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第9章 第二次ノルキア帝国戦争
第89話 魔国の新兵器5
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レールガンが徐々に組み上がっていく。砲身自体は五メートルの長さでカノン砲と同じようなものだけど、そこに電力を供給する発電装置が大掛かりな物となっている。
「よ~し、石臼《いしうす》に馬をつなげ~」
組み上がった発電装置は通称石臼と呼ばれている。
太い丸太のような木枠は長さが十五メートル程あるけど、その先端から半分までは重い石が取り付けられている。
扇形に切り出された白い石。それを二十四本、円形に組んでいくと水平に置かれた直径三十メートルの巨大な回転する石の円盤となる。
ドーナツ状に組まれた中心には、大電流に耐えられる巨大な直流発電機が取り付けられ、発電を行なう仕組みになっている。
「よ~し、馬を走らせろ」
二頭立ての馬車を連ねた形で、石臼と呼ばれる装置の周囲に四十八頭の馬をつないで走らせる。
石臼の周辺部は地面との間にあるローラーと反重力装置で重さは軽減され、スムーズに回転するようになっているけど、その質量は膨大。最初はゆっくりしか回らない石臼の回転速度も徐々に上がっていき、馬の全速力に近い速度になる。
「馬を切り離すぞ~。みんな注意しろ」
順番に切り離された馬は、丸い発電装置から外に向かって一直線に飛び出して行く。全力で走らされた馬は疲れ果て、荒い息をし目を大きく見開いてゆっくりと止まる。
馬が離れても、石の円盤は回転し続ける。これは巨大なフライホイールだ。その運動エネルギーが電力となる。
「リビティナ様。準備できました」
「ティーア。照準は大丈夫かい」
「はい。こちらはいつでも発射できます」
発射台に取り付けられたスコープを覗きながらティーアが答える。
「ティーア、発射してくれ」
「了解しました!」
レールガンの本体部分にいたティーアが、金属の弾丸を砲身に装填するための引き金を引く。その瞬間、ドゴンという重い地鳴りのような音と共に回転していた発電装置が急停止した。
一瞬で全電気エネルギーが消費され、弾丸が電磁力で加速される。
レールガンの砲身の先端からは白い煙が噴き出し、弾丸が発射された。その二秒後、遠く離れた城の半分が崩れ落ちる。
微かだけど城の崩れる音が、遅れてここまで聞こえてきた。その後も城の崩壊は続き城全体が崩れ落ちた。
「い、今、ここから弾が発射されたんだよな。一発であの威力かよ」
「えへっへ~、すごいでしょう。このレールガンは。音速の五倍ものスピードで弾丸が飛んで行くのよ」
ティーアは自慢そうに、直径が四センチほどの細長い弾丸を見せる。その黒く光る表面は人工のマダガスカル鋼、小さな弾丸であっても音速を遥かに超えるまで加速された運動エネルギーは膨大だ。硬い城の壁に当たれば、爆発的な破壊力を産み出す。
「こんな小さな弾だったのかよ。一体どういう仕組みなんだ~。ほんとすげ~な」
ネイトスはレールガンの威力に驚き、崩れ落ちた城を何度も見返している。
「次の発射準備をします」
レールガン部隊が、回転を止めた発電装置に新しい馬をつなぎ準備を始めた。
「ティーア。次は城門を狙ってくれるかな」
「はい、了解しました~」
おどけるようにティーアが敬礼し、兵士達は足早に次の発射準備を進めていく。
「よ~し、石臼を回せ、回せ~」
これで街中にいる兵士たちはパニック状態になるだろうね。さて、こちらも次の準備に取り掛かろうかな。
城が破壊されて、城壁も大きく破損している。帝国貴族が死んだのか分からないけど、後は降伏するか徹底抗戦するしかないだろうね。
夜が明けて都市に引き籠っていた兵士達が、壊れた城門から外に出てきた。そして隊列を組む。その数約八千。徹底抗戦の道を選んだようだ。
「紋章旗の縁取りが黒いですな。既に帝国貴族は死んだようです。弔い合戦という訳ですな」
