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「さて、これならいくら大きな声を出しても心配はいりませんよ」

「……。お前って、本当に昔から変わらず嫌味な奴だな……」

「えっ、嫌味だってもう気付いたんですか?」

「いくら鈍い俺でも気付くわ!」

「成長したんですね、相良先輩」

 まるで、悪戯をする子供のような笑みを浮かべてしみじみと言う聖に、相良はイラッとしながらも徐々に懐かしさを覚え、思わず口元に笑みを浮かべる。

「お前と……こうやって軽口叩くのなんて、何年ぶりだろうな……」

 相良は手に持っているグラスの中の氷を回すようにしながら、まるで昔を懐かしむかのようにウイスキーを見つめた。

「相良先輩が退所してからお会いしていなかったので、五年ですかね?」

「もうそんなに時間が経ったのか……。いつのまにかお互い成人して、こうやって並んで酒が飲む日が来るとはな……」

「そうですね」

 先程の笑みとは違い、昔のように柔らかく聖が笑っているのを見て、相良は驚きと不思議な疎外感のようなものを感じた。

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