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※バイト出来ねぇから金欠なんだわ

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※空side

 俺は今中西を乗せて学校を抜けて街に繰り出していた。
 あーあ、これが貴哉とだったらテンション上がるんだけどなぁ。
 好きな奴と抜け出してデートとか大好きだもんね♪
 まぁ今は貴哉の機嫌を取る為に仕方ないワガママ王子中西と手を組むしかねぇ訳だ。


「ねぇ、お揃いの物って何にするの?」


 後ろに乗る中西が聞いて来た。
 愛しの貴哉から課されたミッションは、中西とお揃いの物を身に付けろ。というもの。
 それぐらいならすぐに何とかなるから深く考えてなかった。


「えー、キーホルダーとかでいいんじゃね?100円とかの」

「あの貴哉だよ?そんなので許してくれると思えないよ」

「じゃあ何がいいと思う?」

「うーん、ちょっと凝った物がいいんじゃないかな?例えば驚くような物とか」

「驚くような物って何?びっくり箱とか?」

「ふざけないでよ!」

「はいはい。まぁ適当に店見てみるか」


 すぐそこにあった雑貨屋に入る事にした。
 ぬいぐるみや文房具、化粧品とか軽い洋服なども置いてある総合的な雑貨屋。
 前に女と来た事がある。誰とだかは忘れたけど。


「うわぁコレ可愛い~♪ねぇ空くん買ってよ」

「ふざけんな。戸塚に言えよ」

「もう!春くんは関係ないじゃないか」

「なに、もう好きじゃねぇの?お似合いだったのに」

「貴哉も俺と春くんをくっつけたがるけどさ、俺の本命は貴哉なの」

「その本命に相手にされてねぇじゃん。第二候補の戸塚に戻れって」

「あのね!俺と貴哉は付き合ってるんだからね!戻る必要ないから!」

「本当に付き合ってるのかねぇ?」

「何だよその言い方」


 正直二人が付き合ってるって言うのは何か訳があると思ってる。あの貴哉が誰かと付き合う、ましてや男とだなんて考えられない。
 てか付き合うなら俺とだろ。


「さぁね。もしかしたら貴哉が弱み握られてるのかなぁ?なんてね」

「そんな卑怯な真似なんかしないよ」

「どーでもいいけど。俺が奪うし」

「随分余裕だけど、そんなに自信があるの?」

「当たり前だろ♪貴哉俺だけには容赦なく返してくるしな!」

「それならこの前俺も凄い喧嘩したけど」

「まぐれだろ」

「喧嘩にまぐれとかないだろ」

「…………」

「…………」


 前々から思ってたけど、中西って苦手~。
 なんつーか、イケメンな所とか俺と被ってんだよね。貴哉を好きになる所まで被るなんてさ。
 生意気で頑固でワガママで。けど、周りからはチヤホヤされて。それが当たり前だと思ってる中西が俺はずっと苦手だった。


「はぁ、そんな事よりさっさと選ぼ。早く貴哉に会いたい」
 
「なぁ、中西は貴哉のどこを好きになったんだ?」

「ギャップがある所だよ」


 キャラクター物の文房具を物色しながら言った。ギャップだと?貴哉のどこがどうギャップがあるって言うんだ?


「ほら、見た目はヤンキーでしょ?なのに優しくて面白いじゃん。俺、ヤンキーって嫌いなんだよ。だけど、貴哉の事は大好き!」

「いや、貴哉はヤンキーだろ。つまり中西は貴哉の事……」

「大好きだって言ってんでしょ。そう言う空くんはどこを好きになったのさー?」

「俺は、つついたら跳ね返してくる所だよ。そんな奴今まで居なかったから、可愛いなって」

「ふーん。まぁ可愛いってのは分かるかな!」


 ニコッと綺麗に笑う中西。悔しいけど、こいつは男も認める本物のイケメンだ。
 ふとそんなイケメンが見てる物に目が止まった。何か赤とか青とかいろんな色の石にキーホルダーが付いた物。


「なぁそれ何?」

「あ、気になるー?お守りだって。赤はエネルギーアップ。青はリラックス効果があるんだって」

「へー、面白いじゃん。俺は黄色の金運アップかな。今バイト出来ねぇから金欠なんだわ」

「俺はピンクかな♪恋愛運アップで貴哉との仲も深まりそー」

「なぁ」

「ん?」

「コレにしないか?こういうの信じないんだけど、お揃いとかで持つならちょうどいいかなって」

「確かに。ただの石だから男が持ってても違和感ないしね。そこまで高くないし。コレにしようか」

「凝った物がいいって言ったけどさ、こういうのはどうだ?多分驚くんじゃね?」

「えー、なになに?」


 中西に思い付いた事を話すとすんなりいいねと言ってくれた。
 そして何とかお揃いの物を手に入れた俺と中西。
 後は貴哉に会いに行くだけー♡


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