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本編
※俺が数馬くんの病気を治してあげるのー♡
しおりを挟む※直登side
数馬くんの部屋に遊びに来た俺は、どうにかして慣れてもらおうと考えた。
数馬くんの興味引く話をすればいいのかな?やっぱゲーム?ノートパソコンも持って来たしやってみるかー。
「数馬くんー、Wi-Fiのパスワード教えてー」
「う、うん」
プリンを置いたテーブルにノートパソコンを広げて、何となく数馬くんの部屋を見渡してみる。
勉強机にパソコンが置いてあって、いつもそこでいじってるのかーと思いつつ横を見ると、なんとそこにもう一個ノートパソコンがあった!
気になって机に近付いて見ると、数馬くんはビクッと反応した。
「うわっ数馬くんのパソコン最新型だし!てか何で二個もあるの!」
「え、えっと、それは……」
「それは?」
「ゲーム用と、勉強用……です」
「なんだそりゃ!使い分けてるとかどんな高校生だよ!」
「…………」
「あのさ、数馬くん。いきなり押しかけて来たのは悪いと思ってるよ。俺も数馬くんと仲良くなりたいんだよね。分かってくれる?」
「……うん」
「そっか。じゃあさ、恋バナしよっか?」
「こ、恋バナ!?」
パッと顔を上げて顔を赤らめてる数馬くん。顔面ピアスだらけで、髪の一部を青に染めてるような見た目してるけど、興味あるみたいだな。
「さっき貴哉の事好きって言ってたけどさ、俺も好きだったんだよね、貴哉の事が」
「そうなのか?」
「空くんに負けちゃったけどね~。実はキスまでならした事あるんだぁ♡」
「!」
これには驚いたみたいだな。ちょっと自慢だよね。
「数馬くんは貴哉のどこが好き?」
「……かっこいいところ」
「かっこいい?どちらかと言うと可愛いじゃない?」
「あと、優しい」
「あー、それは分かるなー。何だかんだ優しいよね。仲間想いってやつ?」
「うん」
「ねぇ、付き合いたいと思わないの?」
「だ、だって、空がいるから」
「取っちゃえば?」
「!?」
「まぁ俺にも無理だったし、数馬くんにはもっと無理かぁ。じゃあ諦めるの?」
「……俺は、貴哉の側にいられるだけで……いい」
「健気だなー。俺はもう諦めちゃった~。だから今暇で仕方ないんだよ」
「直登は……」
「んー?」
「どこが好きなの?」
「どこって、やっぱギャップかなぁ?」
「ギャップ?」
「ほら、貴哉って一見見た目も言葉使いもヤンキーでしょ?なのに、中身はヤンキーっぽくないじゃん?他にもあるんだけどね~」
「…………」
「貴哉はさ、本当に凄いよね。面倒くさがりの癖にいろいろこなしちゃうし、いろんな人に好かれちゃうし。何だかどんどん遠くに行っちゃうみたいで少し寂しいよ」
「……直登」
「特に今夏休みだから貴哉に会えないし?あ、数馬くんは部活で会ってるんだっけ?」
「少しだけどね」
「ねぇ、数馬くんは進級して貴哉とクラス離れちゃったらどーすんの?」
「っ!」
「今は貴哉がいるから大丈夫だろうけど、もしいなくなったら教室にいられるの?」
「が、頑張るっ」
「一応やる気はあるんだね。じゃあさ、少し協力してあげるよ♪」
「何をするの?」
「俺が数馬くんの病気を治してあげるのー♡」
俺は何も気にせずにずっと突っ立ったままの数馬くんに抱き付いた。ちょっと面白そうだなと思ったから。そんな軽い気持ちでくっ付いただけなんだ。
「っあ……うわぁぁぁぁ!!!」
「っ!?」
数馬くんの叫び声に驚いて慌てて離れると、数馬くんはすぐ後ろのベッドに上がって布団を頭まで被って見て分かるぐらい震えていた。
あ、俺やらかしちゃった?
そう、まるで初めて数馬くんが教室にやって来た時みたいにブルブル震えていた。
「ご、ごめん!数馬くん、大丈夫?」
「はぁはぁ、はぁはぁ……」
何だか辛そうな息遣いに、俺はベッドに近付いて数馬くんがくるまってる布団を撫でる。
どうしよう、俺のせいで数馬くんが苦しそう……
今家に誰もいないって言ってたし……
こうなったら貴哉を呼ぶ!?
「数馬くん!今貴哉を呼ぶからね!待っててね!」
「っだ、め!」
「えっ?」
布団から手だけが伸びて来て布団をさする俺の腕を掴んで来た。その手は震えていてとても弱々しく見えた。
「どうして?だって、数馬くん苦しいでしょ?」
「貴哉に迷惑かけたくないっ薬っ!取って!机の上にあるっ」
「薬!?分かった!」
言われた通りに机の上にあった錠剤を渡してあげると、顔だけ出してゴクリと飲んでた。
やっと顔が見えたけど、とても苦しそうで、涙まで流してた。
俺、とんでもない事しちゃったんだ……
「はぁ、はぁ……」
「あの、数馬くん、ごめんね?」
「え……いや、俺の方こそごめん……せっかく協力してくれたのに……嫌な思いさせて……」
「数馬くん……」
「俺、自分でもこんなの嫌なんだっ自分の意思とは違う行動を取って周りに不快な思いさせて……直登、お願い……嫌いにならないで」
ポロポロ涙を流しながら数馬くんが言った。
辛いのにいっぱい喋ってくれて、悪ふざけした俺に嫌いにならないでってお願いしてくれた。
え、数馬くんってこんな可愛いの!?
「嫌いになんかならないよ!俺の事も嫌いにならないで?えっと、もっと優しく協力するから」
「……良かった」
涙でボロボロになった顔で笑う数馬くんを見て俺は、自分で言った言葉とは裏腹な行動を取っていた。
さっき数馬くんを辛い目に合わせたばかりなのに、それなのに俺は数馬くんの頬を両手で包んで、また触れていた。
ビクッとする数馬くん。かわいそうだけど、俺は今数馬くんに触れていたかったんだ。
「怖がらないで。優しくするから。数馬くん、大丈夫だよ」
「……直登?」
数馬くんから布団をどけて、俺は座ってる数馬くんの膝の上に跨った。
そして小さく震える数馬くんにそっと顔を近付けて唇と唇を合わせる。
また叫ばれるのを覚悟で、俺は数馬くんにキスをした。
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