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第11章 空の神
第122話 人族化2
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「問題は、これだけ多くの人数をどのようにして人族化するのかという事です」
眷属化後すぐに人族化すると体力が持たない。中一日おいてから人族になってもらうから丸三日間は必要だ。
四千人もの人が眷属になりたいと待機している。里のように三十人程の少人数で人族化すると何百日も掛かってしまうよ。
人族に変われた眷属達とのんびり里で暮らせるようになったのに、里を離れて南部地方に通うなんて嫌なんだからね。
「ボク達は夜でも活動できるから、一気に人族化したいんだよ」
「千人規模のベッドを用意するのも大変でして……」
スレイブンも悩んでいるようだけど、エルメス駐在の軍を使って簡易ベッドとテントを用意すればいいじゃんか。
「軍の装備をほとんど使いますと、いざという時この都市の守りが手薄になってしまいますので……」
「そんなの大丈夫だよ。短期間で終わらせるんだからさ」
エルメスのお城近くの平原で、テントとベッドを用意してもらうようにした。
一日五百人を人族化すれば、一週間ぐらいで終わっちゃうからね。
そう、そんな呑気な事を考えていた時期もあったね……。
「もう無理~、無理だよ~」
「姉様……頑張ってください……」
「そう言うイコルティだって、もうヘロヘロじゃないか」
「もうアゴが疲れて……それに貧血気味で」
疲れ知らずのヴァンパイアであっても、昼夜を問わずやってくる移民者を流れ作業のように人族化する作業は重労働だった。そう、ブラック……ブラック企業だよ~。
最初こそ何百人も人族化していったけどペースはどんどん落ちて、十日経っても処理しきれないでいる。
イコルティも血を与え過ぎたのか、頬もこけ目の下にクマができている。そんなヴァンパイアの姿なんて見てられないよ。
「リビティナ様、一旦休止いたしましょう。これではお体が持ちませんぞ」
「今来こられている移民の方は私が説得しますので、ここで中止しましょう」
マリアンヌにまで心配をかけているようだし、仕方ないか。二千人以上は人族化できたし、今回はここまでとしよう。
そう思っていると、里からエリーシアがプライベートジェット機に乗ってエルメスのお城までやって来た。
「リビティナ様。教国が移民を中止したいと申し込んできました」
友好条約を結んだ際、双方で自由に移民を受け入れると決めていた。これは友好関係にある王国とも結ばれている。元ノルキア帝国のように流出を防ぐ政策をしていた国もあるけど、獣人三国では普通の事のようだ。
教国からは現在までに八千人程が魔国へと流入していて、今後も増えていくと予想される。
「ヘブンズ教国の方が経済的に裕福ですので、これほどの移民が発生するとは思っていなかったのでしょう」
「経済じゃなくて、神様の姿になりたいと言う宗教的な思いからだからね」
イコルティには時間を掛けてもいいから、残っている二百人ほどの人族化を終わらせるように言っておく。教国は急いでいるようで、詳しく話を聞くためにエリーシアを抱き上げ、教国首都のハイメルドへと飛んだ。
「魔王殿、ご足労いただきありがとうございます」
急な訪問であったけど、すぐに話し合いの場をセットしてくれて、セイマール首相と本題に入る。
五百万人以上もの人口を持つ教国。たかが八千人程の移民で、それほど問題になる事もないと思うんだけどね。エリーシアも難色を口にする。
「一年も経たずに条約改訂とはいかがなものでしょうか」
「移民の多くは東方地域からの流出なのです。現在この地方の治安が悪くなり、こちらも苦慮しておりまして……」
平均的に流出するならいいけど、村人の半数が一気に居なくなった所もあるようだね。急速な減少で人手が足りなくなり、魔獣の被害も出ているようだ。
教国の実質的な指導者である教皇はというと、信者が魔国に移っても信者であり続けるので、問題ないと考えているようだね。単に行政府の問題だとして首相に丸投げしているそうだ。
「この先、永遠に移住を禁止するわけではありませんで、少なくなった村の統合を進める間だけでも……」
とはいえ、年単位で移住できない事になりそうだ。こちらとして移民は大歓迎だけど、それで教国が混乱するというなら一時的に禁止するのもやむを得ないかな。
貿易や友好条約を破棄しようと言うんじゃないし、今回は相手の言う事をそのまま飲んでもいいだろうね。
