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第二階層 黒の洞窟
第2話 炎の戦い!アライクブラックドラゴンの恐怖
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炎に焼かれながら、優汰はオレの方に何かを投げよこした。
火の杖?
だけど、死体犬すら一撃では倒せない程度の武器では……
一瞬躊躇したオレの横に、蒼ちゃんが駆け寄った。
そしてためらうことなく火の杖を手に取ると叫んだ。
「いっけ!!!」
火の杖から発射されたのは、オレや優汰が使ったときとは比べものにならないほどの炎の玉……いや火炎だった。
それこそ、黒疑竜黒疑竜の吐いた炎よりもさらに威力が高かったかもしれない。
その火炎には、さすがの黒疑竜もたまらずよろよろと後ろに下がる。
「すごい……」
呆然とつぶやくオレに蒼ちゃんが叫ぶ。
「挑英! 疾翔くん! 教官と優汰くんを!」
そうだ。呆然としている場合じゃない。
挑英が丸焦げの優汰に駆け寄るのを確認し、オレは教官の方へと走ろうとした。
が、教官は自力で立ち上がり叫んだ。
「私はいい! 春風優汰を先に避難させろ!」
「はい」
オレはうなずいて、優汰を通路へ避難させるべく挑英とともに彼の体を持ち上げた。
優汰は泣きながらうめいていた。
「う。うぅ、痛いよぉ」
「しっかりしろ、優汰」
オレは挑英とともに優汰を運んだ。
なんとか、通路までやってきて優汰を床に寝かせた。ここなら黒疑竜の巨体ではやってこれないだろう。
通路の外から炎の息で攻撃される可能性はあるが……
って、あれ?
「あの部屋って他に通路がなかったけど黒疑竜はどうやって部屋から出入りするんだろう?」
そんなオレの疑問に、挑英は「知るか」と吐き捨てた。
「アドベンチュラ-がワープゲートを通った瞬間に次の階層がモンスター含めて作られるんじゃないかという説もあるらしいが、今はダンジョンの謎など検討している場合ではない」
たしかに。優汰を助けないと……それに未だに広間にいる蒼ちゃんと教官もだ。
「挑英、優汰のことをたのむ」
オレは再び黒疑竜のいる広間へと走ろうとした。
「おい、疾翔!?」
「蒼ちゃんを助けないとだろ?」
「だったら、俺が……」
「お前は電撃刀使えないだろうが」
もっとも黒疑竜に電撃刀がどこまで通用するかはわからないけど。
挑英は一瞬だけ言葉に詰まり、しかしすぐに気持ちを切り替えたようだ。
「蒼をたのむ」
「ああ、こっちこそ優汰をまかせたぞ」
おたがいの幼なじみをたくしあって、オレは再び黒疑竜の待つ戦場へと駆け戻った。
広間の中はものすごい熱気で、息をするのもつらいくらいだった。
その熱が黒疑竜の炎の息ではなく、蒼ちゃんの持つ火の杖から放たれた火炎のせいだというのは、この際幸いだったかもしれない。
黒疑竜は火炎を前に苦しそうに動けないでいたのだから。
しかし、蒼ちゃんの放つ火炎はあまりにも強すぎた。教官が手出しできないほどに強力だし、このままだと黒疑竜どころか蒼ちゃん自身や教官まで熱で死にかねない。
その一方で、黒疑竜がまだ生きている以上、蒼ちゃんも火炎を止めるわけにもいかない。
たしかに蒼ちゃんの魔力はすごいが、出力のコントロール訓練が必要みたいだ。
オレも、広間に戻ったもののどう手出ししたらいいのかわからなかった。
と、その時、キンという鋭い音が響いた。
(なんだ?)
音は蒼ちゃんの方から聞こえたか?
教官が「ちっ」と舌打ちした。
「もうもたないか」
何がと確認する必要はなかった。蒼ちゃんが握る火の杖の先についた赤い宝石が割れつつあるのが、オレにも見えたからだ。
この手の魔法のスティックは先端の宝石が割れると使えなくなる。もっとも、そう簡単に割れたりはしないらしいけど。
蒼ちゃんの魔力がすごすぎて火の杖の強度がもたないのか。
教官が叫ぶ。
「海野蒼! 少し威力を弱めろ!」
だが、蒼ちゃんは半泣きの声を上げた。
「無理です。そんなの、どうやったらいいのかわかりません!」
そうだろうな。魔力の出力を抑える方法なんてオレたちは学んでいない。
見習いアドベンチュラ-ですらない、ただの小学生なんだから。
オレは蒼ちゃんと教官のもとへと駆け寄った。
「志音疾翔! なぜ戻ってきた!?」
「優汰と同じです」
「何?」
「ここで教官と蒼ちゃんをおいて逃げ出して、それで助かったとしてもオレは一生自分を許せない!」
そう言って、オレは電撃刀を構えた。
教官はあきれ顔で言った。
「むちゃなヤツだ。飛翔にそっくりだな」
「やっぱり、教官は飛翔兄ちゃんのことを知っているんですか?」
「生き残ったら教えてやる。それよりも火の杖はもう限界だ。海野蒼の炎が消えたら、二人で黒疑竜をたたくぞ」
「はい」
オレは頷いて、未だ炎にまかれている黒疑竜をにらんだ。
火の杖?
