199 / 364
高3
プールに(2)
しおりを挟む
「うわぁ、人がいっぱい…………」
電車の混み具合から予想はしていたが、プールは大混雑だった。今日は夏日で天気もよいので余計かもしれない。
「どーする? 亜姫、行けそう? なんなら別の遊びに変更してもいーけど?」
ヒロがそう提案したが、亜姫はやっぱり行ってみたかった。
「じゃあ、行ってみて無理なら和泉とその辺でイチャこいとけ。
俺はお前がどうだろうと、来たからには遊びまくって帰るからな! 麗華、お前今日はこっちにもつきあえ」
「今日は無駄にテンションが高いわね。私、体力もつかしら……」
嫌そうな麗華に笑いながら、それぞれ更衣室へと入った。
「亜姫、やっぱり痩せた」
「えっ、おっぱい小さくなってる?」
「バカ、おっぱいだけの話じゃないわよ。もう少し、体重戻そ?」
「うん、ありがとう。今日は美味しいものも沢山食べようね!」
「昼過ぎに、沙世莉と先輩も来られるって。久々よね、先輩に会うのも」
「うん!」
着替えを済ませて外に出ると、和泉達が知らない女子に囲まれていた。
「あーぁ……来た早々めんどくさいわね」
麗華がうんざりすると、亜姫に気づいた和泉が周りを無視してやってきた。
ヒロと戸塚がその子達へ丁寧に断りを入れていたが、亜姫に甘い顔を向ける和泉の後ろから鋭い視線がこれでもかと刺さってくる。
麗華は無言でそちらを睨み返し、和泉に言った。
「余計なトラブル持ち込まないでよ?」
「わかってるよ」
和泉はその子達から隠すように、亜姫を引き寄せて歩き出した。
運良く、端の方に休憩場所を確保できた。
想像以上の人混みから、麗華と二人で行動するのは諦めた。昼には沙世莉達が合流するし、ここにはスライダーや波のプールなど楽しめるものも沢山ある。今日はとにかくこの場を楽しむことにした。
「亜姫、もう少し食う?」
「食べる」
和泉が出したスプーンをパクっと口に含む。
今、二人は休憩中だ。今日の和泉は、餌付けと称して休憩の度に何かを食べさせている。今はカロリーが高そうな濃厚アイスを口に入れたところだ。
「こんなに食べてたら、お昼が入らなくなっちゃいそう」
「そうだな、でも頑張って食えよ。もう少し太れ」
「そんなに痩せてる?あと2キロぐらいで元に戻るんだけどなぁ」
ご飯を食べられなかった時期に、亜姫はかなり痩せた。柔らかそうな身体のラインは戻ってきたが、食欲が戻りきらないのを和泉は気にしていた。
「お前は元々細かったから。でも俺は、もう少し肉付きある方が好み。夏休みの間に、元の体重に戻そうな」
「全部おっぱいにつかないかな、その2キロ……」
「ずっと揉んでてやろうか? なんなら今すぐにでも」
「バカっ!」
亜姫が真っ赤な顔で胸元を隠し、それに和泉は笑う。
食べ終えたアイスをごみ袋に放り投げ、和泉は亜姫を抱き寄せた。
麗華は今、ヒロと戸塚に連れられスライダーに並んでいる。
「体調、大丈夫?」
「うん。ありがとね、連れてきてくれて。すごく楽しい」
「俺も。お前の水着姿を他の奴に見られんのは嫌なんだけど」
「まだ言ってる。周りも水着だらけなんだから、誰も私のことなんて見ないって言ってるのに。
声をかけられるとしたら麗華やさよりちゃんだって言ってるでしょう?」
相変わらずな亜姫に、和泉は溜息しか出てこない。誰か、この子に危機感や自信を植え付けてはくれまいか。
洗面所へ行くという亜姫に、自分が持ってきた予備のTシャツを着せた。亜姫の水着姿は妙に色気があるので、出来るだけ人目に晒したくない。
とはいえ、シャツ姿もそれはそれで目立つ。和泉は亜姫を抱き寄せてその姿を少しでも隠すようにした。
電車の混み具合から予想はしていたが、プールは大混雑だった。今日は夏日で天気もよいので余計かもしれない。
「どーする? 亜姫、行けそう? なんなら別の遊びに変更してもいーけど?」
ヒロがそう提案したが、亜姫はやっぱり行ってみたかった。
「じゃあ、行ってみて無理なら和泉とその辺でイチャこいとけ。
俺はお前がどうだろうと、来たからには遊びまくって帰るからな! 麗華、お前今日はこっちにもつきあえ」
「今日は無駄にテンションが高いわね。私、体力もつかしら……」
嫌そうな麗華に笑いながら、それぞれ更衣室へと入った。
「亜姫、やっぱり痩せた」
「えっ、おっぱい小さくなってる?」
「バカ、おっぱいだけの話じゃないわよ。もう少し、体重戻そ?」
「うん、ありがとう。今日は美味しいものも沢山食べようね!」
「昼過ぎに、沙世莉と先輩も来られるって。久々よね、先輩に会うのも」
「うん!」
着替えを済ませて外に出ると、和泉達が知らない女子に囲まれていた。
「あーぁ……来た早々めんどくさいわね」
麗華がうんざりすると、亜姫に気づいた和泉が周りを無視してやってきた。
ヒロと戸塚がその子達へ丁寧に断りを入れていたが、亜姫に甘い顔を向ける和泉の後ろから鋭い視線がこれでもかと刺さってくる。
麗華は無言でそちらを睨み返し、和泉に言った。
「余計なトラブル持ち込まないでよ?」
「わかってるよ」
和泉はその子達から隠すように、亜姫を引き寄せて歩き出した。
運良く、端の方に休憩場所を確保できた。