ネイトスは最前線に立ち、双眼鏡を手に相手の様子を探る。城からここまでは魔法射程の三倍以上の距離がある。後方の砲撃が届くぎりぎりの位置。相手が攻めてくれば、まずは砲撃を行なう事になっている。
「やっぱり敵さんには飛行部隊がいるようだね。戦闘機も用意しおいてもらおうかな」
自陣の一番後方、そこには爆撃機と戦闘機が駐留している。空中戦はそちらに任せよう。
「敵、前進してきました!」
物見やぐらから声が飛ぶ。こちらも攻撃を開始しよう。
騎馬隊が猛スピードでこちらへと迫って来る。でも、まだまだ距離はある。カノン砲が一斉に火を噴き戦場に土煙が舞う。それを物ともせず馬を走らせて近づくけど、こちらの火力の方が上だよ。
「飛行隊、空に上がりました」
「地上戦と空中戦を一緒にするみたいだね。目標は後方じゃなくてこの陣地かな」
高く飛ぶこともなく、騎馬隊の上空を飛んで馬と同じ速度で近づいてくる。戦闘機を飛ばすけど、地上からの攻撃を受けない射程外まで上がってもらうため、命中率は低いようだ。
なるほど、地上の騎馬隊に守ってもらって飛行隊を陣地に突入させる作戦のようだね。敵は数を減らしながらも迫ってくる。
「でも、こちらの地上部隊も完璧の布陣だよ」
前衛は盾を持った騎馬隊、その後ろに大型の機械弓を使う弓隊、そして攻撃の主力となる魔術師部隊だ。
「攻撃開始!」
敵が魔法射程に入って来た。弓と魔法の攻撃を同時に行なう。敵の騎馬隊は既に全滅している、残るは飛行部隊。
弓による攻撃が有効のようだね。
それと高速魔法による狙い撃ち……あれはフィフィロか。他の魔術師は放物線で飛距離を取ろうとするけど、フィフィロは直線で狙い撃っている。
「S級魔術も連発しているし、さすが魔術師部隊のエースだね」
「この分ですと、こちらの被害はほとんどないでしょうな」
ネイトスのいう通り、間もなく飛行部隊も全滅した。でもその戦闘の間に敵の歩兵と魔術師部隊が近づいて来ている。
「あれは爆撃機で攻撃してもらおう」
既に最後方から爆撃機は飛び立ち、戦場の上空に位置する。遥か上空から落とされる岩と砲撃部隊による砲弾の嵐。
昨日の城への攻撃で数を減らしていたんだろう、空と地上からの攻撃に耐えられるはずもなく、敵の部隊は壊滅した。
「よ~し、石臼《いしうす》に馬をつなげ~」
組み上がった発電装置は通称石臼と呼ばれている。
太い丸太のような木枠は長さが十五メートル程あるけど、その先端から半分までは重い石が取り付けられている。
扇形に切り出された白い石。それを二十四本、円形に組んでいくと水平に置かれた直径三十メートルの巨大な回転する石の円盤となる。
ドーナツ状に組まれた中心には、大電流に耐えられる巨大な直流発電機が取り付けられ、発電を行なう仕組みになっている。
「よ~し、馬を走らせろ」
二頭立ての馬車を連ねた形で、石臼と呼ばれる装置の周囲に四十八頭の馬をつないで走らせる。
石臼の周辺部は地面との間にあるローラーと反重力装置で重さは軽減され、スムーズに回転するようになっているけど、その質量は膨大。最初はゆっくりしか回らない石臼の回転速度も徐々に上がっていき、馬の全速力に近い速度になる。
「馬を切り離すぞ~。みんな注意しろ」
順番に切り離された馬は、丸い発電装置から外に向かって一直線に飛び出して行く。全力で走らされた馬は疲れ果て、荒い息をし目を大きく見開いてゆっくりと止まる。
馬が離れても、石の円盤は回転し続ける。これは巨大なフライホイールだ。その運動エネルギーが電力となる。
「リビティナ様。準備できました」
「ティーア。照準は大丈夫かい」
「はい。こちらはいつでも発射できます」
発射台に取り付けられたスコープを覗きながらティーアが答える。
「ティーア、発射してくれ」
「了解しました!」
レールガンの本体部分にいたティーアが、金属の弾丸を砲身に装填するための引き金を引く。その瞬間、ドゴンという重い地鳴りのような音と共に回転していた発電装置が急停止した。
一瞬で全電気エネルギーが消費され、弾丸が電磁力で加速される。
