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本編

やったー♪倒せたー!

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 それから数時間が経ち、茜もゲームに慣れて来たから俺達は連携を取りながらダンジョンの隠しダンジョンを見つけていた。
 今回のアップデートで新しく追加されたらしいんだけど、難易度が高いらしく俺達はその場所さえ見つける事が出来ずにいた。


「やっぱり、こういうのは冒険家がいた方が楽だな」

「そんなの職業にあったっけ?」

「あるよ。冒険家は戦闘はそこそこしか出来ないから戦力になる人達とパーティーを組まなきゃダンジョンは攻略出来ないけど、冒険家だけの特別なスキルでその隠しダンジョンがどこだか分かるようになってるんだよ。だから大きいギルドなんかには何人かいるけど、ソロでやりたい人は冒険家は向かないんだ。転生を繰り返して多少戦闘スキル身に付けていればソロでもいけるんだろうけど、なかなかいないよね」

「へー、ギルドかぁ。何か面倒くさいよな」

「お、おいっ秋山?何か俺の吹き出しマークが点滅してるぞ!」

「吹き出しマーク?」


 慌ててる茜の画面を覗くと、下の方にあるチャット機能のとこの吹き出しマークが確かに点滅してた。確かこれって誰かからメッセージが来たって事じゃなかったか?


「なぁ茜ぇ、これどうするんだっけ?」

「その吹き出しをクリックすれば内容が見れるよ。ヒーラーって貴重な存在だから一緒にダンジョン行こうって誘いかもな」

「すげぇじゃん茜!とりあえず見てみろよ」

「お、おう」


 吹き出しマークを開いて見ると、確かに数馬の言う通り、他のユーザーからのダンジョンへの誘いだった。


「行ってこいよ茜♪隣で見ててやっからさ」

「う、うん!」


 緊張してるなぁ茜のやつ。真面目だなとは思ってたけど、こういうゲームとかまで真面目に取り組んでるんだもん見てて面白い。
 俺はもっぱら数馬としかやらねぇからちょっと気になって茜の画面を見てた。


「相手の名前なんてーの?」

「えっと、ロムだって。レベルはそんなに高くないみたいだな」

「ふーん、新人か。数馬ー、ロムってやつ調べられる?」

「今見てる。どうやら新人じゃないよ。転生を二十回もしてる。俺なんかより大ベテランだよ。しかも今の職業冒険家だって」

「まじで!?なら俺達も一緒に行こうぜ!」

「な、なぁ秋山!何かロムが言ってるぞ」

「何て?」


 今俺達に必要な冒険家の名前が出て盛り上がっていると、ロムから茜にチャットでメッセージが来たらしい。
「ミナトさんは今日始めたばかりですか?良かったら一緒に周りません?俺結構強いんで役に立ちますよー。あと、ヒーラー用の装備とかもプレゼントしますよ♪」
 何て気前の良い奴なんだ!


「茜貰っとけ!そして俺達も仲間に入れてくれ♪」

「ちょ、俺ついて行けてないんだが」

「茜先輩大丈夫です。俺からロムにコンタクト取ってみました。ミナトの仲間ですって」

「さすが数馬~。頼りになる~」

「返事来た。パーティー組んでくれるって。一応フレンド登録しておいたよ」

「よしよし!そんじゃ始めますか♪茜、サポート頼んだぞー」


 今日は茜のヒーラーに、冒険家とかいう謎の職業のやつに、いつもと違った感じで楽しかった。
 茜はヒーラーとしての基本的な回復や補助魔法は出来るようになった。あとはレベルを上げて体力とかのパラメータを増やしていけばいい。そして最前線で戦うのは俺!剣士は一番かっこよさそうだから選んだんだけど、バシバシモンスターとかを倒せるから楽しいんだ。
 数馬は魔法とか使って攻撃をする遠距離型の賢者。賢者はバフやデバフとかも張れるからとても助かってる。
 そんで俺も今日初めて知った冒険家。どんな働きを見せてくれるのかワクワクしていた。
 パーティーを組んだあと、ロムから軽く挨拶をされて隠しダンジョンの攻略か始まった。


「ロムってばガンガン進んでいくじゃん。俺らは付いて行けばいいだけ?」

「冒険家のロムには俺らには見えない隠しルートが見えてるからね。それに軽くパラメータ見たけどどれも凄く高いよ。前職でのスキルも結構受け継いでるみたいだし、戦闘も期待出来るかもね」

「まさかこんな大物がパーティーに入ってくれるなんてな♪でかしたぞ茜~」

「俺はまだ良く分かってないぞ」


 どんどん先頭を進むロムに俺達三人は付いて行った。そしてロムがある壁に手を当てて何かをしているようだった。


「ん?何してんだ?」

「多分スキルを使ってるんじゃないかな?この先に隠しダンジョンがあるっぽいな」

「マジで!?ここさっき通ったとこじゃん!」

「俺達じゃ攻略出来ない訳だよ。きっと人気のない冒険家の活躍を増やす為のアップデートだったのかもな」


 ロムが手を当ててた壁はスッとなくなり、本当にその先に新しい道が出来た。すげー!冒険家もかっこいいじゃねぇか!
「ここから先が隠しダンジョンみたいです。入りますよ」「ロムさんありがとうです。行きましょう」
 ロムからのメッセージに数馬が素早く返してた。こういうのは数馬に任せておけば間違いない。

 そして隠しダンジョンを進み、見た事のないモンスター達が次々に現れて俺達は力を合わせて倒して行った。何かが起こったりした時にお知らせしてくれるウインドウに見た事の無いような武器とか道具とかが落ちてそれを入手したと表示された。
 おおー!後で見るのが楽しみだぜ♪
 そして最後まで進み、ラスボスを倒して俺達は見事隠しダンジョンを攻略する事が出来た。


「やったー♪倒せたー!」

「ほとんどロムがやってくれたけどな」


 そしてロムからもチャットが来た。「お疲れ様でした。とても良いパーティーですね。ミナトさん、レベル上げ頑張って。また一緒に組んでくれたら嬉しいです。ではまた」とキチンと挨拶をしてからパーティーから抜けて行った。


「ロムって良い奴じゃん」

「強いしな」

「茜ってば相当レベル上がったんじゃね?ステ振りしてみろよ」

「うん。やってみる。それとロムから装備貰ったからそれも付けてみる」


 茜はフゥとひと仕事終えたような顔をしてまたパソコンをいじりだした。
 その後俺もさっき落ちたアイテムとかを見て、使える武器を強化したり、いらないアイテムを売ったりして楽しんだ。


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