だけど、死体犬すら一撃では倒せない程度の武器では……
一瞬躊躇したオレの横に、蒼ちゃんが駆け寄った。
そしてためらうことなく火の杖を手に取ると叫んだ。
「いっけ!!!」
火の杖から発射されたのは、オレや優汰が使ったときとは比べものにならないほどの炎の玉……いや火炎だった。
それこそ、黒疑竜黒疑竜の吐いた炎よりもさらに威力が高かったかもしれない。
その火炎には、さすがの黒疑竜もたまらずよろよろと後ろに下がる。
「すごい……」
呆然とつぶやくオレに蒼ちゃんが叫ぶ。
「挑英! 疾翔くん! 教官と優汰くんを!」
そうだ。呆然としている場合じゃない。
挑英が丸焦げの優汰に駆け寄るのを確認し、オレは教官の方へと走ろうとした。
が、教官は自力で立ち上がり叫んだ。
「私はいい! 春風優汰を先に避難させろ!」
「はい」
オレはうなずいて、優汰を通路へ避難させるべく挑英とともに彼の体を持ち上げた。
優汰は泣きながらうめいていた。
「う。うぅ、痛いよぉ」
「しっかりしろ、優汰」
オレは挑英とともに優汰を運んだ。
なんとか、通路までやってきて優汰を床に寝かせた。ここなら黒疑竜の巨体ではやってこれないだろう。
通路の外から炎の息で攻撃される可能性はあるが……
って、あれ?
「あの部屋って他に通路がなかったけど黒疑竜はどうやって部屋から出入りするんだろう?」
そんなオレの疑問に、挑英は「知るか」と吐き捨てた。
「アドベンチュラ-がワープゲートを通った瞬間に次の階層がモンスター含めて作られるんじゃないかという説もあるらしいが、今はダンジョンの謎など検討している場合ではない」
たしかに。優汰を助けないと……それに未だに広間にいる蒼ちゃんと教官もだ。
「挑英、優汰のことをたのむ」
オレは再び黒疑竜のいる広間へと走ろうとした。
「おい、疾翔!?」
「蒼ちゃんを助けないとだろ?」
「だったら、俺が……」
「お前は電撃刀使えないだろうが」
もっとも黒疑竜に電撃刀がどこまで通用するかはわからないけど。
挑英は一瞬だけ言葉に詰まり、しかしすぐに気持ちを切り替えたようだ。
「蒼をたのむ」
「ああ、こっちこそ優汰をまかせたぞ」
おたがいの幼なじみをたくしあって、オレは再び黒疑竜の待つ戦場へと駆け戻った。
広間の中はものすごい熱気で、息をするのもつらいくらいだった。
その熱が黒疑竜の炎の息ではなく、蒼ちゃんの持つ火の杖から放たれた火炎のせいだというのは、この際幸いだったかもしれない。
黒疑竜は火炎を前に苦しそうに動けないでいたのだから。
しかし、蒼ちゃんの放つ火炎はあまりにも強すぎた。教官が手出しできないほどに強力だし、このままだと黒疑竜どころか蒼ちゃん自身や教官まで熱で死にかねない。
その一方で、黒疑竜がまだ生きている以上、蒼ちゃんも火炎を止めるわけにもいかない。
たしかに蒼ちゃんの魔力はすごいが、出力のコントロール訓練が必要みたいだ。
オレも、広間に戻ったもののどう手出ししたらいいのかわからなかった。
と、その時、キンという鋭い音が響いた。
(なんだ?)
音は蒼ちゃんの方から聞こえたか?
教官が「ちっ」と舌打ちした。
「もうもたないか」
何がと確認する必要はなかった。蒼ちゃんが握る火の杖の先についた赤い宝石が割れつつあるのが、オレにも見えたからだ。
この手の魔法のスティックは先端の宝石が割れると使えなくなる。もっとも、そう簡単に割れたりはしないらしいけど。
蒼ちゃんの魔力がすごすぎて火の杖の強度がもたないのか。
教官が叫ぶ。
「海野蒼! 少し威力を弱めろ!」
だが、蒼ちゃんは半泣きの声を上げた。
「無理です。そんなの、どうやったらいいのかわかりません!」
そうだろうな。魔力の出力を抑える方法なんてオレたちは学んでいない。
見習いアドベンチュラ-ですらない、ただの小学生なんだから。
オレは蒼ちゃんと教官のもとへと駆け寄った。
「志音疾翔! なぜ戻ってきた!?」
「優汰と同じです」
「何?」
「ここで教官と蒼ちゃんをおいて逃げ出して、それで助かったとしてもオレは一生自分を許せない!」
そう言って、オレは電撃刀を構えた。
教官はあきれ顔で言った。
「むちゃなヤツだ。飛翔にそっくりだな」
「やっぱり、教官は飛翔兄ちゃんのことを知っているんですか?」
「生き残ったら教えてやる。それよりも火の杖はもう限界だ。海野蒼の炎が消えたら、二人で黒疑竜をたたくぞ」
「はい」
オレは頷いて、未だ炎にまかれている黒疑竜をにらんだ。
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