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本編

怒ってるいーくんも素敵〜♡

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 それから二人とファミレスに入り浸り、いろいろな話をして過ごした。ここに来る前にイライラしていた俺はすっかり落ち着いて今では二人と笑いながら話せている。
 

「はぁ、明日からまた学校か~。ダルいなぁ」

「それな。茜とクラス同じだったら良かったのに」

「俺は秋山に会えるから学校楽しみだぞ」

「お前って本当俺の事好きだな」

「当たり前だろ。秋山は可愛い後輩だし、一番の友達だからな♪」

「嬉しい事言ってくれるねー。てか茜って普通に良い奴だよな。周りともこうして話せば仲良くなれんじゃね?」

「ならなくていーし。茜は俺だけでいーの」

「ところで、秋山さっきからスマホをチラチラ見てるけど、予定があるのか?」

「へ!?嘘!俺そんな見てた?」


 やべ。無意識に見てたみてぇだな。
 一応空から連絡来るかもだし気にはしてたけどよ。てかシカトしたままとか明日から気まずいじゃんよ……


「あれだろ?早川から返事待ちだろ?それかいーくんからの待ってるとか。てか電話してみろよ」

「やだ!出なかったらムカつく!」

「でも明日から学校だぞ?秋山がいいなら無理強いはしないけど」

「そうだけど、シカトされてるし俺からはちょっとな……」

「そのシカトっての許せねぇな。付き合ってんだったらそれはダメだろ。貴哉俺が掛ける。スマホ貸せ」

「貸す訳ないだろ!いいよ。空がそういうんなら俺はそれで」


 正直、時間が経ってるのもあって空と会って話す事が怖くなっていたのもある。
 伊織からはあれから毎日ちょこちょこ連絡は来てて、まだかまだかと毎回告白の催促をされていた。それはまだいい。問題は明日の朝だ。


「はぁ、俺起きられるかなぁ」

「ああ、早川が学校がある日は毎朝迎えに行ってるとか言ってたな」

「そうなんだよー。俺遅刻出来ねぇからさ、起こしてもらってたんだけど、明日来てくんねーかもじゃん?目覚ましじゃ意味ねぇし」

「それならいーくんに迎えに来てもらえばいいじゃねぇか」

「伊織にぃ?」

「貴哉から頼めば喜んでやるだろ。なぁ?茜」

「ああ、それは名案だな。一応早川にも連絡しておけばいい。明日からは桐原に頼むからってな」

「嫌ならすぐに返事してくるかもだしな!よし、貴哉、まずはいーくんに電話して迎えの予約しろ。そしたら早川だ」

「でもあいつんち遠いんだよなぁ……やってくれっかなぁ」


 ここで二人がニヤニヤし出した。俺また余計な事言ったか?


「いーくんち知ってるとか怪しくね?絶対今回以外でもヤッてるだろ」

「ああ、二人なら無くは無いな」

「黙れ!伊織に電話すりゃいいんだろ!」


 半ばヤケクソで伊織に電話してみた。するとすぐに出てくれた。


『貴哉ー♡ちょうど俺も電話しようと思ってたんだぁ♡』

「へー、なんで?」

『夏休み最後だし、会いたいなぁって。なんかしてた?』

「茜達と飯食ってた。それより伊織に頼みたい……」

『なんだよそれー!どーして俺は誘ってくれねぇんだよ!てか達って誰?他に誰がいんの?』

「え、茜とー……桃山だけだけど」


 二人を交互に見て言うと、伊織は電話の向こうで何かをしているようなバタバタした音が聞こえてきた。


『分かった。どこで飯食ってんの?俺も行くから教えて』

「は?ちょ、来なくていいって」

「いーくんくんのー?やったー♪」

『場所は桃山に聞くわ。じゃあな貴哉♡』


 一方的に電話を切られて俺はボーッとしていた。
 すぐに桃山のスマホはピロン♪と鳴って桃山は笑顔になった。


「いーくんからだぁ♪」

「良かったな秋山」

「良くねぇだろ。はぁ」

「どうしてだ?会いたくないのか?」

「……気まずいじゃん」

「俺達もいるんだし、いつも通りにしたらいいだろ。今日の秋山は元気なかったから桐原に癒してもらえって」

「そうそう♪愛の力で元気いっぱい♡」


 桃山は伊織が来る事で浮かれているのか、マスクをずらして隣に座る茜のほっぺにチュッとキスをした。


「湊!こういう所では辞めろって何回も言ってるだろ!」

「だって茜が可愛いくて♡」

「お前らって本当仲良いよなー」

「貴哉もして欲しいのか?んじゃしてやるよ♡」

「こっち来るな!おい茜!止めろ!」


 マスクをずらしたまま俺の空いてる隣の席に座って近寄って来る桃山。こいつ本当イケメンだなぁ!って、そんな事言ってる場合じゃねぇ!
 こんな人が大勢いる所で、しかも桃山に!そんな事されたくねぇ!


「俺ドリンク取って来る」

「あ!桃山を押し付けやがったな!」

「茜は俺の味方なのー♡貴哉にチューとか初めてで嬉しいー♡」

「ぎゃー!彼氏いるのに何してんだてめぇ!」


 俺の抵抗も虚しく、桃山に取り押さえられて俺のほっぺを奪われた。軽くチュッてされながら思うけど、こいつ力強すぎん?なんかいつかの直登を思い出すわ!

 どうにかして逃げようともがいている所に、桃山越しに見えた男を見て俺は血の気が引いた。そこには笑顔だけど、めちゃくちゃ怒ってる伊織が立っていたんだ。


「マジで何してんのかなー?桃山ー?」

「あ♡いーくんだぁ♡」

「とりあえずここじゃ迷惑になるから外出ようや」

「怒ってるいーくんも素敵~♡」


 伊織は本当に桃山を連れて店を出て行ってしまった。残された俺は飲み物を持って戻って来た茜と苦笑いを浮かべた。


「秋山、俺達も行こうか?」

「そうだな。桃山のフォローしてやんねぇとな」


 思ったより早く登場した伊織に、桃山を救出する為急いで会計を済ませて二人の後を追った。
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