「魔王殿。理解していただき、ありがとうございます。各領主に連絡し二週間後から移民を止めさせていただきます」
準備があるから今すぐという訳じゃないようだ。しかしこの政策変更が後々の争いの種になってしまう。
眷属化後すぐに人族化すると体力が持たない。中一日おいてから人族になってもらうから丸三日間は必要だ。
四千人もの人が眷属になりたいと待機している。里のように三十人程の少人数で人族化すると何百日も掛かってしまうよ。
人族に変われた眷属達とのんびり里で暮らせるようになったのに、里を離れて南部地方に通うなんて嫌なんだからね。
「ボク達は夜でも活動できるから、一気に人族化したいんだよ」
「千人規模のベッドを用意するのも大変でして……」
スレイブンも悩んでいるようだけど、エルメス駐在の軍を使って簡易ベッドとテントを用意すればいいじゃんか。
「軍の装備をほとんど使いますと、いざという時この都市の守りが手薄になってしまいますので……」
「そんなの大丈夫だよ。短期間で終わらせるんだからさ」
エルメスのお城近くの平原で、テントとベッドを用意してもらうようにした。
一日五百人を人族化すれば、一週間ぐらいで終わっちゃうからね。
そう、そんな呑気な事を考えていた時期もあったね……。
「もう無理~、無理だよ~」
「姉様……頑張ってください……」
「そう言うイコルティだって、もうヘロヘロじゃないか」
「もうアゴが疲れて……それに貧血気味で」
疲れ知らずのヴァンパイアであっても、昼夜を問わずやってくる移民者を流れ作業のように人族化する作業は重労働だった。そう、ブラック……ブラック企業だよ~。
最初こそ何百人も人族化していったけどペースはどんどん落ちて、十日経っても処理しきれないでいる。
イコルティも血を与え過ぎたのか、頬もこけ目の下にクマができている。そんなヴァンパイアの姿なんて見てられないよ。
「リビティナ様、一旦休止いたしましょう。これではお体が持ちませんぞ」
「今来こられている移民の方は私が説得しますので、ここで中止しましょう」
マリアンヌにまで心配をかけているようだし、仕方ないか。二千人以上は人族化できたし、今回はここまでとしよう。
そう思っていると、里からエリーシアがプライベートジェット機に乗ってエルメスのお城までやって来た。
「リビティナ様。教国が移民を中止したいと申し込んできました」
友好条約を結んだ際、双方で自由に移民を受け入れると決めていた。これは友好関係にある王国とも結ばれている。元ノルキア帝国のように流出を防ぐ政策をしていた国もあるけど、獣人三国では普通の事のようだ。
教国からは現在までに八千人程が魔国へと流入していて、今後も増えていくと予想される。
「ヘブンズ教国の方が経済的に裕福ですので、これほどの移民が発生するとは思っていなかったのでしょう」
「経済じゃなくて、神様の姿になりたいと言う宗教的な思いからだからね」
イコルティには時間を掛けてもいいから、残っている二百人ほどの人族化を終わらせるように言っておく。教国は急いでいるようで、詳しく話を聞くためにエリーシアを抱き上げ、教国首都のハイメルドへと飛んだ。
「魔王殿、ご足労いただきありがとうございます」
急な訪問であったけど、すぐに話し合いの場をセットしてくれて、セイマール首相と本題に入る。
五百万人以上もの人口を持つ教国。たかが八千人程の移民で、それほど問題になる事もないと思うんだけどね。エリーシアも難色を口にする。
「一年も経たずに条約改訂とはいかがなものでしょうか」
「移民の多くは東方地域からの流出なのです。現在この地方の治安が悪くなり、こちらも苦慮しておりまして……」
平均的に流出するならいいけど、村人の半数が一気に居なくなった所もあるようだね。急速な減少で人手が足りなくなり、魔獣の被害も出ているようだ。
教国の実質的な指導者である教皇はというと、信者が魔国に移っても信者であり続けるので、問題ないと考えているようだね。単に行政府の問題だとして首相に丸投げしているそうだ。
「この先、永遠に移住を禁止するわけではありませんで、少なくなった村の統合を進める間だけでも……」
とはいえ、年単位で移住できない事になりそうだ。こちらとして移民は大歓迎だけど、それで教国が混乱するというなら一時的に禁止するのもやむを得ないかな。
貿易や友好条約を破棄しようと言うんじゃないし、今回は相手の言う事をそのまま飲んでもいいだろうね。
「魔王殿。理解していただき、ありがとうございます。各領主に連絡し二週間後から移民を止めさせていただきます」
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