8 / 63
領主の騎士(2)
しおりを挟む
「なんだか偉そうな奴らだな」
「アイラが言いますか。でもそうですね」
公爵家の騎士たちはソファーにふんぞり返って、大きな声を上げて笑っていた。
テーブルにはたくさんの料理と酒が並んでいるが、もうほとんど食事は終えたようだった。食べ残しはたくさんあるが、誰もそれを綺麗に片付けようとはしない。
「でも一人だけ楽しそうじゃない奴もいるな」
黒髪を短く刈り込んだ、若い騎士だ。彼は他の騎士の話に相槌を打つことなく、酒に手を付けることもなく、うつむき気味にソファーに座っている。
そしてよく見れば、他の席の客たちもちらちらと騎士たちを見て、その挙動を気にしているようだった。中には店に入ってきて騎士たちの姿を発見すると、そそくさと踵を返してしまう者もいる。
「嫌われ者みたいだな」
「そのようですね。避けられていると言うか……。おそらくアイリーデ公爵の威を借りて、街で好き勝手にしているからでしょう」
そんな会話をしているうちに料理が完成したようだった。
「豚肉とじゃがいもの煮込みと、塩鱈のオイル煮だよ」
店主はフォークとスプーンを突っ込んだ皿をアイラの前に置いた。骨付きの豚肉とじゃがいもが赤い色のスープに浸っている。
「ナイフは?」
「ナイフ? 柔らかいからフォークを使えば骨から剥がせるさ。みんなそのままかぶり付いてるけどな」
店主の答えに、アイラはちょっと困ってルルを見た。ルルは軽く肩をすくめて小声で言う。
「それはエストラーダの家庭料理ですよ。城では出たことありませんでしたか? あまりかしこまって食べる料理ではないのです」
仕方がないのでアイラはまずスプーンを持ち、スープの味を確かめた。高級食材を使っているようには思えないので、深みのない薄い味がするに違いないと思いながら。
けれど一口飲んで衝撃を受けた。トマトとパプリカ、ハーブ、ニンニク、それに豚肉の旨味が混ざり合い、塩辛くないのに濃い味がする。食材から出汁が出ていて美味しい。
フォークで刺してかじり付いた豚肉は柔らかく、脂身と赤身のバランスが絶妙で、じゃがいもはスープを吸ってほくほくとろりとしていた。
「……何だ、これ。美味しい……」
アイラは瞳をキラキラさせて呟いた。
「よかったですね」
そう言って笑うルルに出された魚料理を、アイラはじっと見る。鱈が黄色いオリーブオイルのソースまみれになっていてあまり美味しそうには見えないが、あれも意外と美味しいのかもしれない。
「そっちも食べたい」
「欲張りですね。いいですよ」
ルルはフォークで魚を一口大に分け、ソースのたっぷりついたそれをアイラの口に入れた。
「……お、美味しい!」
まだほとんど咀嚼しないうちからアイラは感激する。口に入れてすぐ美味しかった。
乳化されたオリーブオイルのソースはとろとろしていてニンニクと唐辛子の風味が効いている。鱈はふんわり柔らかく、ほんのり塩味がして、コクのあるソースとよく合う。
「こんなところに天才料理人がいたなんて……」
「天才? 俺のことか? そんなに褒められると照れるね」
感動に打ち震えながら言うと、店主もその隣りにいた妻も笑った。けれどアイラは真剣に続ける。
「いや、お世辞じゃないぞ。お前たちは城で奉仕すべきだ。私がまだ王族だったなら、お前たちを雇ったのに」
「は? どういう意味だい?」
首をかしげる店主に、ルルが慌てて言う。
「ああ、本気にしないでください。彼は小さい頃に両親を亡くし、そのショックでちょっとおかしくなってしまったのです。妄想がひどく、自分のことを王子だと思い込んでいます」
「そりゃあ気の毒に」
