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5話 二次試験
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5話 二次試験
正午の配給後も、僕たちは次に出題される問題の内容と回答に関して傾向と対策を話し合ったが、午前に話した内容から進展はなかった。あれこれと話していたら18時になっていたらしく、例の小窓から夕食の配給を受け、僕たちの間で緊張が走った。
(…次の指名は、この夕食が配給されてから1時間後…。また、誰かが指名される。結局、傾向は推測できても、対策までは立てることができなかった…)
僕は暗い気持ちで夕食を受け取り、あまり食が進まない気分ではあるものの、何とか胃のなかに収めるように努力した。何気なく周りを見ると、僕と同じ気持ちなのか、表情に緊張が走っている。…ただ、1人を除いて。
「…とうとうあの女、壊れちまったんじゃねぇのか。」
鶴本くんは、呟くように悪態をついた。恭子さん、優子さんは言うまでもなく、久美さんや鶴本くんでさえ、次の指名者は誰か、と警戒心を隠せずにいたが、瑞稀さんだけはニコニコと笑いながらご飯を食べていた。ついには、鼻歌まで飛び出すくらいだった。
「…ちょっと、瑞稀。何が楽しいのか知らないけど、静かにしてくれる?耳障りだわ。」
「何よ、恭子ちゃん。試験が怖いの?そうよね、いじめの主犯だったもんね、恭子ちゃんの試験は何かな。いじめていた時の気持ちとか?ふふっ」
「瑞稀、やめて。あなたがどう考えようと勝手だけど、みんな次の試験に怖がってるのよ。恐怖を煽るような言い方はやめて。」
「何よー、優子まで。」
「おい、女。そろそろ口閉じろ。恭子とかいう女も言ってんだろ、うるせぇんだよ。」
鶴本くんの静かな恫喝には、流石の瑞稀さんも押し黙った。恫喝はしてほしくなかったが、鶴本くんが瑞稀さんを抑えてくれたことに、正直なところ安堵している僕がいた。
(瑞稀さんは、あれからずっとあのまま…。傾向としては、2つしか出てこなかった。1つはいじめに加担・見て見ぬ振りをした、もう1つは自分の考え、思想によって、無意識的に誰かを傷つけていた…。1つ目については、それぞれ思うところがあるようだった。2つ目については、考える範囲が広すぎて検討がつかない。…僕に至っては、1つ目すら検討がつかない、こんな状況で、本当に生き残れるのか…)
改めて、指名される時間が近づくにつれて、死への恐怖が僕の全身を襲った。体が震えて止まらない。食事を口に運ぼうとしても、体が動いてくれない、口に入ってくれない。僕はただ、僕自身が取り乱すことでみんなにパニックを伝染させないように、必死で恐怖感を押さえつけていた。
食事も終わり、しばらくした頃。耳障りなスピーカーの接続音が各部屋に鳴り響いた。
「みなさま、こんばんは。今から二次試験を開始いたします。試験の流れは、一次試験と同様です。」
スピーカーから流れる音声に耳を傾けるそれぞれの表情に、緊張が走った。瑞稀さんは相変わらず、楽しそうニコニコしている。
「また、ここで一点連絡事項です。戸川秀平氏の試験不合格決定後、皆様が私どもの試験に傾向と対策を勤勉に検討されている姿を拝見し、感銘を受けました。その皆様の努力にこちらも応えるため、今回の試験から一点注意事項を追加いたします。一度しか説明しませんので、注意してお聞きください。」
注意事項の追加、と聞いて、僕も含めた全員が動揺する。瑞稀さんですら、少し表情に翳りを見せたくらいだった。
「回答者が試験問題に対して回答している間、他の皆様は回答者に話しかけてはいけません。話しかけた場合、カンニング行為幇助とみなし、回答者、違反者ともに制限時間の残り時間に関わらず失格、罰を執行いたします。」
「何よそれ、指名されなかった人間は、黙って見てろってこと!?」
「そんなルールを追加されたら、回答者を助けることができないじゃないか!」
