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「聖……」
「僕が璃玖君を連れて行ったのは、性欲の捌け口にするためじゃありません。だいたい……僕がどんな気持ちで一人でデビューして、あの人の曲を歌わされ続けてきたか……考えたことありますか?」
「ご、ごめん。俺、勝手に誤解して……。その……考えもなしに……本当にごめん……」
「……」
「そうだよな。俺、一体何考えていたんだろうな。だいたい、聖は榛名の曲を全部完成させてくれたんだし、感謝しないと」
「感謝……なんて必要ないです」
「聖……?」
「ねえ、相良先輩……。僕は運命に勝てなかったのか、それとも榛名さん自身に勝てなかったのか……。一体どっちなんでしょうね……」
聖は寂しげに笑って相良に問いかける。
「どっちって……」
「僕はあの時、相良先輩の隣は誰にも譲らないって思っていました」
「それは俺だって……」
「でも、あなたが選んだのは運命の番だった。今まで積み上げてきたもの全て、僕を捨ててまで選んだ。僕だって、あの人と同じαだったのに……」
「それは……」
「全て運命の番だったから、仕方がないって?」
相良は必死に首を何回も横に振る。
「違う。榛名が運命の番だったからとかじゃない……。俺自身が選んだんだ」
「そうですか……。じゃあ、せっかく運命の番を選んだ相良先輩のうなじには、どうして噛み跡がないんでしょうね」
聖はうっすらと笑いながら、相良のうなじを指先でそっとなぞった。
「僕が璃玖君を連れて行ったのは、性欲の捌け口にするためじゃありません。だいたい……僕がどんな気持ちで一人でデビューして、あの人の曲を歌わされ続けてきたか……考えたことありますか?」
「ご、ごめん。俺、勝手に誤解して……。その……考えもなしに……本当にごめん……」
「……」
「そうだよな。俺、一体何考えていたんだろうな。だいたい、聖は榛名の曲を全部完成させてくれたんだし、感謝しないと」
「感謝……なんて必要ないです」
「聖……?」
「ねえ、相良先輩……。僕は運命に勝てなかったのか、それとも榛名さん自身に勝てなかったのか……。一体どっちなんでしょうね……」
聖は寂しげに笑って相良に問いかける。
「どっちって……」
「僕はあの時、相良先輩の隣は誰にも譲らないって思っていました」
「それは俺だって……」
「でも、あなたが選んだのは運命の番だった。今まで積み上げてきたもの全て、僕を捨ててまで選んだ。僕だって、あの人と同じαだったのに……」
「それは……」
「全て運命の番だったから、仕方がないって?」
相良は必死に首を何回も横に振る。
「違う。榛名が運命の番だったからとかじゃない……。俺自身が選んだんだ」
「そうですか……。じゃあ、せっかく運命の番を選んだ相良先輩のうなじには、どうして噛み跡がないんでしょうね」
聖はうっすらと笑いながら、相良のうなじを指先でそっとなぞった。
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