店主は憐れむようにアイラを見た。そして店主の妻も同情して焼きプリンを差し出してくれる。
「え、いいのか?」
アイラがプリンにも目を輝かせていると――
「食えって言ってんだよ!」
ソファー席の方から声が響き、同時に人が倒れるような物音も聞こえてきた。
店の中は騒然とし、客たちはお喋りをやめて黙り込む。アイラはプリンを食後の楽しみにしつつ豚肉料理を食べながらそちらを見た。
騒がしいのはあの騎士たちだ。先ほど一人静かだった黒髪短髪の騎士が床に倒れている。彼はどうやら蹴られたらしく、蹴ったのは仲間の騎士のようだった。
くせ毛の茶色い髪を後ろで一つに縛った偉そうな騎士が言う。
「ほら、食えよ。お前は床で食うのがお似合いだ」
見れば、黒髪の騎士の前には骨付きチキンが転がっていた。くせ毛の騎士は続ける。
「せっかく一緒にメシに連れてきてやったってのに、ずっと辛気くせぇツラしやがって」
「あんたたちと食べてるとメシがマズくなる。下卑た話ばっかりして、とても騎士とは思えない」
歯を食いしばってそう言う若い黒髪の騎士。その言葉に、くせ毛の騎士や他の騎士たちは額に青筋を立てた。
「てめぇは本当に生意気だな。正義感ばかり振りかざして、騎士に何を夢見てんだ」
くせ毛の騎士は立ち上がると、床に膝をついている黒髪の騎士の頭を掴んだ。そして片手でスープをぼとぼとと床にぶちまけると、そこに黒髪の騎士の顔を無理やりつける。
「っ、……」
「意地でも食わねぇんなら、こっちにも考えがあるぞ。確かお前の家族はこの街に住んでたよなァ? まだ小さい妹もいるんだったか?」
「……家族には手を出すな!」
「ならどうすればいいか分かるよな?」
そう脅されると、黒髪の騎士は床に這いつくばったままスープを舐め始めた。悔しいのか手がぶるぶると震えている。
「本当に食ったぞ!」
「はははッ!」
そしてくせ毛の騎士たちは手を叩いて馬鹿みたいに笑っている。
他の客たちは騎士に萎縮しながら食事の手を止めていた。食欲が失せたのだろう。
そして店主は、自分の料理が粗末に扱われていることや店の中で騒ぎを起こされたことに腹を立てて顔を真っ赤にしていた。
「だから公爵様の騎士を入れるのは嫌なんだ」
「あなた、こらえてくださいよ。彼らに反抗したら店がどうなるか」
「分かってる」
騎士たちの不快な笑い声は店中に響き続けていた。
やがて一人の騎士がテーブルの上に残った料理を口に詰め込んで噛んだかと思うと、それを床に吐いて言う。
「これも食え。残すなよ」
「そりゃあいい!」
くせ毛の騎士が同調して笑う。黒髪の騎士は唇を噛みながらも、騎士が吐いた料理のところに這いずるようにして向かっていく。
そしてそこに口をつけようとしたところで、ぐちゃぐちゃに咀嚼されたその料理がふわりと宙に浮かんだ。
床にこぼされたスープも、骨付きチキンもだ。
「なんだ?」
異変に最初に気づいたのは黒髪の騎士で、くせ毛の騎士たちはまだ腹を抱えて大笑いしていた。
そして床の上にあった汚れた料理は全て、大口を開けて笑っているくせ毛の騎士の口に飛び込んでいく。
「っんぐ……!?」
口に料理を詰め込まれてやっと黙ったくせ毛の騎士は、苦しげに目を白黒させていた。
これをやったのはもちろんアイラだ。
ルルがため息をつくと同時に、アイラは騎士たちに向かって言った。
「さっきからうるさいぞ。私が食事中だ、静かにしろ」
「アイラが言いますか。でもそうですね」
公爵家の騎士たちはソファーにふんぞり返って、大きな声を上げて笑っていた。
テーブルにはたくさんの料理と酒が並んでいるが、もうほとんど食事は終えたようだった。食べ残しはたくさんあるが、誰もそれを綺麗に片付けようとはしない。