「皆様、傾向と対策をお話し合いされている間に、何か思い違いをされてしまったようですが、これはあくまで試験です。試験中に私語は禁止です。単なるデスゲームではなく、試験なのです。ご理解ください。」
僕は、みんなに傾向と対策を話し合おうと提案したことを後悔した。もし僕が提案しなければ、こんなルールは追加されなかったかもしれない…。
「では、一次試験同様、回答者を指名いたします。回答者は…」
後悔に苛まれる中で、試験官は淡々と試験を進めていく。恭子さんや優子さんは、指名されないことへの願いなのか、指名されてここから出してほしいと言う願いなのかわからないが、祈るように手を組んでぎゅっと目を瞑った。
「鈴木瑞稀さんです。」
「…あら、私?」
瑞稀さんは、回答者に指名されたにも関わらず、動揺も恐怖感もなく、あっけらかんとした顔で反応した。
「みず…」
「ここからの回答者以外の方は、私語は厳禁です。では、鈴木瑞稀さんに問題です。あなたは高校時代に罪を犯しています。その罪と罪を犯した原因を述べよ。回答時間は、60秒です。では、カウントダウン、スタート。」
窓から見えるタイマーが、60という数字から一つずつ数字が減っていく。瑞稀さんは、こんな問題余裕だ、とでも言いたげな表情で、堂々と回答した。
「やっぱりね!これで私は抜けられる!罪は、平川さんと言う人をいじめていたこと。原因は、恭子ちゃんや久美ちゃんが私にいじめを強要したからよ!」
「罪に関しては正解です。ですが、原因は誤っています。原因について、再度回答してください。」
「……え??」
全員の視線が一斉に瑞稀さんに集まった。でも、追加ルールのせいで、瑞稀さんに話しかけることはできない。瑞稀さんは、ここにきて初めに見せたような恐怖に染まった表情で、恭子さんや優子さんを見た。
「げ、原因が、違うって…、そんなはずない!私は強要されたから、加担するしかなかったのよ!それ以外回答なんてない!」
「不正解です。原因について、再度回答してください。」
「…何よ…、原因って、何よ!ねぇ、教えて!恭子ちゃん、優子ちゃん、久美ちゃん!黙ってないで、教えて!!」
(瑞稀さん、自分で考えなきゃダメだ、みんな、言いたくても言えないんだよ、話せば、失格になる…)
タイマーは、残り30秒を切っていた。このまま答えられなければ、瑞稀さんは死んでしまう。
「原因って、原因って何…、わ、わかった、いじめないと、私がいじめの標的になるから!これよ!」
「不正解です。原因について、再度回答してください。」
「なん、何で…。これ以外に原因なんて、ないわよ…。」
絶望感に打ちひしがれた瑞稀さんは、その後回答できず、タイムオーバーとなってしまった。
「鈴木瑞稀、失格です。よって罰を執行します。」
「い、いや、嫌あああああ!!!!!」
瑞稀さんの断末魔が響き渡る中、罰の執行が宣言された。戸川くんの時と同じように、少しの間は瑞稀さんに異変は見られなかったが、その変化は急に訪れた。
「な、なに、ごれ…。ぐ、くる、じ、ぃ…、」
「鈴木瑞稀の罰は、超高濃度窒素酸化物による呼吸困難、呼吸器官の機能不全による窒息です。吐血症状が出れば末期症状。死亡します。」
瑞稀さんは、必死に酸素を吸おうともがくが、すでに部屋中に窒素酸化物が充満しているのか、もう声も出ない状態になっていた。そして、咳き込んだと思ったら口から大量の血液を吐き出し、そのまま動かなくなってしまった。
注意事項で試験中は声を出してはいけない、と言われてしまったことで、優子さんは必死に口を抑えて、悲鳴を抑え込み、恭子さんに至っては、耳を塞いで瑞稀さんに背を向けて座り込んでいた。
「鈴木瑞稀さんが回答した罪の部分は正解でしたが、原因が誤っていました。正解は、いじめを行う自分を周りのせいにして正当化していたため、でした。次の試験は、翌朝、6時の配給から2時間後に行います。では皆様、本日もお疲れ様でした。」
スピーカーの声は、機械的な説明を終えるとそれ以降、聞こえなくなった。
「…瑞稀、さん。」
「…瑞稀、瑞稀…」
優子さんは瑞稀さんの遺体に涙ながらに呼びかけるが、死体となった彼女が応えることはない。僕らは集められて2日目にして、7人いたメンバーは5人にまで減ってしまった。