レールガンの砲身の先端からは白い煙が噴き出し、弾丸が発射された。その二秒後、遠く離れた城の半分が崩れ落ちる。
微かだけど城の崩れる音が、遅れてここまで聞こえてきた。その後も城の崩壊は続き城全体が崩れ落ちた。
「い、今、ここから弾が発射されたんだよな。一発であの威力かよ」
「えへっへ~、すごいでしょう。このレールガンは。音速の五倍ものスピードで弾丸が飛んで行くのよ」
ティーアは自慢そうに、直径が四センチほどの細長い弾丸を見せる。その黒く光る表面は人工のマダガスカル鋼、小さな弾丸であっても音速を遥かに超えるまで加速された運動エネルギーは膨大だ。硬い城の壁に当たれば、爆発的な破壊力を産み出す。
「こんな小さな弾だったのかよ。一体どういう仕組みなんだ~。ほんとすげ~な」
ネイトスはレールガンの威力に驚き、崩れ落ちた城を何度も見返している。
「次の発射準備をします」
レールガン部隊が、回転を止めた発電装置に新しい馬をつなぎ準備を始めた。
「ティーア。次は城門を狙ってくれるかな」
「はい、了解しました~」
おどけるようにティーアが敬礼し、兵士達は足早に次の発射準備を進めていく。
「よ~し、石臼を回せ、回せ~」
これで街中にいる兵士たちはパニック状態になるだろうね。さて、こちらも次の準備に取り掛かろうかな。
城が破壊されて、城壁も大きく破損している。帝国貴族が死んだのか分からないけど、後は降伏するか徹底抗戦するしかないだろうね。
夜が明けて都市に引き籠っていた兵士達が、壊れた城門から外に出てきた。そして隊列を組む。その数約八千。徹底抗戦の道を選んだようだ。
「紋章旗の縁取りが黒いですな。既に帝国貴族は死んだようです。弔い合戦という訳ですな」
ネイトスは最前線に立ち、双眼鏡を手に相手の様子を探る。城からここまでは魔法射程の三倍以上の距離がある。後方の砲撃が届くぎりぎりの位置。相手が攻めてくれば、まずは砲撃を行なう事になっている。
「やっぱり敵さんには飛行部隊がいるようだね。戦闘機も用意しおいてもらおうかな」
自陣の一番後方、そこには爆撃機と戦闘機が駐留している。空中戦はそちらに任せよう。
「敵、前進してきました!」
物見やぐらから声が飛ぶ。こちらも攻撃を開始しよう。
騎馬隊が猛スピードでこちらへと迫って来る。でも、まだまだ距離はある。カノン砲が一斉に火を噴き戦場に土煙が舞う。それを物ともせず馬を走らせて近づくけど、こちらの火力の方が上だよ。
「飛行隊、空に上がりました」
「地上戦と空中戦を一緒にするみたいだね。目標は後方じゃなくてこの陣地かな」
高く飛ぶこともなく、騎馬隊の上空を飛んで馬と同じ速度で近づいてくる。戦闘機を飛ばすけど、地上からの攻撃を受けない射程外まで上がってもらうため、命中率は低いようだ。
なるほど、地上の騎馬隊に守ってもらって飛行隊を陣地に突入させる作戦のようだね。敵は数を減らしながらも迫ってくる。
「でも、こちらの地上部隊も完璧の布陣だよ」
前衛は盾を持った騎馬隊、その後ろに大型の機械弓を使う弓隊、そして攻撃の主力となる魔術師部隊だ。
「攻撃開始!」
敵が魔法射程に入って来た。弓と魔法の攻撃を同時に行なう。敵の騎馬隊は既に全滅している、残るは飛行部隊。
弓による攻撃が有効のようだね。
それと高速魔法による狙い撃ち……あれはフィフィロか。他の魔術師は放物線で飛距離を取ろうとするけど、フィフィロは直線で狙い撃っている。
「S級魔術も連発しているし、さすが魔術師部隊のエースだね」
「この分ですと、こちらの被害はほとんどないでしょうな」
ネイトスのいう通り、間もなく飛行部隊も全滅した。でもその戦闘の間に敵の歩兵と魔術師部隊が近づいて来ている。
「あれは爆撃機で攻撃してもらおう」
既に最後方から爆撃機は飛び立ち、戦場の上空に位置する。遥か上空から落とされる岩と砲撃部隊による砲弾の嵐。
昨日の城への攻撃で数を減らしていたんだろう、空と地上からの攻撃に耐えられるはずもなく、敵の部隊は壊滅した。
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