「でも一人だけ楽しそうじゃない奴もいるな」
黒髪を短く刈り込んだ、若い騎士だ。彼は他の騎士の話に相槌を打つことなく、酒に手を付けることもなく、うつむき気味にソファーに座っている。
そしてよく見れば、他の席の客たちもちらちらと騎士たちを見て、その挙動を気にしているようだった。中には店に入ってきて騎士たちの姿を発見すると、そそくさと踵を返してしまう者もいる。
「嫌われ者みたいだな」
「そのようですね。避けられていると言うか……。おそらくアイリーデ公爵の威を借りて、街で好き勝手にしているからでしょう」
そんな会話をしているうちに料理が完成したようだった。
「豚肉とじゃがいもの煮込みと、塩鱈のオイル煮だよ」
店主はフォークとスプーンを突っ込んだ皿をアイラの前に置いた。骨付きの豚肉とじゃがいもが赤い色のスープに浸っている。
「ナイフは?」
「ナイフ? 柔らかいからフォークを使えば骨から剥がせるさ。みんなそのままかぶり付いてるけどな」
店主の答えに、アイラはちょっと困ってルルを見た。ルルは軽く肩をすくめて小声で言う。
「それはエストラーダの家庭料理ですよ。城では出たことありませんでしたか? あまりかしこまって食べる料理ではないのです」
仕方がないのでアイラはまずスプーンを持ち、スープの味を確かめた。高級食材を使っているようには思えないので、深みのない薄い味がするに違いないと思いながら。
けれど一口飲んで衝撃を受けた。トマトとパプリカ、ハーブ、ニンニク、それに豚肉の旨味が混ざり合い、塩辛くないのに濃い味がする。食材から出汁が出ていて美味しい。
フォークで刺してかじり付いた豚肉は柔らかく、脂身と赤身のバランスが絶妙で、じゃがいもはスープを吸ってほくほくとろりとしていた。
「……何だ、これ。美味しい……」
アイラは瞳をキラキラさせて呟いた。
「よかったですね」
そう言って笑うルルに出された魚料理を、アイラはじっと見る。鱈が黄色いオリーブオイルのソースまみれになっていてあまり美味しそうには見えないが、あれも意外と美味しいのかもしれない。
「そっちも食べたい」
「欲張りですね。いいですよ」
ルルはフォークで魚を一口大に分け、ソースのたっぷりついたそれをアイラの口に入れた。
「……お、美味しい!」
まだほとんど咀嚼しないうちからアイラは感激する。口に入れてすぐ美味しかった。
乳化されたオリーブオイルのソースはとろとろしていてニンニクと唐辛子の風味が効いている。鱈はふんわり柔らかく、ほんのり塩味がして、コクのあるソースとよく合う。
「こんなところに天才料理人がいたなんて……」
「天才? 俺のことか? そんなに褒められると照れるね」
感動に打ち震えながら言うと、店主もその隣りにいた妻も笑った。けれどアイラは真剣に続ける。
「いや、お世辞じゃないぞ。お前たちは城で奉仕すべきだ。私がまだ王族だったなら、お前たちを雇ったのに」
「は? どういう意味だい?」
首をかしげる店主に、ルルが慌てて言う。
「ああ、本気にしないでください。彼は小さい頃に両親を亡くし、そのショックでちょっとおかしくなってしまったのです。妄想がひどく、自分のことを王子だと思い込んでいます」
「そりゃあ気の毒に」
店主は憐れむようにアイラを見た。そして店主の妻も同情して焼きプリンを差し出してくれる。
「え、いいのか?」
アイラがプリンにも目を輝かせていると――
「食えって言ってんだよ!」
ソファー席の方から声が響き、同時に人が倒れるような物音も聞こえてきた。
