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「隼人さん……」

 璃玖は呆れた様子で隼人を見つめる。

「なんだよ、好みだったんだから仕方ないだろ。ほら、食べようぜ」

 運ばれてきたコーヒーを飲みながら、隼人は璃玖の呆れた様子に不満そうな顔をしつつ、クラブハウスサンドが乗せられたお皿を璃玖に近づけた。

「いただきます」

 璃玖は手を合わせると、クラブハウスサンドを一切れ手に取り頬張った。

 思っていた以上にお腹が空いていたのか、あっという間に食べ切ると、ホットミルクティーが入った大きめのティーカップを両手で包み込むように持ち上げた。

「あったかい」

 小春日とはいえ季節は秋も終わりかけで、置いてあったひざ掛けを掛けていたものの、時折吹く冷たい風に璃玖は身体を冷やしていた。

 カップから伝わる熱で指先を温めつつ、璃玖は火傷しないよう、ゆっくりとミルクティーに口をつけた。

「それで璃玖は俺に、榛名さんの何を聞きたかったんだ?」

 隼人はティーカップをソーサーに戻し、ポケットから煙草を取り出し火をつけた。

「榛名さんと相良先生って、運命の番……だったんですよね?」

「へえ、そんなことまで聖が話したのか……」

 聖が璃玖に榛名のことを話したことにも驚いたが、運命の番の話までしていることに隼人はさらに驚いた。

「え、えっと……。隼人さんは、どこまでご存知なんですか?」

「逆に璃玖はどこまで知ってるんだ?」

「僕は……。相良先生が榛名さんとは運命の番で、聖さんとデビューが決まっていたけど……。その……。相良先生は榛名さんを選んだって……」

 璃玖は自分の知っている範囲のことを隼人に伝えた。

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