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第3章 安住の地
第38話 国境2
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国境検問所の建物を出てしばらく歩くと、ゲートがあってその両側のひさしの下で、槍を持った兵士が椅子に座っている。ここが国境線なんだろう。でもゲートは開いていてその道を進むと、先には同じような白い建物がある。帝国側の検問所だね。
「お前らは、冒険者のようだな。Bランクと、こっちはEランクの駆け出しか。何をしに来た」
王国側の職員とは違って横柄な態度で聞いてくる。
「帝国は初めてなんでな。仕事の下見を兼ねて見て回るつもりだ」
ネイトスが上手く応えてくれる。冒険者カードを提示して入国しようとしているから、旅行というより仕事の関連だと言った方が通りがいいだろうね。
「二人して同じような仮面をつけて怪しい奴だな。その仮面を外してもらおうか」
そう言って職員が、リビティナの仮面に手を伸ばす。
「冒険者の装備に気安く触るんじゃねえ!」
ネイトスが伸ばした職員の手を掴み捻り上げる。「ウウッ!」と声を上げる職員の周りに他の職員も集まって来た。
「冒険者と偽って密輸入をしている奴がいる! お前達は本当にそのカードの持ち主か」
「お前はこのカードが信用できんのか!」
冒険者カードというのはどこの国でも、本人を証明する信頼された物だ。罪を犯した者は犯罪歴が記録され、Bランク冒険者ともなれば貴族に仕えるAランクの一つ下。その信頼性は高い。
騒ぎを聞きつけて、奥から責任者らしき人物が出てきた。大柄で肩幅の広いクマ獣人。顔に幾つもの傷が残っている。元冒険者か兵士かな?
「Bランク冒険者か。この国でそのランクに見合う仕事をしてくれるなら、こちらとしては歓迎せざるを得んな」
顔は怖いけど、落ち着いた態度で言ってくる。この人は話の分かる人のようだね。
「すまんが、その袋に入っている弓を見せてくれるか」
ネイトスがいつも使っている機械弓。その形状が気になったのか責任者がそう言ってきた。
「ほう、最近の王国の弓はこんな形をしているのか。良く使い込まれているな。あんたらは確かに王国の冒険者に間違いないようだ。おい、通してやれ」
他の職員に指示し、やっと入国審査を通してくれた。
ネイトスと二人その建物を出ると、冒険者風の女性に後ろから声を掛けられた。
「あんたはBランク冒険者なんだろう。一緒について行ってもいいかな」
さっき王国側の検問所に一緒に入って行ったクマ族の女性。ネイトスが少し警戒したように応える。
「お前は誰だ?」
「アタイはこの先の町に住むDランクの冒険者なんだ。ここからだと途中の森で野営する事になるんだよね。一緒に居させてほしいんだけど」
なるほど。一人で野営するには森の中は危険だからね。でもな~、これから空を飛んで夕方前に次の町に入るつもりなんだけど……。
どうしようかと二人顔を見合わせていると、
「初めてこの帝国に来たんだろう。それならアタイが案内してあげるよ。だからさ~」
さっきの入国管理所での話を聞いていたんだろう。このまま走って逃げる? いやここはベテラン冒険者のネイトスに対応を任せようと目で合図した。
「今会ったばかりのあんたを信用する事はできんな。勝手について来て近くにいる分には構わんさ」
「そうか、助かるよ。アタイはレインって言うんだ。よろしくね」
そう言って、リビティナ達の横をニコニコ顔で付いてくる。一本道の街道で撒いて逃げるわけにもいかない、これが冒険者同士のやり方なんだろう。それにしても歩きか~。困ったもんだ。
一緒に付いてきたレインが、あの山は何とか言う山でこの川は町まで流れているだとか、人懐っこく話しかけてくる。この近辺の事を話してくれるけど、あんまり関係ないんだよね。
レインによると、この先に野営しやすい場所があると言う。
「あんた……レインだったね。どうして一人で野営しようなんて思ったのさ。明日の朝なら町まで行く乗合馬車が出ているはずだろう」
「あ~、アタイ今お金が無いんだ。王国での仕事に失敗しちゃってさ、一緒に行ってた仲間が怪我しちゃったんだよね」
冒険者仲間と二人で王国に入ったらしいけど、仲間の怪我の治療費にお金を全部使い果たしたようだね。町に泊まったり馬車に乗るお金もなくて、歩いて自分の町に帰らないといけないと笑いながら話している。
「王国は物価が高いからね~。まあ、だから稼ぎもいいんだけどね」