店の中は騒然とし、客たちはお喋りをやめて黙り込む。アイラはプリンを食後の楽しみにしつつ豚肉料理を食べながらそちらを見た。
騒がしいのはあの騎士たちだ。先ほど一人静かだった黒髪短髪の騎士が床に倒れている。彼はどうやら蹴られたらしく、蹴ったのは仲間の騎士のようだった。
くせ毛の茶色い髪を後ろで一つに縛った偉そうな騎士が言う。
「ほら、食えよ。お前は床で食うのがお似合いだ」
見れば、黒髪の騎士の前には骨付きチキンが転がっていた。くせ毛の騎士は続ける。
「せっかく一緒にメシに連れてきてやったってのに、ずっと辛気くせぇツラしやがって」
「あんたたちと食べてるとメシがマズくなる。下卑た話ばっかりして、とても騎士とは思えない」
歯を食いしばってそう言う若い黒髪の騎士。その言葉に、くせ毛の騎士や他の騎士たちは額に青筋を立てた。
「てめぇは本当に生意気だな。正義感ばかり振りかざして、騎士に何を夢見てんだ」
くせ毛の騎士は立ち上がると、床に膝をついている黒髪の騎士の頭を掴んだ。そして片手でスープをぼとぼとと床にぶちまけると、そこに黒髪の騎士の顔を無理やりつける。
「っ、……」
「意地でも食わねぇんなら、こっちにも考えがあるぞ。確かお前の家族はこの街に住んでたよなァ? まだ小さい妹もいるんだったか?」
「……家族には手を出すな!」
「ならどうすればいいか分かるよな?」
そう脅されると、黒髪の騎士は床に這いつくばったままスープを舐め始めた。悔しいのか手がぶるぶると震えている。
「本当に食ったぞ!」
「はははッ!」
そしてくせ毛の騎士たちは手を叩いて馬鹿みたいに笑っている。
他の客たちは騎士に萎縮しながら食事の手を止めていた。食欲が失せたのだろう。
そして店主は、自分の料理が粗末に扱われていることや店の中で騒ぎを起こされたことに腹を立てて顔を真っ赤にしていた。
「だから公爵様の騎士を入れるのは嫌なんだ」
「あなた、こらえてくださいよ。彼らに反抗したら店がどうなるか」
「分かってる」
騎士たちの不快な笑い声は店中に響き続けていた。
やがて一人の騎士がテーブルの上に残った料理を口に詰め込んで噛んだかと思うと、それを床に吐いて言う。
「これも食え。残すなよ」
「そりゃあいい!」
くせ毛の騎士が同調して笑う。黒髪の騎士は唇を噛みながらも、騎士が吐いた料理のところに這いずるようにして向かっていく。
そしてそこに口をつけようとしたところで、ぐちゃぐちゃに咀嚼されたその料理がふわりと宙に浮かんだ。
床にこぼされたスープも、骨付きチキンもだ。
「なんだ?」
異変に最初に気づいたのは黒髪の騎士で、くせ毛の騎士たちはまだ腹を抱えて大笑いしていた。
そして床の上にあった汚れた料理は全て、大口を開けて笑っているくせ毛の騎士の口に飛び込んでいく。
「っんぐ……!?」
口に料理を詰め込まれてやっと黙ったくせ毛の騎士は、苦しげに目を白黒させていた。
これをやったのはもちろんアイラだ。
ルルがため息をつくと同時に、アイラは騎士たちに向かって言った。
「さっきからうるさいぞ。私が食事中だ、静かにしろ」
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
連帯責任って知ってる?
よもぎ
ファンタジー
第一王子は本来の婚約者とは別の令嬢を愛し、彼女と結ばれんとしてとある夜会で婚約破棄を宣言した。その宣言は大騒動となり、王子は王子宮へ謹慎の身となる。そんな彼に同じ乳母に育てられた、乳母の本来の娘が訪ねてきて――
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる