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「璃玖君らしい考えだね」
「それって、僕が単純ってことですか?」
「違うよ。大人になると、そう簡単なことじゃないんだよね。だって、僕は欲張りだから……」
「欲張り? でも、好きなんですよね? 相良先生のこと……」
「さぁ、どうなんだろうね」
はぐらかすように聖は優しく璃玖に微笑みかけるが、璃玖は少し怒ったような真剣な顔のままだった。
「聖さん、はぐらかさないでください」
「ごめん、ごめん。そうだな……」
少し考え込んだ聖は、自分の顔の前に左手を持ってくると指先を見つめた。
「本当はね……僕自身もどうしたらいいのかわからないんだ。まるで、大事なおもちゃを盗られてしまった子供のような気持ちみたいでさ。ねぇ、璃玖君……。好きって、一体なんだろうね?」
「好き……ですか。うーん、誰よりも大事にしたくて……守りたいものじゃないですか?」
「それじゃあ、家族や友達と変わらなくない?」
「うーん、キスしたいとか、相手に触りたいとか……わっ!」
璃玖は急に聖に腕を引かれ、そのままバランスを崩し背中からベッドに倒れこんでしまう。
すると、昼間の車内の時のように聖は璃玖の上に跨ると、あっという間に璃玖は組み敷かれてしまった。
「璃玖君も学習しないね……。そういう発言が煽っているんだよ。だいたい大人はね、好きじゃなくても触りたいって思うもんなんだよ」
聖は璃玖の顔の横についていた腕を曲げてゆっくりと璃玖に顔を近づけるが、璃玖は聖から視線を離そうとしなかった。
「それって、僕が単純ってことですか?」
「違うよ。大人になると、そう簡単なことじゃないんだよね。だって、僕は欲張りだから……」
「欲張り? でも、好きなんですよね? 相良先生のこと……」
「さぁ、どうなんだろうね」
はぐらかすように聖は優しく璃玖に微笑みかけるが、璃玖は少し怒ったような真剣な顔のままだった。
「聖さん、はぐらかさないでください」
「ごめん、ごめん。そうだな……」
少し考え込んだ聖は、自分の顔の前に左手を持ってくると指先を見つめた。
「本当はね……僕自身もどうしたらいいのかわからないんだ。まるで、大事なおもちゃを盗られてしまった子供のような気持ちみたいでさ。ねぇ、璃玖君……。好きって、一体なんだろうね?」
「好き……ですか。うーん、誰よりも大事にしたくて……守りたいものじゃないですか?」
「それじゃあ、家族や友達と変わらなくない?」
「うーん、キスしたいとか、相手に触りたいとか……わっ!」
璃玖は急に聖に腕を引かれ、そのままバランスを崩し背中からベッドに倒れこんでしまう。
すると、昼間の車内の時のように聖は璃玖の上に跨ると、あっという間に璃玖は組み敷かれてしまった。
「璃玖君も学習しないね……。そういう発言が煽っているんだよ。だいたい大人はね、好きじゃなくても触りたいって思うもんなんだよ」
聖は璃玖の顔の横についていた腕を曲げてゆっくりと璃玖に顔を近づけるが、璃玖は聖から視線を離そうとしなかった。
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