転生幼女の引き籠りたい日常～何故か魔王と呼ばれておりますがただの引き籠りです～

１８：世界の名前

　皆様こんにちは。コーラルです。
　本当にどなたにご挨拶しているんでしょうね、私は。
　本日はスキルで出来た世界の中に来ております。
　相変わらず安定しない世界ですね。
　本日の空は快晴。
　雨は全く降りそうにありません。
　ペンダントが少し重いですが、これは絶対に外せません。
　私の身を守る術ですから。大切ですね。
　１歳半になった私は、小走りも出来るようになりました。

「ぶーん！」

　そんな私は記憶を頼りに両手を広げて走ります。
　時間がどれほど残っているのかわからないからです。
　あ、両手を広げているのは遊び心です。はい。
　光の通路が出ると今まではすぐに帰っていましたが、通路がいつまでも出ているとは限りません。
　光の通路の考察としては、この世界にやってくるのは本当に一瞬です。
　寝ている時にこの世界に来ていましたが、今日は起きている時に通路が現れましたからね。
　スキルなら出現条件をコントロール出来るでしょうか。
　それはまだ不明です。
　いつもくる場所は同じなので、座標は固定化されている模様。
　そこから少し離れるとします。
　帰りたいな～と思って暫く経つと光の通路が出ます。
　帰りは願ったら出るんですね。
　光の通路を歩いていくと元の場所に戻ります。
　お　わ　か　り　で　し　ょ　う　か　。
　ホラー風に思ってみましたが、なんていうかあんまり怖くないですね。
　題材が怖くないからでしょうか。
　それはともかく、来るのは一瞬なのに帰りは歩くんですよ。
　正確に測ったことはないですが、恐らく出現場所の座標まで歩いているんでしょうね。
　出たところから帰れるようになってる便利機能。
　光の通路は一本道なので迷うこともないですしね。
　光の通路に取り残された場合はどうなるのでしょう。
　ちょっとそれは考えたくないですね。怖いです。

「きた！」

　以前と同じナデシコの花畑。
　その中心にあるガゼボの台座に進みます。

【▼世界の名前をいれてください】

　お久しぶりですね。
　一人で来れるようになるまで大分時間がかかってしまいました。
　日本語でもコーラルとして生きている世界の文字でもない。
　この文字は一体なんなのか。
　文章になっているのだから規則性は必ずあるはずです。
　音声言語が一致している場合なら、この文字の書物が手に入ればまだなんとかなりそうなものなのですけどね。
　どこかの天才ゲーマー少女もそう言ってましたし。
　実際に解読者が現れた時はこいつも天才だろうと思っちゃいました。
　おっと、話が脱線しましたね。

「しぇかい」

　この日の為に、沢山の名前を考えてきました。
　前世の知識も合わせると膨大な名前が浮かんできます。
　ゲームであれば特に好きなものを入れて良いのかも知れません。
　でも、これは。
　これから形作っていく私の世界・・・・の名前です。
　あら。なんか変な感じがしましたが……。気の所為ですかね。

【狭間の世界】

　そう入力します。
　いやまんまかーいって言わないでください。
　一周回ってきたんです。
　難しい名前にするよりも分かりやすいじゃないですか。
　そう私が自分自身で言い訳を考えているうちに鐘の音がなり始めます。
　教会で鳴るような大きい鐘の音は、この世界中に響き渡ります。
　地鳴りもして思わずガゼボの柱に掴まりました。
　目の前のウィンドウには沢山の文字。
　それらは瞬間的で読むのは大変です。
　辛うじて読めたのは【世界名を受諾】とか【再変換】とか。
　なんか怖い単語ですね。

【ようこそ、狭間の主様】

　地鳴りが止むと、ウィンドウにはそう書かれます。
　……なんとかの主。どこかで聞いた記憶がありません？