうなのか?じゃあ、本当に桐原が……?」
「それは違う!俺と伊織はお互い好きだったんだ。でも俺は違う奴と付き合ってた。つまり浮気したって事だ」
俺がハッキリ言うと驚いてた。
俺と早川の事を知る他の奴らなら分かってると思うけど、柴先は知らなかったみたいだな。
「う、浮気!?秋山くんは恋人がいるのに桐原と写真のような事をしたって事?」
「そうだよ。だから悪いのは俺だ。どっちも好きになって、伊織とも人には言えないような事をした。伊織だけが悪いんじゃねぇ」
「そっか!やっぱりそうなんだね」
ホッとしたように笑う柴先に俺はニカっと笑ってやった。
「ずっと俺をシカトしやがる伊織にガツンと言いてぇんだ。今は二人きりになるのはマズイだろ?柴先が見届けてよ♪」
「うん。分かった。桐原の事、頼むよ」
そして俺は覚悟を決めて生徒指導室のドアを開けた。
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