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(聖さんは……。一体どんな思いで、榛名さんの曲を歌い続けていたんだろう……)

 相良を奪っていった榛名の作った曲。

 榛名が相良のことを想って作った曲とわかっていながら、それでも届けようと歌った聖の気持ち。

 聖が本当は手にしたかった相良に向けて、榛名の代わりに届けようとしていた想い。

 優しい聖は自分の苦しみよりも、榛名の曲が相良に届くことを優先させたのだと璃玖は理解した。

(でも、聖さんはきっと知っているんだ……。相良先生が聖さんの曲を聴いていないことを……)

 聖が辛くても歌い続けた榛名の曲はもちろん、相良を想って聖が書いた歌詞のデビュー曲でさえ、相良は聴いていないことに璃玖は憤りを覚えた。

「聖に曲を提供することが、榛名なりの罪滅ぼしだったみたいなんだ。まぁ、当の本人……聖は迷惑だったらしいけどな……」

「……。どうして榛名さんが……その……聖さんに罪滅ぼしをする必要があったと、相良先生は思うんですか?」

「あー……。前に話しただろ? 優先することがあって俺はスターチャートの研修生を辞めたって。あれは、榛名の側にいるためだったんだ。だから榛名は、一緒にデビューするはずだった俺を聖から奪ったって考えていたみたいなんだ。俺が辞めた結果、聖は一人でデビューすることになったわけだからさ……」

(奪った……。聖さんの手紙にも書いてあったけど……。でも、それって……)

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