逃げれるか?俺

★エリィ★

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部屋に会長を連れてきたが、この前の話の続きだろうか。

「佐伯くんのお母さんって、面白い人だね?少ししか話してないけど、すごい楽しかった。さっきも話をしたけど、重そうな荷物を持っていたから気になってさ」

体が強張っていたけれど、全く違う話だったせいか拍子抜けした。
「わざわざ会長に手伝っていただきありごとうございました」
とペコンと頭を下げたら、
「フフッ、気にしなくていいよ。困ってる人を見かけたら、助けるでしょ?」
クスクス笑ってるけど、この人は、大きな声を出して笑ったりするのだろうか、という興味が湧いた。それでも、興味本位で突っ込んだら、自分の方のボロが出かねないので、あたりさわりのない学校生活について話をした。

しばらく話をしていたら、会長が自分の腕時計を見て、
「長くお邪魔しちゃってごめんね。そろそろ家に帰るね」

玄関まで会長を見送り、特にこのまま何もないかな?と気を抜いた時、会長に「連絡先交換しない?」と一気に緊張が。
固まってしまった俺を見て苦笑しながら
「ほら、僕と佐伯くん同級生だし、これから仲良くなってくれないかなーって思って」
「いやっ、でも、会長人気者ですし、俺なんかと仲良くなっても…」と断ろうとしたけれど、
「なんかじゃなくて、佐伯くんと仲良くなりたいの。ダメ?」
そんな縋るような目で見てこないで下さい。美形のそんな顔、反則でしょ。
「はぁ、わかりましたよ、どうぞ」
携帯を取り出して交換したら、
「ありがとう」ととてもいい笑顔で言われてしまった。
「また学校で、それじゃあ」
「はい、今日は、本当に母親を手伝って頂いてありがとうございました」
無事に会長を見送り、リビングに入ると母親が、
「あんな綺麗な子が、あんたの学校にいるのねぇー、目の保養になるから、また連れてきなさい」
「また連れてきなさいって、今日は、俺が連れてきたわけじゃないだろ!?会長、人気者だし、忙しそうだから、無理だよ」
「母さん、あんたがいない間に如月くんと話してたけど、また来てくれるっていっていたわよ?」
「母さん?!」
「だから、ほらっ、誘って連れて来なさい」
「分かったよ、わかりました。そのうち誘ってみます」
「よろしい、では、そろそろ夕飯にするから用意手伝って」

夕食後、部屋に戻って、ベッドで寝転がりながら、今日の出来事を思い返してみた。もう関わらないだろうと思っていたのに、なんで俺に関わってくるのだろう。ただの感謝なら、もう言ってもらったよな?それに、夜に助けたのも体育祭で助けたのも今日の会長が言っていたように困っている人を見つけたら助けただけだったから、特にそこまで気にするようなことでもないし。うーん、モヤモヤする。
悩んでいたら、いつのまにか寝てしまった。
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