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おかかだったら誰でも喜ぶだろ
しおりを挟む学校に着いてすぐに後ろの席に座る中西に声を掛ける。もちろん戸塚が居ないのを確認してから。
「中西、金貸してくんね?」
「お金?いくら?」
「今日財布忘れちまって、朝飯と昼飯代だけ頼む!」
「そう言う事か~。それならご馳走してあげるよ。売店行くの?」
「助かるぜ!おう、朝飯買ってくる!」
「俺も行く~♪」
「よし、とっとと行こうぜ」
戸塚に見つかる前に行かないととんでもない事になるからな。てか戸塚の奴、俺が中西と話してるだけでも睨んでくるからな~。
中西と売店に行くと、早川が居て既に何かを買っていた。
「空くんだ~おはよー。空くんもお買い物?」
「おはよ。貴哉が何も食ってないから買いに……って、お前財布無いのに何で売店来てるんだよ?」
「ち」
「空くん優しいね~。今ね、貴哉にお金貸してくれって言われたからご馳走しようと思って買いに来たんだよ」
「へー、俺には借りないのに中西には貸してとか言うんだー?」
「ふんっお前には借り作りたくないからなっ」
「まぁまぁ、せっかく空くんが買ってくれたんだし、それに早く食べないと授業始まっちゃうよ?」
「どうすんの?食うの?」
早川は買ったばかりのオニギリを俺に差し出しながら聞いてくる。しかも俺の一番好きな具のおかかだし。
だけど早川の見下した顔が気に食わねぇ!迷ってると腹が鳴り、結局奪い取る形で受け取る事にした。
「勿体無いから食ってやる!」
「貴哉ってば、素直に受け取ればいいのに」
「はは、これが貴哉でしょ」
ご丁寧に飲み物のお茶まで買ってくれたらしいから遠慮なく飲む。腹が減っては何とかって言うしな。
それにしてもおかかうめぇな♪学校の売店のオニギリは手作りだから特に美味く感じた。
歩きながらオニギリを食ってると、早川に見られて笑われた。
「な、何だよ?」
「いや、美味しそうに食うなって」
「そりゃおかかだったら誰でも喜ぶだろ」
「誰でもって事はねぇんじゃん?」
「俺は海老天だったら喜ぶー♪」
「海老天とかマジ無いわー、中西とは分かり合えないかもな」
「えー、天むす美味しいじゃん~」
はー、とにかく朝飯も何とかなって遅刻もしなくて済んだし安心したぜ。
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