出稼ぎみたいにして、王国にはよく行っているらしい。国境検問所では入国期限ギリギリだったから、王国に入った仲間はどうしたのかと色々と質問されたらしい。
この後、仲間の家族に連絡して、お金を送ってもらうか迎えに行ってもらうつもりだと言っている。
「お前らは、冒険者のようだな。Bランクと、こっちはEランクの駆け出しか。何をしに来た」
王国側の職員とは違って横柄な態度で聞いてくる。
「帝国は初めてなんでな。仕事の下見を兼ねて見て回るつもりだ」
ネイトスが上手く応えてくれる。冒険者カードを提示して入国しようとしているから、旅行というより仕事の関連だと言った方が通りがいいだろうね。
「二人して同じような仮面をつけて怪しい奴だな。その仮面を外してもらおうか」
そう言って職員が、リビティナの仮面に手を伸ばす。
「冒険者の装備に気安く触るんじゃねえ!」
ネイトスが伸ばした職員の手を掴み捻り上げる。「ウウッ!」と声を上げる職員の周りに他の職員も集まって来た。
「冒険者と偽って密輸入をしている奴がいる! お前達は本当にそのカードの持ち主か」
「お前はこのカードが信用できんのか!」
冒険者カードというのはどこの国でも、本人を証明する信頼された物だ。罪を犯した者は犯罪歴が記録され、Bランク冒険者ともなれば貴族に仕えるAランクの一つ下。その信頼性は高い。
騒ぎを聞きつけて、奥から責任者らしき人物が出てきた。大柄で肩幅の広いクマ獣人。顔に幾つもの傷が残っている。元冒険者か兵士かな?
「Bランク冒険者か。この国でそのランクに見合う仕事をしてくれるなら、こちらとしては歓迎せざるを得んな」
顔は怖いけど、落ち着いた態度で言ってくる。この人は話の分かる人のようだね。
「すまんが、その袋に入っている弓を見せてくれるか」
ネイトスがいつも使っている機械弓。その形状が気になったのか責任者がそう言ってきた。
「ほう、最近の王国の弓はこんな形をしているのか。良く使い込まれているな。あんたらは確かに王国の冒険者に間違いないようだ。おい、通してやれ」
他の職員に指示し、やっと入国審査を通してくれた。
ネイトスと二人その建物を出ると、冒険者風の女性に後ろから声を掛けられた。
「あんたはBランク冒険者なんだろう。一緒について行ってもいいかな」
さっき王国側の検問所に一緒に入って行ったクマ族の女性。ネイトスが少し警戒したように応える。
「お前は誰だ?」
「アタイはこの先の町に住むDランクの冒険者なんだ。ここからだと途中の森で野営する事になるんだよね。一緒に居させてほしいんだけど」
なるほど。一人で野営するには森の中は危険だからね。でもな~、これから空を飛んで夕方前に次の町に入るつもりなんだけど……。
どうしようかと二人顔を見合わせていると、
「初めてこの帝国に来たんだろう。それならアタイが案内してあげるよ。だからさ~」
さっきの入国管理所での話を聞いていたんだろう。このまま走って逃げる? いやここはベテラン冒険者のネイトスに対応を任せようと目で合図した。
「今会ったばかりのあんたを信用する事はできんな。勝手について来て近くにいる分には構わんさ」
「そうか、助かるよ。アタイはレインって言うんだ。よろしくね」
そう言って、リビティナ達の横をニコニコ顔で付いてくる。一本道の街道で撒いて逃げるわけにもいかない、これが冒険者同士のやり方なんだろう。それにしても歩きか~。困ったもんだ。
一緒に付いてきたレインが、あの山は何とか言う山でこの川は町まで流れているだとか、人懐っこく話しかけてくる。この近辺の事を話してくれるけど、あんまり関係ないんだよね。
レインによると、この先に野営しやすい場所があると言う。
「あんた……レインだったね。どうして一人で野営しようなんて思ったのさ。明日の朝なら町まで行く乗合馬車が出ているはずだろう」
「あ~、アタイ今お金が無いんだ。王国での仕事に失敗しちゃってさ、一緒に行ってた仲間が怪我しちゃったんだよね」
冒険者仲間と二人で王国に入ったらしいけど、仲間の怪我の治療費にお金を全部使い果たしたようだね。町に泊まったり馬車に乗るお金もなくて、歩いて自分の町に帰らないといけないと笑いながら話している。
「王国は物価が高いからね~。まあ、だから稼ぎもいいんだけどね」
出稼ぎみたいにして、王国にはよく行っているらしい。国境検問所では入国期限ギリギリだったから、王国に入った仲間はどうしたのかと色々と質問されたらしい。
この後、仲間の家族に連絡して、お金を送ってもらうか迎えに行ってもらうつもりだと言っている。
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