正午の配給後も、僕たちは次に出題される問題の内容と回答に関して傾向と対策を話し合ったが、午前に話した内容から進展はなかった。あれこれと話していたら18時になっていたらしく、例の小窓から夕食の配給を受け、僕たちの間で緊張が走った。
(…次の指名は、この夕食が配給されてから1時間後…。また、誰かが指名される。結局、傾向は推測できても、対策までは立てることができなかった…)
僕は暗い気持ちで夕食を受け取り、あまり食が進まない気分ではあるものの、何とか胃のなかに収めるように努力した。何気なく周りを見ると、僕と同じ気持ちなのか、表情に緊張が走っている。…ただ、1人を除いて。
「…とうとうあの女、壊れちまったんじゃねぇのか。」
鶴本くんは、呟くように悪態をついた。恭子さん、優子さんは言うまでもなく、久美さんや鶴本くんでさえ、次の指名者は誰か、と警戒心を隠せずにいたが、瑞稀さんだけはニコニコと笑いながらご飯を食べていた。ついには、鼻歌まで飛び出すくらいだった。
「…ちょっと、瑞稀。何が楽しいのか知らないけど、静かにしてくれる?耳障りだわ。」
「何よ、恭子ちゃん。試験が怖いの?そうよね、いじめの主犯だったもんね、恭子ちゃんの試験は何かな。いじめていた時の気持ちとか?ふふっ」
「瑞稀、やめて。あなたがどう考えようと勝手だけど、みんな次の試験に怖がってるのよ。恐怖を煽るような言い方はやめて。」
「何よー、優子まで。」
「おい、女。そろそろ口閉じろ。恭子とかいう女も言ってんだろ、うるせぇんだよ。」
鶴本くんの静かな恫喝には、流石の瑞稀さんも押し黙った。恫喝はしてほしくなかったが、鶴本くんが瑞稀さんを抑えてくれたことに、正直なところ安堵している僕がいた。
(瑞稀さんは、あれからずっとあのまま…。傾向としては、2つしか出てこなかった。1つはいじめに加担・見て見ぬ振りをした、もう1つは自分の考え、思想によって、無意識的に誰かを傷つけていた…。1つ目については、それぞれ思うところがあるようだった。2つ目については、考える範囲が広すぎて検討がつかない。…僕に至っては、1つ目すら検討がつかない、こんな状況で、本当に生き残れるのか…)
改めて、指名される時間が近づくにつれて、死への恐怖が僕の全身を襲った。体が震えて止まらない。食事を口に運ぼうとしても、体が動いてくれない、口に入ってくれない。僕はただ、僕自身が取り乱すことでみんなにパニックを伝染させないように、必死で恐怖感を押さえつけていた。
食事も終わり、しばらくした頃。耳障りなスピーカーの接続音が各部屋に鳴り響いた。
「みなさま、こんばんは。今から二次試験を開始いたします。試験の流れは、一次試験と同様です。」
スピーカーから流れる音声に耳を傾けるそれぞれの表情に、緊張が走った。瑞稀さんは相変わらず、楽しそうニコニコしている。
「また、ここで一点連絡事項です。戸川秀平氏の試験不合格決定後、皆様が私どもの試験に傾向と対策を勤勉に検討されている姿を拝見し、感銘を受けました。その皆様の努力にこちらも応えるため、今回の試験から一点注意事項を追加いたします。一度しか説明しませんので、注意してお聞きください。」
注意事項の追加、と聞いて、僕も含めた全員が動揺する。瑞稀さんですら、少し表情に翳りを見せたくらいだった。
「回答者が試験問題に対して回答している間、他の皆様は回答者に話しかけてはいけません。話しかけた場合、カンニング行為幇助とみなし、回答者、違反者ともに制限時間の残り時間に関わらず失格、罰を執行いたします。」
「何よそれ、指名されなかった人間は、黙って見てろってこと!?」
「そんなルールを追加されたら、回答者を助けることができないじゃないか!」
「皆様、傾向と対策をお話し合いされている間に、何か思い違いをされてしまったようですが、これはあくまで試験です。試験中に私語は禁止です。単なるデスゲームではなく、試験なのです。ご理解ください。」
僕は、みんなに傾向と対策を話し合おうと提案したことを後悔した。もし僕が提案しなければ、こんなルールは追加されなかったかもしれない…。
「では、一次試験同様、回答者を指名いたします。回答者は…」
後悔に苛まれる中で、試験官は淡々と試験を進めていく。恭子さんや優子さんは、指名されないことへの願いなのか、指名されてここから出してほしいと言う願いなのかわからないが、祈るように手を組んでぎゅっと目を瞑った。
「鈴木瑞稀さんです。」
「…あら、私?」
瑞稀さんは、回答者に指名されたにも関わらず、動揺も恐怖感もなく、あっけらかんとした顔で反応した。
「みず…」
「ここからの回答者以外の方は、私語は厳禁です。では、鈴木瑞稀さんに問題です。あなたは高校時代に罪を犯しています。その罪と罪を犯した原因を述べよ。回答時間は、60秒です。では、カウントダウン、スタート。」
窓から見えるタイマーが、60という数字から一つずつ数字が減っていく。瑞稀さんは、こんな問題余裕だ、とでも言いたげな表情で、堂々と回答した。
「やっぱりね!これで私は抜けられる!罪は、平川さんと言う人をいじめていたこと。原因は、恭子ちゃんや久美ちゃんが私にいじめを強要したからよ!」
「罪に関しては正解です。ですが、原因は誤っています。原因について、再度回答してください。」
「……え??」
全員の視線が一斉に瑞稀さんに集まった。でも、追加ルールのせいで、瑞稀さんに話しかけることはできない。瑞稀さんは、ここにきて初めに見せたような恐怖に染まった表情で、恭子さんや優子さんを見た。
「げ、原因が、違うって…、そんなはずない!私は強要されたから、加担するしかなかったのよ!それ以外回答なんてない!」
「不正解です。原因について、再度回答してください。」
「…何よ…、原因って、何よ!ねぇ、教えて!恭子ちゃん、優子ちゃん、久美ちゃん!黙ってないで、教えて!!」
(瑞稀さん、自分で考えなきゃダメだ、みんな、言いたくても言えないんだよ、話せば、失格になる…)
タイマーは、残り30秒を切っていた。このまま答えられなければ、瑞稀さんは死んでしまう。
「原因って、原因って何…、わ、わかった、いじめないと、私がいじめの標的になるから!これよ!」
「不正解です。原因について、再度回答してください。」
「なん、何で…。これ以外に原因なんて、ないわよ…。」
絶望感に打ちひしがれた瑞稀さんは、その後回答できず、タイムオーバーとなってしまった。
「鈴木瑞稀、失格です。よって罰を執行します。」
「い、いや、嫌あああああ!!!!!」
瑞稀さんの断末魔が響き渡る中、罰の執行が宣言された。戸川くんの時と同じように、少しの間は瑞稀さんに異変は見られなかったが、その変化は急に訪れた。
「な、なに、ごれ…。ぐ、くる、じ、ぃ…、」
「鈴木瑞稀の罰は、超高濃度窒素酸化物による呼吸困難、呼吸器官の機能不全による窒息です。吐血症状が出れば末期症状。死亡します。」
瑞稀さんは、必死に酸素を吸おうともがくが、すでに部屋中に窒素酸化物が充満しているのか、もう声も出ない状態になっていた。そして、咳き込んだと思ったら口から大量の血液を吐き出し、そのまま動かなくなってしまった。
注意事項で試験中は声を出してはいけない、と言われてしまったことで、優子さんは必死に口を抑えて、悲鳴を抑え込み、恭子さんに至っては、耳を塞いで瑞稀さんに背を向けて座り込んでいた。
「鈴木瑞稀さんが回答した罪の部分は正解でしたが、原因が誤っていました。正解は、いじめを行う自分を周りのせいにして正当化していたため、でした。次の試験は、翌朝、6時の配給から2時間後に行います。では皆様、本日もお疲れ様でした。」
スピーカーの声は、機械的な説明を終えるとそれ以降、聞こえなくなった。
「…瑞稀、さん。」
「…瑞稀、瑞稀…」
優子さんは瑞稀さんの遺体に涙ながらに呼びかけるが、死体となった彼女が応えることはない。僕らは集められて2日目にして、7人いたメンバーは5人にまで減ってしまった。
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