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 本当はそんなものがあるかどうかも隼人は知らなかったが、璃玖と一樹の関係を探るにはぴったりだと、顔をにやけさせながら意味深長に一樹に言った。

「ふざけるな! 璃玖に何をしたんだ!」

 隼人の策略通り一樹は頭に血が上り、隼人に掴まれていた腕とは反対の腕の拳で一樹は隼人の顔を殴ろうとする。

 だが、その拳は意図も簡単に隼人に阻まれてしまった。

「あっぶね。この顔は商売道具の一つなんで、勘弁してくれよな。冗談だって、冗談」

「ふざけるなっ!」

 一樹は先程よりきつく隼人を睨みつけた。

「はいはい。それで……一樹だっけ? お前と璃玖の関係は?」

「俺と璃玖は二人でデビューを目指してるんだ」

「へぇー。お前が璃玖とね」

 そういうことかと隼人も状況を把握し、掴んでいた一樹の拳を離した。

 そして今度はその空いた手で一樹の顎を掴んで自分のほうに無理やり向かせると、顔の隅々まで観察をする。

 明るそうな印象を受ける色素が薄い茶髪の短髪とバランスの整った一樹の顔は、隼人の仕事の素材としても、スターチャートがデビューさせるアイドルの傾向にもぴったりだった。

 手足も長く、あと数年もすれば確実に人気アイドルに化けるだろうと隼人も容易に想像がついたが、隼人はふと昔を思い出し、冷静になって一樹の顎から手を離した。

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