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「お待たせ、隼人。終わったよ」

 聖はフォトスタジオの扉を開けると、すぐ横に置かれていたソファーに寝そべっていた隼人に声を掛ける。

「んっ……? あれ、もうそんな時間経ったのか……」

「本当に寝てたの? ったく、見張りの意味がないじゃないか。まあ、とりあえず終わったから中入れば」

「あいよ」

 隼人は寝そべっていたソファーから起き上がり、軽く伸びをした。

「んーっ! よしっ! それで、璃玖には手を出したのか? あいつ初めてっぽいし、色々大変だっただろ?」

「……」

 揶揄うかのように聞いてくる隼人に聖は呆れて声も出ないといった表情で、そのまま開けた扉を無言で閉めようとする。

「あー、待った! そう怒るなって。せっかくのイケメンが台無しだぞ」

 閉まりそうになる扉に隼人は足を無理やり挟み、そのまま力づくで扉を開けてなんとかフォトスタジオ内に入った。

「ったく。また締め出すなんて酷過ぎるだろ。んっ? 璃玖は?」

 隼人は璃玖の姿を探すが、中央にセットされていたカウチソファーにもおらず、そのまま辺りを見渡すが璃玖の姿はどこにもなかった。

「璃玖君ならメイク室だよ。まだ作業残っているから、とりあえず着替えて休んでいるように伝えたんだ」

「なーんだ、残念。しかも着替えちまったのか。もう一回、璃玖のあの艶めかしい姿を目に焼き付けときたかったのになぁ……。聖もそそられただろ?」

 隼人は休憩するかのように、腕を組んで閉められた扉横の壁に寄りかかった。

 聖も同じように腕を組むと、隼人の隣で壁に寄りかかった。

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