想像以上の人混みから、麗華と二人で行動するのは諦めた。昼には沙世莉達が合流するし、ここにはスライダーや波のプールなど楽しめるものも沢山ある。今日はとにかくこの場を楽しむことにした。
「亜姫、もう少し食う?」
「食べる」
和泉が出したスプーンをパクっと口に含む。
今、二人は休憩中だ。今日の和泉は、餌付けと称して休憩の度に何かを食べさせている。今はカロリーが高そうな濃厚アイスを口に入れたところだ。
「こんなに食べてたら、お昼が入らなくなっちゃいそう」
「そうだな、でも頑張って食えよ。もう少し太れ」
「そんなに痩せてる?あと2キロぐらいで元に戻るんだけどなぁ」
ご飯を食べられなかった時期に、亜姫はかなり痩せた。柔らかそうな身体のラインは戻ってきたが、食欲が戻りきらないのを和泉は気にしていた。
「お前は元々細かったから。でも俺は、もう少し肉付きある方が好み。夏休みの間に、元の体重に戻そうな」
「全部おっぱいにつかないかな、その2キロ……」
「ずっと揉んでてやろうか? なんなら今すぐにでも」
「バカっ!」
亜姫が真っ赤な顔で胸元を隠し、それに和泉は笑う。
食べ終えたアイスをごみ袋に放り投げ、和泉は亜姫を抱き寄せた。
麗華は今、ヒロと戸塚に連れられスライダーに並んでいる。
「体調、大丈夫?」
「うん。ありがとね、連れてきてくれて。すごく楽しい」
「俺も。お前の水着姿を他の奴に見られんのは嫌なんだけど」
「まだ言ってる。周りも水着だらけなんだから、誰も私のことなんて見ないって言ってるのに。
声をかけられるとしたら麗華やさよりちゃんだって言ってるでしょう?」
相変わらずな亜姫に、和泉は溜息しか出てこない。誰か、この子に危機感や自信を植え付けてはくれまいか。
洗面所へ行くという亜姫に、自分が持ってきた予備のTシャツを着せた。亜姫の水着姿は妙に色気があるので、出来るだけ人目に晒したくない。
とはいえ、シャツ姿もそれはそれで目立つ。和泉は亜姫を抱き寄せてその姿を少しでも隠すようにした。
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない
かがみもち
青春
同じ学年。
同じ年齢。
なのに、俺と親友で、なんでこんなによって来る人が違うんだ?!
俺、高橋敦志(たかはしあつし)は、高校で出会った親友・山内裕太(やまうちゆうた)と学校でもプライベートでも一緒に過ごしている。
のに、彼は、モテまくりで、机に集まるのは、成績優秀の美男美女。
対して、俺は、バカのフツメンかブサメンしか男女共に集まってこない!
そして、友情を更に作る可愛い系男子・三石遼太郎(みいしりょうたろう)と、3人で共に、友情とは、青春とは、何なのかを時にぶつかりながら探す、時にほっこり、時に熱い友情青春物語。
※※※
驟雨(@Rainshower0705)さんが、表紙、挿絵を描いてくれました。
「ソウルエクスキューター」という漫画をアルファポリスで描いてらっしゃるので是非一度ご覧ください!
※※※
ノベルアップ+様でも投稿しております。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
学校に行きたくない私達の物語
能登原あめ
青春
※ 甘酸っぱい青春を目指しました。ピュアです。
「学校に行きたくない」
大きな理由じゃないけれど、休みたい日もある。
休みがちな女子高生達が悩んで、恋して、探りながら一歩前に進むお話です。
(それぞれ独立した話になります)
1 雨とピアノ 全6話(同級生)
2 日曜の駆ける約束 全4話(後輩)
3 それが儚いものだと知ったら 全6話(先輩)
* コメント欄はネタバレ配慮していないため、お気をつけください。
* 表紙はCanvaさまで作成した画像を使用しております。
拝啓、お姉さまへ
一華
青春
この春再婚したお母さんによって出来た、新しい家族
いつもにこにこのオトウサン
驚くくらいキレイなお姉さんの志奈さん
志奈さんは、突然妹になった私を本当に可愛がってくれるんだけど
私「柚鈴」は、一般的平均的なんです。
そんなに可愛がられるのは、想定外なんですが…?
「再婚」には正直戸惑い気味の私は
寮付きの高校に進学して
家族とは距離を置き、ゆっくり気持ちを整理するつもりだった。
なのに姉になる志奈さんはとっても「姉妹」したがる人で…
入学した高校は、都内屈指の進学校だけど、歴史ある女子校だからか
おかしな風習があった。
それは助言者制度。以前は姉妹制度と呼ばれていたそうで、上級生と下級生が一対一の関係での指導制度。
学園側に認められた助言者が、メンティと呼ばれる相手をペアを組む、柚鈴にとっては馴染みのない話。
そもそも義姉になる志奈さんは、そこの卒業生で
しかもなにやら有名人…?
どうやら想像していた高校生活とは少し違うものになりそうで、先々が思いやられるのだけど…
そんなこんなで、不器用な女の子が、毎日を自分なりに一生懸命過ごすお話しです
11月下旬より、小説家になろう、の方でも更新開始予定です
アルファポリスでの方が先行更新になります
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる