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22 スライムに葉っぱ

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 今日はドンドールお爺ちゃんの家でスライムから粘液を取る。

 ハーフエルフであるトンガラッタさんはスライムに花を食べさせれば、その色が付いた粘液を出すと説明してくれた。

 では、緑色の葉っぱを食べさせれば緑色の粘液が出るのではないかと俺は思った。

 花の色素を元に粘液を作り出すのなら、葉っぱもいけるはずだし、この仮定があっていれば果物の皮だって行ける可能性がある。

 案の定、草を餌の代わりにしていたおかげでスライムは少し緑色になっている。

「お爺ちゃん、スライムから粘液を取りたいんだけど、手伝って」
「仕方がねえな~」

 そう言いながらも、お爺ちゃんの腰は軽い。

 トンガラッタさんから教わったやり方では、まずスライムを丸ごと入る入れ物を用意する。入れ物にはドンドールが昔討伐したデカガメという亀みたいな魔物の甲羅を使う。簡易的なドラム缶風呂モドキにも出来そうな大きさだ。

 次に、甲羅の器を塩水で満たし、そこにスライムを入れる。スライムは徐々に塩水を吸収し、それが一定以上を超えると体内にある色素を粘液をともに放出する。

 トンガラッタさん曰く、スライムは塩水が大好物らしく。無理をしてでも吸収するらしく、その反動で体内にある色素を粘液と一緒に排出するのだと説明された。

 その証拠に、塩水を吸収したスライムは心なしか艶が出ているように見えた。

 色素が付いた粘液は水よりも塩水よりも軽く、水面に浮かび上がる。それをザルで救い、片栗粉と一緒に混ぜればエルフ特性絵具の完成である。

「出来たー!」
「おお、中々のものだな。おい、アンコ。早速何か書いてみろよ」

 そう言ってドンドールは薄茶色の紙を持ってきた。

 俺は絵具を水を混ぜ、すーと線を引いてみた。

「……少し黒い?」
「……濁ってるな」

 緑に少し黒を混ぜた感じの色になった。

「なんでだろう?」
「色々な葉っぱを入れたからじゃねえか? 緑って言っても、色々と別れるだろう」
「でも、綺麗な緑色の葉っぱしか使っていないよ」

 ダークグリーンの葉っぱなんてスライムに食べさせた覚えはない。

「食い合わせが悪かったんじゃないのか?」
「食い合わせ、成程」

 ウナギと梅干という、一緒に食べてはお腹を壊してしまう例のアレ。

 俺はドンドールの言葉に納得する。お腹が悪ければ色素が悪くなる――というのはなんとなく納得出来そうだった。

 ……若干、納得しきれない部分もあるけれど、食べさせる葉っぱを一種類に限定しなかったのは失敗だったと思う。

 でも、この辺りで一種類の葉っぱのみを取り続けるなんてことが出来るのかどうか、結局この問題にぶつかってしまう。スライムの餌として確保するのは、草花の葉は余りに小さいのだ。

 何か都合の良い葉っぱはないのだろうか?
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